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2025年12月22日08:48

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亀田啓悟・井深陽子[編]『「不安」の解析』(慶應義塾大学出版会)を読みました。

亀田啓悟・井深陽子[編]『「不安」の解析』(慶應義塾大学出版会)を読みました。
編者2人は、それぞれ、関西学院大学総合政策学部教授と慶応義塾大学経済学部教授です。本書の編者はもちろん、執筆陣は慶應義塾大学経済学部教授を2025年3月末で退任した嘉治佐保子研究会の門下生だそうです。
タイトル通り、1990年代初頭にバブル経済が崩壊してから、日本経済は長く停滞を続け、その中でいわゆる閉塞感や本書のタイトルにも取られている「不安」を多くの国民が感じている中、経済学の方法論に基づいてこういった閉塞感や不安について解明を試みています。本書は3部構成であり、企業の不安、家計の不安、政策の不安を各部で論じています。
企業の不安については、カルテル・談合の課徴金減免制度とマクロ経済の不確実性を取り上げ、家計の不安では中央銀行デジタル通貨(CBDC)と富裕税と景気変動の健康への影響を論じています。
しかし、やっぱり、最大の不安は政策の不安、特に、財政赤字や公的債務残高、あるいは、政府や民間における債務残高の累増ではなかろうかと思います。私は一昨年の紀要論文で "An Essay on Public Debt Sustainability: Why Japanese Government Does Not Go Bankrupt?" とのタイトルで公的債務のサステイナビリティを概観したこともありますので、政府の財政赤字=毎年のフローと公的債務残高=ストック、に焦点を絞ってレビューしておきたいと思います。
まず、私自身の考えでは、日本政府の公的債務残高は着実に安定化に向かっているし、少なくとも、日本政府が国債のデフォルトに陥ることはとても可能性が低いと考えています。本書でも言及されている現代貨幣理論(MMT)的な無条件でのサステイナビリティは認めませんが、実務的にそんなことはほぼほぼあり得ないと考えているわけです。世代間で後に生まれる世代に借金がつけ送りされるとも考えていません。
ただし、第1に、民間投資をクラウディングアウトする可能性は否定できません。第2に、国民のマインドや金融市場に影響する可能性です。いわゆる「野獣を飢えさせろ」Starve the Beast 的な政策運営の原因となる可能性がありますし、英国のトラス・ショックも、まだ記憶に新しいところです。第3に、可能性としては極めて小さいといえますが、財政がいわゆる「雪だるま式」に赤字を増大させて発散する可能性もなくはないといえます。
ですので、私は緊縮的な財政で債務残高を縮小させるのは得策ではないと考える一方で、いくらでも赤字を垂れ流してもいいとまでは思いません。その時々の国民の判断にもよりますが、適切な範囲で財政赤字をとどめて、金融市場や国民のマインドを悪化させることのない財政運営は必要だと考えています。

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