mixiユーザー(id:3210641)

2008年09月17日06:53

122 view

【オーケストラ】マエストロ・アニハノフ 辞職の真相

ミハイロフスキー/レニングラード・バレエ団の魅力のひとつに、
帯同の劇場付きオーケストラがあります。

海外バレエ団の引越し公演では、
オケも一緒にやって来ることは珍しくありませんが、
当然、チケ代のアップにつながります。
(オケなしにもかかわらず、強気の値付けをする、
悪徳業者もいますが。(^m^))

もちろん、国内バレエ団の公演にも生オケは付きますし、
一部のオケを除くと、それなりに頑張ってはいますが、
やはり劇場付きの本格的な管弦楽団にはかないません。

つまり、ボリショイやマリインスキーとまではいかないものの、
実力は国内バレエ団を凌ぎ、しかも本格的なオケ付き公演を、
国内バレエ団価格で観られる...。
私がここの公演をお得だとする理由です。(^^)v

加えて首席指揮者だったアンドレイ・アニハノフさん、
彼がどれほど素晴らしい指揮者であるかは、
機会あるごとに触れていた通りですが、
あろうことか、お家騒動のドサクサに紛れて、
辞任してしまったのです! (ToT)

あまりにも突発的な出来事にファンが呆然としていた矢先、
ロシア系のネット・ニュースに彼のインタビューが掲載されました。
http://www.fontanka.ru/2008/05/26/030/

自動翻訳ソフトを使って解析? を試みた人の話によると、
どうやら辞任の理由について述べているようですが、
いまひとつ詳細がわかりません。

そこで知人に翻訳を頼んだところ抄訳を送ってくれたのですが、
私もその方もオペラは専門外なので、
相談の上、意訳したところが多々あります。
よって事実関係におかしなところを発見された方は、
遠慮なく、というか、ぜひ、ご指摘いただけるとありがたいです。<(_ _)>

...たとえば、文脈からすると、
「ソクロフ氏」は新総裁の意向により解任された前オペラ芸監、
のようですが(後任はオブラスツォワ女史)、後段に、
ソクロフさんが例の映画監督と同一人物、と思わせるくだりがあります。
そうなんですか〜? それとも映画監督にひっかけた冗句???
詳しい方、教えてくださ〜い。(>_<)

ちなみにお家騒動とは、
去年だか一昨年だかに就任した新総裁のケフマンさんは、
ロシアでは「フルーツ王」の異名を持つ方で、
冷戦後のどさくさ期に果物の輸入で一財産を築き上げた人です。

なぜそのような人物が国立バレエ団の総裁に就任できるのかは、
きかないでほしいのですが、f(^^;)
街がパトロンとなって海軍の潜水艦に食料代や燃料代を援助するかわり、
その街の名前を潜水艦につけさせちゃう国ですから、
あちらでは驚くことではないのでしょう。(^o^)

そのケフマンさん、大のバレエ好きとのことで、
それがミハイロフスキーの総裁になった理由のひとつらしく、
さっそく私財を投じて老朽化著しい劇場をリニューアルするなど、
最初は評判が良かったのですが、次第に馬脚を現しはじめた...
というわけです。(=.=)

       *     *     *

★ミハイロフスキー劇場の「失寵」指揮者が暴露★

ミハイロフスキー劇場では、大小の紛争が続いている。
新しい箒、果物販売成金のウラジーミル・ケフマン氏は、
古いごみを残さず掃きだそうと躍起になっているようだ。

1992年から同劇場の首席指揮者を勤めていた
アンドレイ・アニハノフ氏は、
前オペラ芸術監督(?)アレクサンドル・ソクロフ氏に続く、
次の犠牲者なのだろうか。

2ヶ月前(ニュースの日付は今年5月26日)、
アニハノフ氏は、劇場の演目や年間計画の策定を担当する、
副総裁への就任を命じられた。
以下は、そのアニハノフ氏への単独インタビューである。

N(ネット・ニュース)
副総裁への就任は、自分自身で望んだもの?
それとも幹部の圧力?

