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2006年11月14日10:33

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【音楽】Steinway Legends: Argerich 2

永らく楽しんできたスタインウェイ・レジェンズも今日で終わり。10人の巨匠の演奏を合計20枚のCDで聴いてきた。長いようであっという間のマラソン鑑賞シリーズであった。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/B000HEZBTY

ショパン: アンダンテ・スピアナートと大ポロネーズ 作品22
ショパン: 前奏曲 嬰ハ短調 作品45
ショパン: 舟歌 嬰ヘ長調 作品60
ショパン: スケルツォ 第3番 嬰ハ短調 作品39
ショパン: 前奏曲 変イ長調
ラヴェル: 水の戯れ
ラヴェル: 夜のガスパール
プロコフィエフ: トッカータ 作品11
ラフマニノフ: 交響的舞曲 第1番 作品45

名曲ばかりが並ぶ二枚目は、私がスタインウェイ・レジェンズを締めくくるに相応しい構成だ。

ショパンはポロネーズと呼ばれる曲を生涯で16曲書いたとされるのは以前の日記の通り。http://mixi.jp/view_diary.pl?id=159482972&owner_id=3696997 だが、初期のこの作品を含めるならば17曲という事になる。もともとこの曲はオーケストレーション付きの独奏曲、即ちピアノ協奏曲の形態で書かれていたものだが、現在では独奏版の方しか演奏されないようだ。前半のスピアナートは後に加筆して前奏部として前置したものであり、元は別の曲と言って良い。

アルゲリッチのショパンが素晴らしいのは当たり前であって、数少ないショパン・コンクール優勝者の面目躍如と言ったところだが、ラヴェルもまた良いのである。水の戯れは、このmixiにあるラヴェルのコミュでも独立トピを持つほど人気の名曲なのだが、アルゲリッチのもつ野性味溢れる大胆な筆致は影を潜め、実に細密な描写を試みている。この水の戯れはフランス印象派の絵画に喩えられるが、まさにその通りである。噴水やシャワー、スプリンクラーから放散される飛沫を想像する向きもあるが、弱奏部ではルノアールやモネ、特にモネの睡蓮やアルルの跳ね橋に描かれたたおやかな水面を想像させられるのだ。しかしアルゲリッチの解釈は少し粗粒子的な描き方なのでピサロの点描画の方が似合っているかも知れない(写真右端)。

(録音評)
歴代のDGの名録音から掻き集めてきたベスト集とでも言うべき内容。音質はどのトラックも調音が行き届いていて統一度、完成度ともに高い。

殆どがデジタル録音だがアナログもあるが、ヒスノイズが上手く処理されていて殆ど聞こえない。ピアノは割と硬質で響きがコントロールされている。リストのソナタ、ショパンは左右の弦がはっきりと分離した高解像度の録音。ラヴェルは割と溶け合う感じの少しオフ気にな捉え方だ。

(後記)
このアルバムを揃えようと思ったのは、同一曲を別々の巨匠が弾いているためで、後日、曲をキーに各ピアニストの解釈の違いを探ってみようと思う。

しかし、アルゲリッチは昨今では大きなリサイタルやコンチェルトものをやらなくなり非常に寂しい。精々がクレーメル一派と組んだアンサンブル程度であって、やはり王道のショパン、リスト、ラヴェル、シューマン、ブラームス、ドビュッシー等をガシガシと弾いて欲しいものだ。

アルゲリッチだけではなく、アシュケナージも指揮者に転向してしまった感があるし、ポリーニだって弾き振りで登場するも指揮者転向を匂わしているのか? と思わせられる今日この頃である。つくづく残念なことだ。
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