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2026年05月26日07:58

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"How Poverty Fell" と題する論文を読みました。世界的に貧困が劇的に削減された経緯を分析しています。

"How Poverty Fell" と題する論文を読みました。世界的に貧困が劇的に削減された経緯を分析しています。
世界の先進国、日本も含めて、先進国となった国々では、かなりの程度にペティ=クラークの法則が当てはまります。ペティ=クラークの法則とは、私は最近の論文 "How Tourism Promotes Economic Development: A Case of Cambodia" の最後で、クズネッツ教授の Modern Economic Growth を引用して、(1) Agriculture declines; (2) Industry rises, then stabilizes; and (3) Services expand. と要約しています。すなわち、付加価値額=GDPや労働者数などで見て、経済の中心が第1次産業から第2次産業、そして、第3次産業へとシフトする、というのが通常の経済発展の姿であると考えられてきました。
しかし、この論文の Figure 6: Structural change and poverty status を見ると、貧困削減が進んだ中国、インド、インドネシア、メキシコ、南アフリカの5国では Ag→Ag、すなわち、農業への就業を継続したままで貧困が削減された割合が少なくなく、産業構造が変化し、生産性が向上する中での貧困削減とばかりは言い切れない、ということです。
ですから、この論文のABSTRACTの最後でも、データは貧困からの脱却経路の多様性を示していて、産業構造の変化、労働移動、職業選択の変化、女性の労働参加などはすべて貧困削減を説明できるが、すべてではないものの多くの場合、貧困から脱却した多くの家計はそういった変化を経験せずに脱出している "The data also illustrate a diversity of pathways out of poverty: sectoral transitions, migration, and changing occupational choices and female labor force participation can all account for some part of poverty reduction, but in all but a handful of cases, a majority of households exiting poverty did so without experiencing these changes." と指摘しています。
公務員だったころ、私は役所の同僚とともに、ペティ=クラークの法則も含めて、日本の経済発展の経験を新興国や途上国に伝える目的で "Japan's High-Growth Postwar Period: The Role of Economic Plans" を取りまとめた経験があり、世銀リポート Resilient Industries in Japan なんかにも引用されている立派な研究成果なのですが、認識をアップデートする必要があるのかもしれません。

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