A(アンドレイ・アニハノフ)
圧力はなかったよ。
私は自分の考えを率直に表明しただけだが、
上層部はそれが気に入らなかったようだ。

(副総裁への就任は)メリットもあればデメリットもあるし、
(引き受けるのは)困難なことではない。
けれど人には好きな職業があり、
職業は人生において一番重要なものだ。

もちろん、少年の頃から愛し続けている劇場のことも心配だ。
最近行われた改修や設備のユニークな近代化は、
画期的な出来事であることに間違いない。
予算不足に悩む市役所には、果たせなかったことだからだ。

でも、だからと言って、
門外漢が他人の仕事に口をはさんでいい、ということにはならない。
人にはそれぞれ、専門とする知識や経験があるからだ。

最近のミハイロフスキー劇場では、驚くことばかり起こっている。
劇場はとても複雑な組織であり、
そこでは芸術監督、歌手、踊り手、美術スタッフなど、
いろいろな職業の人たちが働いている。
様々な専門家が集い、協力しあって、舞台を創り上げているのだ。

したがって、たとえ総裁であっても、
彼らプロフェッショナルの存在を無視し、
勝手に方向性を決めてしまうのは誤りではないだろうか。

総裁は、劇場という複雑な組織とその活動を、
総合的にマネージメントする専門家だが、
彼自身が任命したとはいえ、その道のプロを差し置いて、
それぞれの分野に口を出すのは無理ではないかと思う。


オペラのレパートリーが、突然半減してしまったが?

A
私は「“古い”版を全て除いてはだめだ」と、ケフマン氏には何度も指摘した。
良い作品を創り上げるには、準備に相当の時間がかかる。
レパートリーを全て新しくするためには、最低でも3〜4年は必要だ。
少なくとも楽団や合唱団の練習や、芸監と歌手との調整には時間がほしい。
ソ連の有名な映画でも、「妊婦が9人いても、1ヶ月で赤ん坊は生めない」
と主人公が言ってるだろう?

ケフマン氏と(オペラ芸監の)オブラスツォワ女史が、
(現場の)状況を知らないわけがない。
以前の話し合いでは、オペラとバレエ、それぞれ10演目については、
“古い”版も残すということになっていたんだよ。

その後、何が起きたのだろう。
外からの意見? 景気の変動?
バレエはスポンサーの大好きな芸術なので、
レーパトリーの削減は少しにとどまったが、
オペラは「椿姫」「スペードの女王」「エフゲニー・オネーギン」
以外の“古い”版は上演されないことになった。

もう一つの焦眉の問題は、チケットの価格だ。
国営劇場(国営ということを強調したい!)の観客は、
まずインテリであり、医者、技師、教師などだ。
その現状を(ケフマン氏は)認識しなければならない。

私はケフマン氏とわが劇場の観客について、
その特徴などを何度も話し合ったが、
相互に理解を得ることはできなかった。

有名なゲストを招いた公演は、たしかに利益を挙げられるが、
そのチケット代は馬鹿高く、短期間なら富裕層の関心を集められるが、
その後はどうなるだろう。劇場の空席、面白くないレパートリー? 
(目先の利益は得られても)結局、劇場の状態は悪くなるだろう。

劇場は観客だけでなく、伸び盛りにある歌手や俳優集団、
そして若手育成のチャンスをことごとく失うだろう。
劇場の存在基盤であるレパートリーすら失うのだ。


アンドレイ、辞職の具体的な理由は?

