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2023年12月08日23:53

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動画アリ!ZARDの坂井泉水が育った丹沢山麓秦野市を中心に旅する 2023年第17回目(最終回)12月3日(日)〜Don't you see!〜 また会う日まで 紅葉狩り

<2023年 第17回目 12月3日(日)〜Don’t you see〜 また会う日まで 2023年下半期の旅を振り返る>

 昨2022年 10回分の旅行をまとめた日記 2022年12月4日(日)負けないで
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写真=上記の日記より 今泉名水桜公園のカラーの花
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2023年に、丹沢山麓秦野市を中心とした旅、いよいよ最終17回目である。前日の12月2日(土)に続き、2日連続小田急線と神奈川中央交通社が発行した「丹沢・大山フリーパス」を使い、紅葉スポットを巡った。テーマは、1997年1月6日に発売されたZARDの19作目のシングル「Don’t you see」の歌詞である。坂井泉水が生前唯一参加した2004年のライブツアー、Wha’t beautiful momentでは、アンコールのラストを飾った曲である。
 
2019年にトリビュートバンドとしてデビューした「SARD UNDER GROUND」のライブツアーにおいても、2021年と2022年はラストナンバーとして披露された。同曲の歌詞と共に、色づいた紅葉スポットを巡る。

 写真=Don't you see!のCDジャケット TOWER RECOAD店より
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 目次
・第1章 Don’t you see!のMV撮影について
・第2章 海老名市相模大堰、厚木市若宮公園
・第3章 昼の緑水庵、戸川公園へ、
・第4章 戸川公園 渋沢丘陵・今泉町の高台からの夜景 2023年下半期の旅を振り返る
・第5章 緑水庵ライトアップ 平和への願い、また会う日まで
          
       第1章 Don’t you see!のMV撮影について

 詳細 Map-38 「Don't you see!」https://www.zard-lab.net/pv/map-38.html

 Don’t you seeを日本語で直訳すると、「あなた、分からないの」を意味する。まるですれ違う二人の男女の姿が浮かび上がる。これまで私の旅は、物語風に、春先の進学や就職に伴う引越しにより、故郷に恋人を残した一人の青年に置き換えて勧めてきた。新居へ旅立つ前、十分に自分の思いを伝えられず、疎遠になってしまったのである。鬱屈な日々を送る中、秦野市を含め、横浜みなとみらい、東京都の青梅市・奥多摩町を旅して、世界観を広げ、心変わりした様子を描いた。坂井泉水の歌詞は、まさに、躓きながらも、やがて希望を持って生きる若者像が見える。

 生前はテレビの前に姿を見せなかった坂井泉水、彼女の姿を知る唯一の方法は、CDのジャケットだった。肩まで伸ばした髪の毛、切れ長の目に澄んだ瞳の彼女は、清純派女優の風格が漂う。容姿の良さを褒められることもあり、時に誹謗中傷も耐えなかったという。2007年5月27日に亡くなると、事務所によって、過去に無人のスタジオで披露した映像を中心に、フルサイズのミュージックビデオが公開されたのである。Don’t you seeは、CDのジャケットを撮影するに当たって、ユニークな設定をした。手足の長さを強調するべく、信号機を支える手すりを両手で掴みながら、コンクリートブロックに足を乗せた。宙釣りになることなく、背筋を弓のようにピンとしっかり張り、スタイルの良さが引き立った。曲をPRするMVでは、動画化され、タクシーの天井に座り込む写真とも組み合わされていた。

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後にフルコーラスのミュージックビデオが製作されている。ロケの舞台は、アメリカのニューヨーク・シティのマンハッタン島である。1996年8月から9月にロケが刊行された。Cメロのサビの一場面では、モデル顔負けのプロポーションを披露している。紺色のジャケットや赤いコートを身につけ、アイメイクをした坂井泉水が、ファッション誌の撮影のように、片手を腰に当てて、決めポーズをとる。場所は、NY証券取引所がある町の中心地だった。


彼女自身は、バブル期の1989年から1990年まで2年間、プロポーションの良さをかわれ、本名の「蒲池幸子」名義で、モデル活動をしていたのである。Don’t you see!では、数少ない全身ショットが公開され、腕を振って、街中を歩く姿が映し出されていた。後奏部分では、ロケに協力してくれた警官にお礼を込めて寄り添い、カメラの前でにっこり微笑んだ。

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お茶目で、ジョークも好きだった彼女の内面を垣間見ることができた。彼女の大らかな心を育んだのは、丹沢山地の雄大な自然である。2023年の旅、Don’t you seeをテーマにいよいよ最終回を迎える。

