他力本願

風景学入門＠読書感想文
　やっと読み終えた。感想文は読中感想文でだいたい書き終えているが、どうしても付け加えたいものがある。最後の註が長文で大乗仏教の「空性」について述べられている。

＞（前略）設計者の自力をやや控え目にして、むしろ環境デザインの無名性と他力性を多とするほうがよい。たとえば、材料の味わいの育つのを待ち、木立の茂りや水面の虚ろな姿の風景力を頼む。あるいは、集団表象化された風景の”お手本”に学び、辺りの趣きに”つけ合い”、隣り合う空間に”縁づける”呼吸（おさまり）など、みな他力の設計思想である。

　これが他力本願の正しい意味だったのか！これもまた写真に通づる。写真という営為は正に他力本願だ。被写体に依存し、またカメラという撮影装置に依存する。
　さらにまた偶然にも依存せねばならない。私ができる事といえば、どうしたらその偶然が起きる確率が高まるのかを考える事くらいだ。

　蛇足的に書いておきたい。私は般若心経の「空」がよく解らなかったが、本書により「サピエンス全史」のハラリ教授が仰っている「虚構」と同じものなんじゃないかな？と思った。