A
ケフマン氏が「白鳥の湖」の指揮方法を、
私に説明しようとした事件を除けば、
新任総裁との間にトラブルはなかったよ。

ケフマン氏とは劇場のことをたびたび話し合ったが、
彼は私の仕事にも理解を示しており、特に私が強調する、
「改革や変更と同時に、継承もまた必要だ」
という考えには、賛意を示していた。
だから、現在の劇場の方針は、まったく理解できない。

各分野の指導者には、それぞれ目標や理想がある。
「着任前は全てが悪く、着任後は全てが良くなる」
という考え方も珍しくないが、その最大のデメリットは、
悪いことと同時に、良いことも処分してしまう点だ。

20年の努力が実り、劇場は世界に知られるようになり、
オペラやバレエ、オーケストラも有名になった。
新鋭の新制作もあれば、伝統的な作品を高いレベルで演じている。
その事実を直視せず、
「今までは悪かったが、これからは全てが良くなる」
という考えは間違っている。

合唱団、楽団、群舞は、長い時間をかけて育成する芸術組織だから、
その編成を一瞬で変更することはあり得ない。
歌手にもダンサーにも様々なタイプがいて、
それぞれの特徴を生かすことが芸術では重要だ。


歌手の問題はどこでもあるようだね。
スカラ座やマリインスキーでも、オペラのテナー歌手が問題になっている。

A
それのどこが問題なのか理解するためには、
オペラの特徴を知っていなければならない。
(パロ:アニハさんは、このあと何か例を挙げてますが、
意味がよくわからないので省略します)


サンクトペテルブルグでも、
テナー歌手を探し出すことはできると思うが。

A
そうだが、それはその道の専門家にしか出来ないことだ。


ケフマン氏の劇場に関する話題の多くは、
1990年代の新ロシア人成金の笑い話そのものだが、
ケフマン氏の場合、笑い話ではなく真実なのである。
アニハノフ氏は、いくつかの逸話を語ってくれた。

A
リッカルド・ムーティがドニゼッテイの「ドン・パスクアレ」のため、
マリインスキーにやって来た時、
ケフマン氏はマリインスキー劇場にまで押しかけて、
我々の劇場にも招こうと直談判したが、結局失敗したことがある。

それにまつわる出来事だが、当時、ミハイロフスキー劇場では、
「ジゼル」のリハーサルが行なわれていた。
ところが、ある一団が突然劇場にやってくると、
オーケストラの指揮台を大至急搬出するよう要求した。

理由は、リハーサルのため指揮台に立ったムーティ氏が、
マリインスキーのそれを気に入らなかったという話をケフマン氏が聞きつけ、
ムーティ氏の機嫌を取るために、我々の指揮台を提供しようとしたのだ。

芸監やオケの指揮者が、リハーサルが終わるまで待つよう頼んだところ、
やって来た連中は、「なぜ待たなければならないんだ?
ケフマン先生は自分のカネでその指揮台を買ったんだ!」と叫び、
リハーサルが終わるや否や、指揮台を勝手に運び去ってしまった。
このような話は、山のようにある。

もう一例を挙げると、我が劇場は音響効果を調整するために、
世界的に有名な日本の音響設計家、豊田泰久氏を招いた。
しかし、ケフマン氏は豊田氏の調整した装置を、勝手に変更してしまったのだ。
理由をたずねると、ケフマン氏は、
「君たちではなく、私は豊田にカネを支払ったのだ」と説明した。

だが、果物販売成金の最大の所業は、
「スパルタクス」初演直後の出来事だろう。、
彼はオーケストラの控え室にやってくると、このシーンで太鼓を加え、
そのシーンで音楽を静かにし、あのシーンで音楽を強くするよう、
指示してきたんだよ。


信じられないね!

A
残念ながら、事実だ。
楽団員たちは、その場では不満を表明することを控えたが、
噂はすぐ市内に広まった。

プロは自分の専門領域において、本領を発揮すべきだ。
知識や経験はカネで買えるものではないからだ。
我々はケフマン氏に会社の運営に対して意見するつもりはないし、
現時点ではどこ産のバナナが一番安いかなど意見のしようがない。
また、彼の経営指導力や目標に関しても疑問はない。

ところが、「シルフィード」を観て、
「素晴らしい音楽だ。作曲者はだれです?」
と尋ねるような人物がプロの歌手や踊り手を指導するようでは、
劇場は凋落への道を歩み始めていると言わざるをえない。


