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2006年10月23日10:42

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【音楽】マラ・大地の歌@ブーレーズVPO

マーラーが第九番目に書いた曲である。因みに第九の呪いのためか番号を敢えて与えず、また、曲の形態としてはソナタ形式によらない、およそ交響曲とは呼べないようなものであり、得意の歌曲を織り交ぜた自由な形式だ。

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マーラー/交響曲「大地の歌」
Mahler: Das Lied von der Erde(The song of the Earth)
 ヴィオレッタ・ウルマーナ(メゾ・ソプラノ)
 ミヒャエル・シャーデ(テノール)
 ブーレーズ指揮/ウィーンフィル

なるほど、副題はEine Symphonie für eine Tenor und Alt Stimme und Orchesterとなっていて、これはテノールとアルトとオーケストラのための交響曲という意味だが、交響曲と作曲者が申告している以上、交響曲に分類すべきなのだろう。しかし、歌唱組曲のようなその形式はかなり特異なものであるのは事実。

長女マリア・アンナが逝去し、自身の心臓病も発覚、ウィーン歌劇場を辞してニューヨークのメトロポリタン歌劇場と契約をする。アメリカへ旅立って暫くが過ぎ、翌年のヴァカンスで滞在したアルト・シュルーダーバッハで作曲されたとされる。

全6楽章からなり、テノールとアルトが交互に独唱をとる。歌詞は李白、孟浩然、王維などの書いた唐詩を、ハンス・ベートゲという歌人が翻訳・編集した詩集「中国の笛」から引用して曲を付けたものだ。3楽章〜5楽章まではチャイニーズ・テイストの旋律が支配し如何にも東洋的、というか西洋人から見た東洋の雰囲気が色濃く漂う。全体を通して耽美的で甘美、またチャイニーズ部分では色彩感が強い作品である。

演奏は例によってブーレーズの美学が貫かれており、パッション、ナルシズムといった耽美激情世界とは無縁のアンチ・ロマンティックな解釈。VPOの巧さ、特に弱音部の破綻なき珠玉の表現力が白眉。これほど音楽に集中して音を一本に収斂させているVPOの録音というのも珍しい。かなり抑えた解釈ながら原曲の持つ色彩感が弱まることなく見事に描かれている。

(録音評)
1999年11月、楽友協会大ホールでの収録。日本のユニバーサル・サイトには4Dオーディオ録音とあるが、これは少なめのマイクを最小限度ステージに立てて収録した、客を入れないライブ録りであろう。マルチマイクのミックスダウン版ではないのは確か。

トーンマイスターはUlrich Vette、4Dほどのピンポイント解像度はないが、テノール /メゾソプラノとオケとが解け合う調和をテーマに良く腐心された労作である。

ステージの奥行きは自然な雰囲気であり、4Dにありがちの過度なパースペクティブはつけていない。弦の両翼は適度に絞り込まれていてVetteお得意のスプレッド型ステージではない。オフマイク気味、かつローレベルが恐ろしく美しい録音であり、超低域の伸びも申し分ない、しかも自然なホール感覚だ。

大変に好感が持てる、お手本のようなムジークフェライン録音と言える。これは力作。
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