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2024年03月07日02:21

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ずっと敬遠していたWOWOWですが、この映画を見るため再契約しました。そしたら恐るべき“トンデモ”映画でした。トッド・フィールド監督「TAR/ター」(2022)。

トッド・フィールドという監督さんは「リトル・チルドレン」が面白かったと記憶しています。その前の「イン・ザ・ベッドルーム」は全く記憶にない。←ミクシィを検索したら“好きではない”と書いていますね。見てはいるんだ(笑)。そしてなんと、トッド・フィールドの監督作としては、16年ぶりの監督作だそうです。

劇場公開時は、株主招待券が使える劇場で公開していなかったこともありパスしました。なにより2時間38分という上映時間がカチンときて、パスを決め込んだしだい。1年前のオスカー候補として話題になったとき、アジア勢の投票攻勢で6部門ノミネートも無冠に終わった映画です。

そもそもWOWOWという有料放送には、デビッド・リンチの「ツイン・ピークス」が放送されたときに契約し、それから30年近くずっと契約していたのでした(F1中継のためもある)。なのに3チャンネルのうちほとんど1チャンネルしか見ないことから、年に1か月だけの復帰すら止めていました(アカデミー賞授賞式に魅力がなくなった)。

それなのに、この「TAR/ター」が放送されていることを知り、同時にスター・チャンネルのセット視聴を再開すれば、もう少し面白い映画が見れるだろうと判断したわけです。ちょうどオスカー授賞式の期間でもあり、スター・チャンネルとの抱合せで1か月視聴料が半額になるし。←3月2日に入ったら、ほぼ2か月を1か月分の支払いで見られるし。←どこまでもケチでっしゃろ(笑)。

でもって録画した翌日にすぐ見ました。いきなりハイビジョンでも読めない小さな字でクレジットが始まります。どうやら普通はエンド・クレジットでロールアップする内容を巻頭で見せようという腹づもりらしい。こんなん、読みきれへんで。今後、契約書に“名前をクレジットする”という条件を付ける人は、ビリングだけでなく表示文字の大きさにまで言及しないと意味ありませんよ。

これが劇場公開と同じ(だと思うけど疑わしい)なら、冒頭のタイトルは座席を探す時間、ラストのクレジットは見ずに席を立つ時間ですね。そもそもMPAAナンバーだって、画面ストップして20センチまで近づかないと読めへんがな!←ビリング100%で契約したと喜んでたヤツ、おったらアホやな。

そしてまた暗い画面がうちのテレビでは何も映っていないように見える。1時間半くらいしたところの室内シーンでは30秒以上暗闇に見えました。放送事故扱いでっせ。それでも2時間38分、ちゃんと見終わりましたけどね。

そしてジュリアード音楽院における授業風景が延々と展開される冒頭場面、僕は気に入りました。つまりクラシック音楽に向き合う姿勢というものを論じながら、実はこの映画に向き合う姿勢を問いかけているわけです。音楽は、作曲家の社会的な立ち位置と切り離して考えろ、とリディア・ター(ケイト・ブランシェット)は説きます。

つまりターは、同性のシャロン(ニーナ・ホス)と夫婦であり、娘のペトラに自分のことをパパと呼ばせているのでした。そのペトラが学校でいじめられていると知り、いじめっ子を恫喝するシーンが面白い。このまんまの調子で、どんどんターの世界が発展していくのでした。この空想展開についていけない人は残念でしたね。

もっとも僕も、終盤の“意外な展開”にはオタオタしましたよ。ちょっと待てや、と思いました。そもそも「猿の惑星」の音楽に言及するあたりにも“?”でしたし。つまり、ケイト・ブランシェットの指揮姿がなかなか堂に入ってると思え、チェロ奏者を演じる俳優さんが弦を抑える指の動きがちゃんとしていると見えたわけで、それで僕には十分なんです。

なんでもケイト・ブランシェットはこの映画のために指揮法を学び、チェロ奏者役は本物の演奏家に演技を習わせたそうな。僕のような素人には、それで十分なんです。ケビン・コスナーの野球プレイ姿と同程度に本物っぽい。とはいえ結末はどうでっしゃろ? 皆さんそれぞれ実際に見て感じてください(笑)。

ということで、この映画は“一般的な”映画ファンを相手にしていません。とことんマニアに対して挑戦状をぶつけています。ええじゃないですか、その見上げた根性。←見降ろされているかどうかは、観客の態度によります。つまりジュリアード音楽院に進学したのは“最高の授業が受けられるから”という程度に考える一般人には向かない映画です。

ということでリディア・ターはベルリン交響楽団初の女性常任指揮者の席を蹴って、広く全宇宙の音楽理論の最先端へと飛び出していったわけです。宇宙を相手にするならこの意気ですね。イーロン・マスク程度じゃ異論に蹴飛ばされるでしょう。たかが映画じゃないか、楽しまなきゃ損でっせ。

写真2が娘を学校に送り届けたパパ。いじめっ子は後の赤い服の子です。写真3がオルガを演じたチェロ奏者のソフィー・カウアー。
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