そうだね。ブルガコフの有名な「犬の心」にも、
「医者が手術をせず、毎夜、革命歌を歌えば、やがて凋落するであろう」
と書かれているからね。

A
それだけではない。さらに重要なのは、そのような門外漢は、
あらゆる計画や展望の障害要因になるということだ。
劇場にそのような人物がいると、悲惨なことになる。
短期および長期の計画がなければ、
何事もきちんと準備することなど不可能であり、
裏切られた観客は、やがて劇場から離れていくだろう。


「2ヶ月後に、この演目を上演する」と伝えれば、
俳優たちはちゃんと準備をしてくれるが、
「2ヶ月後に、この演目を上演するかもしれない」では、
彼らは動かないだろうからね。

A
全く同感だ。具体的な計画がなければ、調整のしようがないからね。
にもかかわらず総裁や幹部たちは、
「構わないさ。すでに歌ったり踊ったりしているのだから、大丈夫。」
と楽観し、そういう考えが劇場内に蔓延しつつある。
カネですべてを解決するというやり方は、劇場を自滅への道に導くだろう。


古代中国の有名な思想家は、
人民が他国の王と比べない王は最高で、
人民に愛を要求する王は中級で、
人民に恐れられる王は下級で、
人民に蔑まれる王は最低だ、
と述べているね。

A
新たなシーズンは、驚きの連続だった。
最初は良い驚きだった。
修復された劇場は立派になり、将来に期待を持てた。
しかし、驚きの気持ちは、次第にマイナスの要素を強めていった。

経営指導力に優れているというだけで、総裁はなぜ、
芸術分野にまで干渉するのだろう、と度々考えていた。
少なくとも、彼がオペラ部門の芸監に招いたオブラスツォワ女史も、
彼になんら影響力がないことは明らかだ。
私が怒っているのかって? そうではない。
怒りはないよ。驚き、理解不能な出来事に戸惑っているだけだ。

プロを尊重しなければ、劇場はやがて廃れていく。
芸術についての十分な経験や専門知識がなければ、
パフォーマーを指導することはできない。
(素人が指図するなど)ありえないことだ。

著名な指揮者を招聘したにもかかわらず、
内容が悪かったからと契約料を支払わないのは、
絶対にやってはいけないことだ。
果物販売成金も、契約は尊重しなければならないと思う。
ロシア文化に貢献した有名な人物を招いておきながら、
敬意を表さないのは、劇場の恥辱だ。


先般、ケフマン氏がマスコミに、
「私はソクロフ氏を、ずっと支援していた」
と述べていたが、あれには笑わされた。
ソクロフが映画を撮影した時、彼はまだ中学生だったからね。

A
オペラ「オレステヤ」の廃止が、私の辞職を決定付けた。
職業面でも人間面でも虐められたソクロフ氏を支持するために、
私は辞職することにした。

ソクロフも私も「オレステヤ」を実現するために尽力し、
次はリハーサル、そして経費の調整という段階にまで漕ぎつけた。
だが、その後、簡単に言えば芸術分野への干渉があったため、
計画は無に帰した。
もっとも総裁は、自分自身で監督、指揮が出来るなら、
上演には乗り気のようだがね。


それは近いうち現実のものになりかねないね。

A
最初、私は少し待ってみようかとも思った。
新任の総裁もいずれ慣れて、
劇場の運営もスムーズになると期待したわけだ。


あなたは突然辞職したね。
(天候不良で着陸する)予備の飛行場は準備しなかったのかい。

A
辞職は一瞬で決めたよ。
私には多くのプランがあるから、
何か提案があれば、喜んでそれに応えるつもりだし、
私の20年以上の経験を信頼してくれると、期待もしてる。


市の文化管理局は、
あなたの辞職に対してどのような反応を?

A
なにもない。
あそこも上層部の人事刷新など、
いろいろ問題を抱えていそうだからね。
ミハイロフスキー劇場を含む国営文化組織に関する政策方針を、
そのうち発表してくれるものと期待している。
0 11

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2008年09月>
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930