ま〜だ読み終わっていない。風景の基本を外して風景にならない写真を撮る目的の本書だが、その目的は全く達成されていないし読破してもされないだろう。代わりに風景に対する多くの知見を得た。ゲシュタルト心理学や神仙思想、茶道のさわり。
私の旅はだいたい野宿やキャンプである。安く済ませたいのもあるがビジネスホテルでの宿泊体験は最悪だ。そりゃあもちろん快適だ。だが快適なだけで野宿で得られる素晴らしい体験は望むべくもない。
いっぽう古民家改造のゲストハウスや古い旅館には泊まってみたい。その理由が本書で解った。上質な風景体験がしたいのだ。要は当初の目論見は完全な失敗で、私の風景に対する欲望が露呈しただけだった。
著者、中村良夫名誉教授は工学博士、本書が道路工事の設計者向けのテキストであることに第7章でやっと気づく。これは驚きだ。道路工事設計者はそんな事を考えていたのか?本書は理系それも工学系の人が書いた文章とは思えない。
バイクで旅していると道路工事の現場にたびたび出くわす。自然が蹂躙されている事に苦虫を噛み潰しつつ、文句が言えない事も自覚する。自分もその恩恵に浴しているからだ。たとえば国道4号線と17号線のバイパスだ。延長や拡幅されるたびに便利さを実感した。もう旧道なんか通りたくもない。
いっぽうで私が提唱している「旧道バイクサンクチュアリ理論」というのがある。たとえば山陰道には無料の高速道路があり国道9号線はガラ空きだ。ここを敢えて旧道たる国道9号線を行く。するとグネグネ曲がっていて実に楽しいのだ!
閑話休題、道路行政に疑義をきたすこともあるが地元民にとっては悲願なのだ。旧道の所要時間と新道のそれとは雲泥の差だ。その時間で救急搬送では生死を分ける。
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