シベリウスの、いわゆるクレルボ交響曲。原題には「交響曲」は付かないが、全5楽章形式で声楽付きの交響曲と呼んで良い形式、日本では慣例的にこう呼ぶ。
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Sibelius: Kullervo
シベリウス:クレルヴォ交響曲 op.7
Robert Spano
Atlanta Symphony Orchestra and Men's Chorus
スパーノ&アトランタ響
1. Introduction
2. Kullervo's Youth
3. Kullervo and His Sister
4. Kullervo Goes to Battle
5. Kullervo's Death
シャルロッテ・ヘレカント(ソプラノ)
ネイサン・グン(バリトン)
アトランタ交響楽団&男声合唱団
ロバート・スパーノ(指揮)
曲の成り立ち等はWikiなどに詳しい。叙事詩カレワラを基にした暗くて荘厳、大規模な標題音楽である。シベリウスはこの他にも火の起源などカレワラを題材とした曲を多く書いているが、それは最初期の頃であり、晩年に向かっては独自世界を構築する事となる。
この演奏は全体的には遅めの展開、確実に刻むテンポは安定的ではあるが飽きるほど単調ではない。歌詞が英語で歌われた記念すべき世界初録音。歌唱は合唱、独唱共に素晴らしい出来だ。切々と、時に朗々とカレワラの叙事詩を英語で歌い上げる。
(録音評)
TELARCの通常CD。同じ録音でSACDハイブリッドもあるが、残念ながら事前確認せずに通常盤を買ってしまった。
例によって録音機材などが事細かに記載されている。多くはないが高性能ステージマイクを数本立て、ADC付きマイクアンプからSonomaのデジタルミキサー部に導くというシンプルな録音。
Sonoma DSD system with EMM Lab's ADC and custom DAC engineered by Ed Meitnerと誇らしげに書いてあるではないか。モニターSPはATC SCM20とある。
一聴すると大変に地味で高域がくすんだように聞こえる。EMM Lab製の民生機の音質を想像すると肩すかし。
背景は非常に静かで、何も録音されていないように錯覚するかも知れないが、実はそこに多くの空間情報が潜んでいるのである。音色に系独自のブリリアンスや演色は一切含まれない。サウンドステージそのものを切り取って詰め込んだという風情だ。
もし、この音質が今後のTELARCのスタンダードとなるならば非常に喜ばしい事である。何故なら、実に地味で超高音質、しかもDSD的な音だからだ。最終メディアが16ビットPCMであってもDSDの特質である面描写の美点が十二分に聴き取れるのは不思議なことだ。PCMレコーディングの強い隈取りと輪郭は全く感じられない新世代のマスタリングと言って良いだろう。
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