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2007年09月04日10:32

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【音楽】From Castle and Cottage@Nasbom & Edlund

スウェーデンのマイナーレーベルからリリースされた新譜で、ニッケルハルパ(スウェーデン語でnyckelharpa)という、ちょっと変わった楽器を取り上げている作品集。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/2553640

J・S・バッハ (1685-1750)
 無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調 BWV1007 (ニッケルハルパによる)
C・P・E・バッハ (1714-1788)
 ヴィオラダガンバ・ソナタ ハ長調 Wq136 (ニッケルハルパとハープシコードによる)
マラン・マレ (1656-1728) スペインのフォリアによる32の変奏曲 夢見る人
エーリク・サールストレム (1912-1986) 春の雫 (ニッケルハルパのための)
 嵐 (Stormen) (ニッケルハルパのための)
オーロフ・ヤンソン (1927-1993) 教会行進曲 (ニッケルハルパのための)
ラーシュ・ネースブム (1925-) 教会ポルスカ (ニッケルハルパのための)

 Torbjörn Näsbom トルビヨルン・ネスボム(ニッケルハルパ)
 Andreas Edlund アンドレアス・エードルンド(cemb)

このCD全般の解説に関してはHMVに掲載されている輸入元キング・インターナショナル(原典はMusica Rediviva社)の記述が全てである。このニッケルハルパという楽器は何とも言えない風情を持った弦楽器であり、ビブラートが効かないためか潔く、また物悲しく乾いた響きを出す楽器である。

この楽器の起源については諸説あるようだが、ガンバ属の時代にこの基本メカニズムは既に成立していたとされる。ガンバ属がヴァイオリン属へ発展する過程でスウェーデンの民族楽器として定着し、合奏用楽器として表舞台へ出ることはなかったようだ。

原曲が柔らかな音色のヴィオラダガンバやチェロの作品をこのニッケルハルパで弾くという趣向な訳だが、やはり硬質感が増して鋭角的な表現になる。弦を押さえるのが指ではなく鍵盤に取り付けられたダンパーであることの効果か、音階は極めて明瞭であって中間的な周波数は一切発せられず、またビブラートが掛からないため直線的、また弓が短いためか鋭角的な印象となる。

名曲BWV1007は必聴ものの演奏である。原曲の持つ癒しの要素は影をひそめ、和声と厳しく対峙する対位法表現と弦捌きが際立っている。

残りは民族舞曲的な作品で、鄙びた音色と哀愁を帯びた旋律に加え、リズミカルなテンポ取りと素早い弓捌きが耳に新鮮である。いずれも北欧スウェーデンの民謡から主旋律を取って変奏曲風に発展させたものとのことだ。もの悲しいニッケルハルパの音色は越中おわらで使われる胡弓を彷彿とさせるものがある。

(録音評)
Musica Redivivaレーベルの通常CD、MRCD014。音質は著しい透明度を湛えた素晴らしいものであり、音色は温度感が極めて低い寒色系だ。

ニッケルハルパの音像は割と大きめでオンマイク気味の収録、擦弦部や奏者の発するノイズは盛大に入っており臨場感は抜群だ。チェンバロは奥まった位置に定位してニッケルハルパを盛り立てる格好。

この楽器の特徴に似合った超高解像度の録音であり、音楽ファンはもとよりオーディオファンにも恩恵をもたらすであろう高音質盤といえる。再生装置の直線性およびディテール再現能力が試される難易度の高い録音だ。自信のある人はチャレンジして欲しい。
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