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2006年10月21日11:56

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【バレエ】サンクトペテルブルク・バレエ「白鳥の湖」

批判するのが目的ではないし、バレエ団の様子もわかったので、
気分一新、舞台を楽しもうと、連夜新宿文化センターに向かった。

おそらく前夜の誰かが今日の主役を務めるのだろう、
とキャスト表を見比べ、おもわず「帰ろう」と思ってしまった。

ユーリー・ミーロフ、
なんでおまえの名前がそこにあるんだ〜〜〜!!!(ToT)

そりゃ、たしかに、君がいちばん王子らしい風貌なのは認める。
金髪で、脚も長く、ちょっとはかなげな雰囲気は、
ジークフリート王子に向いてると思う。
だが! しかし!! 日本では12回も「白鳥」を演るのに、
よりによってなぜ今夜、おまえがそこにいるんだよ〜。(TToTT)

前夜のガラ・コンサートで、いちばん見劣りしたのが、彼だった。
「瀕死の白鳥」を演じたアナスタシア・イサエワと組み、
エンディングの1コ前、トリともいえる「眠り」PDDを担当したのだが、
丁寧というよりは迫力のない、終始ぼーっとした踊りを続け、
しかも、なんと彼は、
グランジュテ・アン・トゥールナンができないのだ...。
ガラだよ。祭りだよ。そのいちばんの見せ場だよ。
わかっているのかい、ユーリー...。

嘆いていても仕方ないので、もう一度、気持ちを切り替える。

ゆうべの「白鳥」は、芸監ペトゥホフによる改訂版。
前奏が始まって早々に、オデットとお供の女官たちが登場、
さらにロットバルトが4人の部下を引き連れて現われる。
プロローグ付き、というわけだ。

この部下がペトゥホフ版の特徴で、
悪そうなメイクにぼろぼろの大きなマントを羽織り、
両手には棒を持ち(手と棒そのものは見えない)、
マントを鳥の羽のように大きく羽ばたかせる仕草を繰り返す。
黒子的役目も兼ねていて、他の版にはない、面白い演出だった。

ロットバルトは、最初は紳士的に振舞うのだが、
オデットに拒絶されると豹変、魔法をかけるような動きをすると、
オデットが上手の袖に駆け込み、
入れ替わりにチュチュ姿の主役が出てくる。
このあたりの演出は、もう一工夫したほうがよさそうだ。

すべての幕が上がり、1幕1場が始まる。
道化を務めたエゴール・モトゥゾフは、
このバレエ団の中では頭抜けたテクニシャン。
道化の名手はたくさんいるので、比べると雑なところもあるが、
彼のおかげで舞台が引き締まった。
背が低いので、キャラクテール専任なのだろう。

ただし、妙に偉そうな演技が気になった。
貴族の間をうろちょろできるのは「道化」だからであって、
ゴブレットを手渡す時などの仕草では、
もっと「階級」を表現しなければ、立場がはっきりしない。

舞台装置や衣装は、華美というよりはシックにまとめられ、
個人的には綺麗だと感じた。

トロワも無難にまとめており、
群舞もバラけたと思ったら突然ピタっと合わせたりと、
低空飛行ではあるが最後の一線は踏み外さないというか、
微妙なレベルを維持していた。足音がしない点は特筆したい。

肝心のオデット/オディールは、
前夜「瀕死の白鳥」とオーロラを演じた、アナスタシア・イサエワ。
色白のアナニアシヴィリ、といった風貌で、まだ10代との噂も聞く。
振付をこなすのに精一杯、白黒の演じ分けは笑顔の有無、
といったところだが、頑張っている雰囲気は伝わってくる。
32回転のフェッテ直後は、袖から激しい呼吸音が舞台にまで聞こえ、
大技の時はコケるなよ、頑張れ、と、つい手に汗握る応援モードに。

2幕、各国の踊りは、振付が簡略化されていたり、
ダンサーの体が固かったりと物足りなかったが、
4人の花嫁候補は、衣装のデザインも微妙に変えてあり、
他の版では直線的なフォーメーションを、
王子を中心に周囲をくるくる回るという動きにし、
4人の役作りも個性を出す工夫があって面白かった。

また他の版では、オデットの幻影は、
ロットバルトたちにとって好ましくない存在だが、
ここではそれを逆に利用していたのが新鮮だった。

例の部下たちが、上から見ると「十」字型にフォーメーションを組み、
対角線の区画にオディールとオデットの幻影が入り、
悪魔たちと一緒にくるくる回る。
王子の目線では、オデットとオディールが交互に現われ、
2人は同一人物だと強調しているように見えるのだ。

3幕後半は、王子と悪魔の対決ではなく、
ラブラブモードの主役2人を、
ロットバルトたちがひたすら引き離そうとする演出。

群舞たちは蹴散らされ、オデットが袖に駆け込むと、
舞台上には王子とロットバルトの2人だけになる。
ここでおもむろに王子が誓いのポーズを取り、
オデットを追って袖に刷ける。

悪魔は苦しみのた打ち回り、ほぼ死にかけたところで群舞が戻る。
続いて失神したオデットをお姫様抱っこした王子も現われて、
オデットが気が付くとハッピー・エンド。

総じて、ここのダンサーたちは踊りが小さい。
狭い舞台に慣れていないのか、遠慮しているように見える。
群舞も基本を16人と抑えているにもかかわらず、
ぶつかりそうになることも。
つい、マールイで修行してみては、と思ってしまった。

さて、ユーリー君。
単発のグランジュテの時は、高さも滞空時間もあるのに、
なぜ、アン・トゥールナンはしないのかい?
(マジでどこか具合が悪いのだろうか。)
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