辻村深雪『ファイア・ドーム』上下(小学館)を読みました。
著者は、小説家であり、日本でももっとも人気のある作家の1人といえます。
本書の舞台は架空の北陸地方のL県、時代はコロナ前の2019年とされています。
まず、その2019年のさらに25年前に県庁所在市にある百貨店の受付嬢が誘拐されて殺害される事件が起こっています。被害者は当時20代前半で、市会議員の娘でした。犯人はすでに逮捕され判決も無期懲役で確定していて服役しています。まったく同じ日付で小学生が行方不明になっており、少し後になって交通事故で亡くなっている遺体が発見されます。この交通事故は未解決です。
その誘拐殺人事件を背景にして、2019年のL県に視点を移すと、主人公は東京出身ながら、L県にある国立大学に進学し、そのままL県の公立小学校の教員をしている佐村美冬であろうと思います。大学生のころは女子サッカー部を立ち上げて、教師になって2年目の20代半ば前半の独身女性で、恋人は30代半ばで年齢が離れている地方新聞L紙の記者の桜木透真です。その佐村美冬が担任をしている小学校の4年生の児童である戌井光汰朗が行方不明となります。
行方不明になる直前の最後に戌井光汰朗に会ったのは、まさに、担任教師の佐村美冬であり、夕刻の日暮れ時に自転車で疲労回復のために鍼灸院に行く途中でした。行方不明に関する小学校での記者会見場に週刊誌記者が現れて、担任の先生がエステに行く途中に行方不明児童に出会って、日暮れ時であるにもかかわらず自宅まで送ることをせずにエステに行ってしまったのではないか、と質問し、ネット記事になって心ないコメントがいっぱい書き込まれ、佐村美冬はかなり心理的に参ってしまうわけです。しかも、佐村美冬は恋人の桜木透真から取材を申し込まれて、本格的に弱ってしまいます。
ということで、この先は読んでみてのお楽しみなのですが、行方不明になった戌井光汰朗の事件はストーリー半ばで解決します。ついでに、別のサッカークラブの児童虐待事件も同時に解決します。どちらも犯人は明らかです。
そこから、25年前の百貨店受付嬢の誘拐殺人事件をまだ追いかけているL新聞記者の浅川実が桜木透真とともに、誘拐殺人事件と交通事故を検証し始めます。
ただ、ラストはそれほど驚くべきものではありません。ネットの書き込みも、私から見て、それほどという感じはしませんでした。「1か月30万部」と評判がものすごかった割りには、私自身は少し拍子抜けした印象を持ちました。
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