mixiユーザー(id:3696997)

2008年06月23日10:59

10 view

【音楽】Mussorgsky: Picture etc.@Freddy Kempf

日本でも女性音楽ファンを中心として絶大な人気を誇る若手ピアニスト、フレディ・ケンプの新譜からで、BISのSACDハイブリッド。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/2720224

・ムソルグスキー:展覧会の絵
・ラヴェル:夜のガスパール
・バラキレフ:イスラメイ

フレディ・ケンプ(ピアノ)


チャイコフスキー国際コンクールでは非常に素晴らしいダントツのパフォーマンスを発揮したにも関わらず審査員の依怙贔屓で優勝出来ず、運営側へは大顰蹙、ケンプには擁護と絶賛の嵐が吹きまくったという伝説の持ち主。海外ではsold-out pianist等とあだ名されているほどの人気者だ。

ケンプとは、あの20世紀ドイツを代表する巨匠ヴィルヘルム・ケンプの名字であり、フレディは彼の甥っ子に当たるそうだ。顔立ちから想像できるようにフレディの母親は日本人、国籍は英国と言うことだが現在はロシア人の妻と共にベルリン在住だそうで、なんともインターナショナリーなプロフィールだこと。

さて、展覧会の絵だが、冒頭のプロムナードこそ普通の入り方だがグノームから目くるめく展開でちょっと急ぎ過ぎの感がある。古城はもう少し叙情的に弾いて欲しいのだが熱気が少々過ぎる気がする。間奏のプロムナードも多少色合いを違えて気分転換を図りたいところなのに割とエネルギー感が強すぎて急ぎ足だ。リモージュあたりは色彩感豊かで伸びやかな解釈となり、この人のメロディアスな一面が垣間見られる。但し、意表を突くルバートと突如として挿入されるパウゼは演出過剰ともとれる。ババヤーガから大門にかけての爆裂するリズムと激しい旋律のアップダウンは目を見張るものがあり、迸るヴィルトォージティは凄い。但し、豪腕すぎて弦が悲鳴を上げっぱなしになっているのはいかがなものか。

一転して夜のガスパールは非常によい出来で、とても瞑想的なふくよかな解釈。ダイナミックレンジが広大で微細音からフォルテまでとても繊細な階調で描かれる。この人はどちらかというとフランス系の曲が得意なのかも知れない。展覧会でもそうだったのだが強打に於いても上部雑音(finger-to-key noise)が少なく、この人の打鍵動作が基本に忠実であることを物語る。

バラキレフのイスラメイはかつて聴いたことのない様な高速描写で、これはもう圧倒的な技巧と超精密運指のなせる技。表現幅の広さと独特のロマンチシズムに息を飲むばかりだ。これなら音楽ファンならずともイチコロでやられてしまう。イスラメイの超一押し、21世紀ピアノ・サウンドの誕生といえるだろう。

(録音評)
BISレーベル、SA1580、SACDハイブリッド。オフマイク気味に狙われた音質は鮮明にして滑らか、スタインウェイの美点とフレディの鋼鉄の鍵盤捌きが克明に記録されている。avantiClassicのピアノ録音も凄まじいリアリティだが、このBISのSACDもまた別の意味で素晴らしい出来で、空気感とエネルギー感が際立っている。

CDレイヤーでは空気感が少し後退し、ピアノのソリッドな音が強調される傾向だ。

※本日は外出のため、明日の音楽日記はパス
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2008年06月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930