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2007年09月24日17:34

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【バレエ】師匠の感想(その3・ミックス・プロA、2日目)

★レ・シルフィード

プレリュード:小出領子
詩人:木村和夫
ワルツ:西村真由美
マズルカ:奈良春夏
コリフェ:乾友子、田中結子

小出さんがとてもいい。
清らかで軽やかで、清潔感と透明感があって、
妖精にぴったり〜。柔らかい動きに、うっとり。

西村さんも奈良さんも良かったけど、ちょっと別格かなぁ。
木村さんは、ロマンティックな詩人に憧れる、
ノンフィクション寄りの作家というか、
ロマンティックな詩人ぽいブラウスも着ていても、何か違う。
踊りはきれいなんだよ。脚もきれいだし。
何が違うのかなぁ。やっぱり纏ってる雰囲気か。
取材旅行とか行ってそうなんだよね〜。
で、社会派の作品書いてそう。←妄想

★薔薇の精

薔薇:マチアス・エイマン
少女:吉岡美佳

ちゃんと室内美術装置有り。窓も壁もドアも調度品もある。
吉岡さんの少女、いいよ〜。
ロリファッションが違和感なく似合う。(街中のなんて目じゃない)
そして、まどろみの演技の見事なこと!
夢から覚めた時に一瞬まどろみから覚めずに、
ハッと窓を見るタイミングが秀逸。
その後の夢見がちな乙女の表情まで、素晴らしい。

エイマンさんは、きれいに踊る、若さと清潔感のある薔薇の精。
ソロは少し堅めで男性的な踊りだけど、二人で踊る時や、
ふとした時に両性具有的になる。
蕾が開きかけた瑞々しい、少し堅さのある薔薇。
これはこれでアリだなぁ。
二人のバランスも年齢差があるはずなのに、とても良かった。

★牧神の午後

牧神:シャルル・ジュド
ニンフ:井脇幸江

幕が開いて岩棚に横たわっているだけで、すごい存在感がある。
そして背中から醸し出される色気。
だけど、神々しいまでの威圧感に、牧神て「神」だったんだ!
と気付く。いつも何となく忘れてる...。
ニンフを見とめた時の射るような凄まじい眼力。
その後は、男性的で欲望に忠実な野性味を帯びてくる。

ニンフは、とても清らかで貴い感じ。
眼力で射られた時は、さすがに驚きと戸惑いと緊張感が滲み、
それでも気丈に対峙している。

そこからお互いの駆け引きが始まり、
スカーフ(ショール?)を残し、
腕を十字に絡ませるような振付の一時と、
立ち去る際に、ニンフが微かに笑みをたたえながら、
牧神へ送る意味深なまなざし。観ていてゾクゾクする。
残されたスカーフに顔を寄せる優しい仕草、なまめかしい表情。
見ていていいのかと思うほどの世界だった。

カーテンコールで、
ジュドさんに手をとられる井脇さんの緊張した表情に、
すごいプレッシャーの中での演技だったのだろうなぁ、
と思わずにいられなかった。
でも精一杯やったという清々しさみたいな感じもあったよ。
その後ジュドさんは井脇さんの手にキスしてた。
ジュドさんは、ものすごく堂々としたカーテンコールで、
いつもより井脇さんが小さく見えるほど大きく見えた。

★ペトルーシュカ

ペトルーシュカ:ローラン・イレール
バレリーナ:長谷川智佳子
ムーア人:平野怜
シャルラタン:高岸直樹

やっぱり生の舞台で観る作品だよ!
全く冗長な感じなどなく、冒頭の謝肉祭の場面も、
映像に比べてカットしてる!? と思うくらい短かく感じた。
洗練されていない人間くさいエネルギーが舞台上にあって、
祭の賑やかな活気ある雰囲気が出ていた。

高岸さんの見事な怪演は、
とてもノーブルな役もこなす人とは思えない。
キャラクテールとして一級だと思う。(←褒めてる)
笛を吹く様もうまいなぁ。引出しの多い人だね〜。

イレールさんのペトルーシュカは、観るまでイメージが湧かなかった。
かっこいい役はともかく、弱く惨めな姿は想像出来なかった。
ところが、弱々しくオドオドしていて惨めで情けなくて、
痛々しい哀しいペトルーシュカに説得力があった。
生命をもらったけど、想いを伝えるには不器用で、
どう生きていいのかわからないペトルーシュカ。
一人だけ吸引力が違う。(高岸さんが後に続く)

想いを寄せるバレリーナを思い浮かべる時だけ、
微かに幸せそうな笑みが見えるのだけど、
肝心な相手が現れた時には嬉し過ぎて挙動不審になり、
逃げられてしまう。後悔してもどうすべきかは判らない。
切ないようなイタいような…。

平野さんのムーア人は、
やんちゃで暴れん坊だけどちょっと愛嬌がある憎めないヤツ。
長谷川さんのバレリーナは、
シャキシャキした踊りがカクカクした人形の動きに繋がり、
顔も無表情で本当に人形っぽい。個人的な好みでは、
無表情でもペトルーシュカが想いを寄せたくなる、
愛らしさが感じられるといいなぁ。

丸顔にまんまるほっぺメイクの小出さんが、とっても可愛くて好き。
大きく見開いた目にも、戸惑いや驚きなどが感じられる。
長谷川さんの大きな目にも驚きなどは表れていたし、
見開いたままで、まばたきをほとんどしないのには驚き!
ドライアイになっちゃうぞ。

楽しい謝肉祭の騒ぎが続き、
観ている方もつられて楽しませてもらっている最中の惨劇。
シャルラタンの腕に抱えられた、
おがくず人形に戻ったペトルーシュカ。

屋根の上には亡霊となり、
シャルラタンに向かって叫ぶペトルーシュカ。
「なぜ生命を与えたの? 何の意味があったの?
こんな思いをするなら人形のままの方が良かった...。」
最後には嘆き、力尽きる。

切ないな。実際、不器用な人は同じ思いをしてるよね。
それはさておき、イレールさんの身体表現の見事なこと!
カチカチでもグニャグニャでもなく、質感がまんまおがくず人形。
倒れる時もドサッ、バタッではなく、
パサッ、ポフッという感じなの!
脱力って難しいよね。脱力しながら踊って、
さらに演技して...すごい。至芸だ。

この夏、ルジさんに始まって、フェリさん、ルグリさん、
ルディエールさん、イレールさん、ジュドさん...と、
40歳以上のダンサーを観る機会に恵まれたけど、
至芸というのは凄いものだね。
言葉が圧倒されて消し飛んでしまうよ。
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