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2006年12月07日10:45

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【音楽】SL聴き比べ:Chopin: Impromptu No.3 Op.51

個人的にはとても好きな曲で、リピートでずっと聴いていても飽きない曲だ。

ショパン: 即興曲 第3番 変ト長調 作品51

ピアノ: アラウ、ケンプ

以前にシューベルトの即興曲を取り上げたが、ショパンのこれも似たような規模と形式をとる作品群だ。即興曲はその名が示す通り即興演奏=アドリブを採譜した曲か? と思われる節があるが、多くの場合はそうではなく、ショパンのこの作品もきちんと計算された作曲過程を経て書かれたものである。

恐らく、ソナタ形式でもロンド形式でもないノン・ジャンルの曲、という意味に捉えておけば間違いないだろう。しかし、ショパンのいずれの作品も均整の取れた三部形式を取っていて、ノンジャンルと言うには勿体ない。一説には、ちゃんとした自信のある曲なのだが、作曲者側が謙遜というかジョークで、つまらない=即興の曲としたなど言われる。

ショパンは即興曲を生涯で4曲書いた。ショパン自らが出版を願ったのは1番から3番の3曲だったようで、4番は自身では駄作と思っていたらしい。なおこの4番とは、あの有名な幻想即興曲の事である。今回の3番はショパンが晩年に最後に書いた即興曲であり完成度という点においても頂点を極めた曲だと思う。

形は、A-B-A(a-a'-a-b-b'-b-a)の三部形式で、a'がaとは関連のない第二主題、B部がa系の展開部を成していればソナタ形式なのだろうが、どうやらa'はaの短調変異、Bは第一主題とは旋律がまるで違うのでこちらが第二主題なのだろう。よって三部形式に分類するのが自然だ。A-B-Aはそれぞれ明-暗-明で構成される均整の取れた曲だ。

a部は右手も左手も三連符の連続で弾く明るく可憐な長調で、それぞれ一回のリフレインを伴う。二回目は右手が6度和音を加える高難度のパートだ。

B部は左手でやるせない主旋律が弾かれ、右手の高音弦が伴奏を担当する暗鬱な展開部である。ショパン特有の「魂のうねり」を表現したこの曲の中核部分と言えよう。

最後のA部は短調変異を伴わず一回のリフレインと短めのコーダで終わる。

アラウの解釈はマルカート基調であり、明晰であって力強い。だがB部は跳ねるように激しくは弾かず、よくコントロールされた左手の運指は正確に主旋律を刻む。全体を通してルバートは少なめながら揺れるような情感も巧く引きだしている。

ケンプの解釈はレガートというかドルチェ基調であり、滑らかで優しい。A部の微細に変化するルバートは抑揚に輝きを添えている。B部の左手は大仰にならず割合と速い進行で弾き切っているが乱暴さは微塵もない。全体に柔らかでふくよかな印象が出色だ。

いずれも古い録音であり、古色蒼然としたスタインウェイの音は時代を感じざるを得ない。なんとアラウの方はモノラル録音である。ケンプの録音は辛うじてステレオだが、途中数ヶ所でテープのワウ・フラッタとドロップアウトが認められる。
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