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2024年03月21日03:01

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いまさら“体感型イベント映画”につきあう気は起きませんでした。ルイ・ルテリエ監督「ワイルド・スピード/ファイヤーブースト」(2023)。

僕は60年前にシネラマ初の劇映画「西部開拓史」をOSシネラマ劇場で見て、巨大なパノラマ画面に展開するエンターテインメントに狂喜しました。そこには間違いなく、映画という娯楽装置のひとつの姿が存在し、圧倒的な映像体験を堪能したからです。それは曲りなりにもジョン・フランケンハイマー監督の「グラン・プリ」まで続きました。

そしてソニーがアナログフィルムによるIMAX劇場を展開して、“シネラマ”が開拓した見世物映画が復活するかと感じたのですが、けっきょくローリング・ストーンズのライブ映像が印象に残っただけでした。そして現在は、「ワイルド・スピード/ファイヤーブースト」のようなアミューズメント映画が、IMAXの大スクリーンを賑わせているわけです。

ええんやないですか。しょっちゅう映画館に足を運べる(つまり金銭的余裕がある)人には。しかし、「ノートルダム 炎の大聖堂」という普通画面を対象にした作品をIMAXにブローアップする手法が数多くなる(つまり本来のIMAX画面を念頭に制作した作品ではない)と、大画面の迫力も意味がないわけです。

たとえばウィリアム・ワイラー監督の「ベン・ハー」をシネラマ劇場で見せるのなら、巨大な宗教画の再現を目論んだ映画ですからまだ分かります。あるいは「2001年宇宙の旅」を再映するのもいいでしょう。だけどシネラマ作品として制作されたとは言え「カスター将軍」(1967)程度ではダメですよ。

ということで今回はWOWOWで「ワイルド・スピード/ファイヤーブースト」を見ました。そしたら冒頭から“この映画はIMAXやでぇ。お前とこのテレビ画面じゃ効果半減(どころか壊滅)やでぇ”と画面が語りかけてきました。だからそこで見るのをやめればよかったのですが、つい“出来心”で2時間21分を全編見てしまいました。

でもって怒り心頭なわけです。まず上映時間は2時間21分(正確には2時間11分の時点で映画は終わってしまう)ですが、大風呂敷を広げたストーリーは“To be continued…”なのです。あくどい商売、やめなはれ。公正取引委員会に持ち込みたいわ。

こういう体感型“遊戯”がこれからも増えていくようですね。たしかに映画のスタートは、汽車がホームに滑り込んでくる映像などでした。それだけでも観客は逃げ惑ったそうです。また「これがシネラマだ」(1955)を見た観客が失神したと宣伝(喧伝ですな)されています。そんな70年前と“同じ手”が21世紀も1/4が過ぎようという今日、まだ有効なんですな。

もっとも僕も、ガル・ガドットが30分くらい出てくれていたら文句は言いません(写真3)。でもせっかくのブリー・ラーソン(写真2)が、この程度の出番だとガル・ガドットでもダメでしょうなぁ。とりあえず9年間も密室に監禁されていたラーソン母子が、スーパー・ヒーローの一員として活躍するのは嬉しい。あ、ドゥェイン・ジョンソンは今作程度の出番でええですよ。

てなわけで僕は、もっときちんとしたエンターテインメントを要求します。この程度のアミューズメントにお金を払う気はない(というかオラの財布に金が無い!)。←でもお台場にできる“体感型アミューズメント”は一人6800円も取るんですってね。とはいえ、推しのアイドルが出ていたら参加したくなるのか?←自問自答ですだ。

ということで、映画会社の収奪装置に手を出すことは、本当にこれ限りにしたいと思います。なんかの拍子で100インチ以上のスクリーンが手に入ったら、そしてそのときまだ有料BSあたりと契約していたら、こういう体感型アミューズメント映画につきあってもいいかな、とは思います。サイナラ、サイナラ、サイナラ…。
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