以下は25日、
シェスタコワ&シャドルーヒン夫妻の舞台をご覧になった師匠の感想です。
師匠は4日連続の「くるみ」観覧だったんですよ! いいなー。(^^)
* * *
アニハーノフさんがピットに入ってきただけで、
嬉しくて顔がほころんでしまう。
ここの序曲はテンポが早いね。
女の子はともかく、子役を童顔とは言い難い人種の
成人男性が演じるのは厳しいものがあるねぇ。
フリッツがトルマチョフさんなので踊りは素晴らしく美しい。
でも子供に見えるかと言うと…。
まぁ周りの「子供」も男の子に見えないからいいか。(^_^;)
今日のくるみ割り人形はクズネツォフさん。
人形らしい動きはトルマチョフさんに一歩譲るかなと思っていたら、
だんだん調子を上げてきて、本当にバネ仕掛け?
と思わせる動きに観客は大喝采!
ピエロはポドショーノフさん、コロンビーナはヤパーロワさん。
彼女はタッチキンから今年移籍してきた新人さんだね。
人形らしい動きは名人芸の先輩方には及ばないけれど、
気持ちのよい踊りをする人。
カーテンコールまでピエロと仲良しカップルだったよ。
シェスタコワさんはさすがだねぇ。
1幕はちょっと背の高い可愛らしい女の子。フリッツのお姉さんにも見えるかな。
可愛いけどヘンに子供っぽくし過ぎることもなく、自然に見える。
その分あどけなさは無く、大人になりかけの少女の雰囲気。
踊りに関しては言うことなしの出来。
シャドルーヒンさんの王子をとても楽しみにしていたのだけど、
残念ながら本調子ではなさそう。
少し重い踊りで、跳躍の着地は足首や膝に負担がかかりそうな感じ。
もちろんサポートはきれいだし、踊れてはいるけれど、
本来の実力はもっとしなやかで軽やかなはず。
正統派ノーブルでかつらも似合っているのに…。
シェミウノフ君、別人かと思うほどの伸び方! 踊りの精度が高い!
しなやかで伸びやか、長い手脚を持て余すことなくコントロールしてる。
脚先手先まで美しい。腕の動きも優雅で惚れ惚れするよ〜。
奇妙な振付のボヤルチコフ版ドロッセルマイヤーを、
こんなに滑らかな美しい踊りで観たのは初めて。
ボヤルチコフさんが見たら喜ぶだろうなぁ。
芸監が変わって大躍進というのは皮肉なものだねぇ。
前から兆しはあったけどさ…。
ねずみの王様はヴェンシコフさん。紫色の衣装も着こなしてカッコいい。
でもせっかくの美形がネズミの帽子で見えない〜。
それから一番はじめに出て来たネズミの踊りがとてもきれいだったのだけど、
誰だったのかな。やっぱり帽子でわからなかった。
ボヤルチコフ版の微妙な演出振付と、これまた微妙なセンスの衣装美術の舞台を、
ここまで魅せるものにしているのはダンサー達の力だと本気で思ってるんだけど、
今回は群舞が今ひとつの調子。何だかもたつき気味。
メンバーが半分くらい入れ替わったという影響で、馴染んでないのかな。
顕著だったのが騎兵隊と2幕の手繋ぎくぐりのアラビア。
雪の精もワルツも決して悪くはないけど、もっと良くなかったかな。
今日は足音も結構していたし。
それともワイノーネン版に比べると見劣りがして、
自分の中での評価が下がってるのかなぁ。
何回観ても、マーシャがネズミに蝋燭を投げつけるのが気になる。
「くるみ割り人形、危ない!」という場面で、
「危ない!火が!」と思ってしまうんだよね。
スペインはカシェーエワさんとアルジャエフさん。
元気よく伸び伸びとしていて、今季観た「くるみ」の中で一番良かった。
アラビアはノボショーロワさん。しなやかで柔らかいのだけど、
あの気だるい物憂げな音楽には、少し元気過ぎる気がする。
これはもう、好みのレベル。
中国はニキフォロワさんとトルマチョフさん。
あの振付でも盛り上げてくれる。軽やかでキレがあり、素晴らしかった。
トレパックはポールとリボンで動きが制限されるので、
女性2人(パルフョーノワさんとスホワさん)の実力の程がわからないけれど、
男性2人(ノヴォショーロフさんとクドリャーフツェフさん)は、
僅かな見せ場を気持ちよく決めていた。
パストラルはロマチェンコワさん、ラトゥースカヤさんとプロームさん。
かつらも衣装も似合って美人だな〜。
プロームさんはソロだときれいなラインに柔らかな着地と申し分ないのだけど、
サポートが危なく見える時がある。リフトされてる人は怖いだろうな。
ワルツはいつも通り豪華キャスト。
ハビブリナさん、ステパノワさん、コチュビラさん、カミロワさん、
プハチョフさん、マスロボエフさん、シヴァコフさん、ルダチェンコさん。
配られたキャスト表に変更があった。
降板したコシェレワさん、モロゾフさん、オマールさんは、
怪我や病気でないといいな。
コチュビラさん、久しぶりに観たら踊りが丁寧になって、
音楽にも合うようになった気がする。
シヴァコフさん、かつらをかぶってない方が素敵だなぁ。
逆にプハチョフさんはかつらをかぶっても頭が小さく、
全体のバランスも良くて、気品があって似合ってる〜。
日本人はこのテのかつらが似合う人の方が珍しいけど、
ロシア人でも似合う似合わないがあるんだねぇ。
GPDDで登場したチュチュ姿のシェスタコワさん。
神々しいほどの威厳と輝きを放ってる。
舞台を支配するって、こういうことを言うんだな。
音楽をつかまえて隅々まできちんとコントロールされた柔らかな踊り。
中央から下手寄りの床が妙にヘンな音をたてて鳴るのが踊りにくそうで、
ちょっと気の毒だった。音が鳴らないように気遣い、
(でも床が悪いので丁寧に動いてもどうにもならない)
しかも耳障りな音なので、ほんの僅かだけれど、
集中力を削がれまいとするシェスタコワさん自身が出てしまう気がした。
彼女の踊りには何の不満もなく満足なのだけど、振付が…。
アクロバティックで大変な振付をよくこなしているなぁと感心はするけれど、
音楽に乗った美しい振付とは異なるので、
一般的な金平糖の振付で彼女の美しい踊りを堪能したい。
連休明けの平日という日程の為、
後方には空席も目立ったけれど、拍手の大きさはかなりのもの。
もちろん私も力いっぱい拍手したよ。
主催者から花束が贈られ、
お約束通りシャドルーヒンさんが跪いて恭しく花束をシェスタコワさんへ。
悠然と受け取るシェスタコワさんに観客が沸いた。
一度下がってまた前へ…という時に、
コソッとシェスタコワさんへ花束を差し出す(押し付ける?)アニハーノフさん。
なぜそのタイミング? しかも、どさくさ紛れみたいに…。(^o^;)
でも、アニハーノフさんご本人も満足のいく出来だったのか、
何回もカーテンコールに応えてくれた。
シェスタコワさんも大歓声にとても嬉しそうで、何回も出てきてくれた。
何だかんだ言っても、いい公演だったよ。
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