第2章 海老名市相模大堰、厚木市若宮公園

前日に続き、12月3日(日)に、青年は再び丹沢山麓秦野市を中心に旅をした。昨日はお昼の時間もそこそこに、電車やバスを乗り継ぎ、動きっぱなしで、疲労感があった。それでも朝6時代には目を覚まし、午前9時には最初の目的地、相模大堰へと向った。堰の真上の人道橋を渡りながら、遠めから下流側のカワアイサの集団を確認する。オスとメス、それぞれ複数羽、毎年冬の間羽を休めている。また新たに撮影チャンスがあると期待し、厚木市側へ出て、本厚木駅を目指して北上した。お弁当やコンデジを入れたリュックを担ぎながら、まっすぐ走りだす。朝から体を動かすことにより、気持ちも引き締まる。青年は、これまでの旅の出来事を、手紙に綴っていた。

 Don’t you seeの歌詞にその心情が反映されている。

Aメロの歌詞

「友達に手紙を書くときみたいに スラスラ言葉が出てくればいいのに もう少しお互いを知るには 時間が欲しい」

 同姓の友人同士であれば、思ったことをすぐに言い合うことができる。

 気になった異性と対面する際、緊張して、言葉に詰まってしまう。特に告白となれば、勇気がいる。申し込まれた方も、恋人として受け入れるとなると、交友関係にも制限が生じる。互いに分かり合うまで、時間が欲しいと、返事が返ってきた。

 続く歌詞:「裏切らないのは 家族だけなんて 寂しすぎるよ Love is askind to be love」

 我々人は、両親や兄弟以外の関係も必要である。会社にいれば、同僚や部下、上司と信頼関係を築くことにより、ステータスを得ることができる。

 青年は、別れてしまった恋人が戻ってくることを信じていた。今は、ただまっすぐ本厚木駅へ向って、走り続けた。

 その気持ちは、続く歌詞に表れている。

「信じる事をやめてしまえば、楽になるって わかっているけど」

 恋はいっそ諦めてしまえば、心理的に負担は少なくなる。それでも心の空白を埋めることはできない。青年は、そっと思いを胸にしまっていた。

 駅構内の観光案内所に立ち寄り、紅葉情報を聞き、森の里町の若宮公園に向った。周囲は閑静な住宅街、歩道にはレンガ色に染まったメタセコイヤ、黄色い葉をつけたイチョウ、真っ赤に色づいたモミジが育つ。森の里は、坂井泉水のゆかりの地である。若宮橋バス停から団地の中の階段を上った先の松蔭女子短期大学に通っていた。2004年以降、男女共学の4年制の「松蔭大学」に変わっている。若宮橋バス停から、松蔭大学の方まで続く団地の中の歩道は、高低差がある。階段を登りながら、後ろを振り返ると、次第に丹沢の山々の稜線が見えてきた。陽に当たることにより、一段と葉っぱの色合いが引き立つ。

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モミジやイチョウ、メタセコイヤの葉を眺めながら、階段を下り、バス停を挟み、反対側の若宮公園へと向った。
 
 すり鉢状の形をした園内の底の部分に、カモ類が羽を休める人工の貯水池がある。池に注ぐ沢の両脇にモミジが植えられ、枝が伸びることにより、アーチを作っていた。既に真っ赤に色づいた落ち葉が、岩に引っかかり、幾分流れを遮っている。沢沿いから、バス停とは反対側に、こんもりと生い茂った森がある。赤く色づいたモミジとオレンジ色のウサミズザクラを含め、色鮮やかな森の中で、とりわけ真っ赤に染まった一つの小さな塔が目を引く。風月亭といい、1985年に中国の江蘇省揚州市と友好都市を締結するに当たり、寄贈されたという。

 詳細 株式会社 リビングボイス https://www.living-voice.jp/blog/entry-276311/

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色づいたモミジを背景に、真っ赤な風月堂の凛とした佇まいに、気品さえ感じた。恋も同じように、紳士的に振舞うべきだと気付かされた。

 Aメロのサビの歌詞には、青年の本音が書かれている。

「Don’t you see! 願っても祈っても 奇跡 思い出 少しは気にかけて」

 どんなに日常生活が充実していても、我々は、思い出を振り返りながら、大切な友人や恋人との再会を夢見ている。

 「Don’t you see! ちょっと醒めたふりをするクセは、傷つくのが怖いから」

 一緒にいても、時に恋人の問いかけに対して、時に答えがあいまいになってしまう。新生活へ旅立つ前にも、思いを伝えられず、そのまま別れてしまった。



第3章 昼の緑水庵、戸川公園へ、

 正午過ぎ、バスと電車を乗り継ぎ、秦野市の蓑毛を訪れた。毎月第一日曜日に重要文化財を公開している「大日堂」と共に、向かい側のお寺「宝蓮寺」に足を運んだ。2つのお寺の境内の紅葉は見頃だった。

 写真=大日堂の境内       写真=宝蓮寺
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 標高761mのヤビツ峠の麓に位置し、昼時下りのロードバイカーと、登りのロードバイカーがすれ違っていた。バスは、蓑毛以降、ヤビツ峠へ向う便は、限られる。秦野市内の生活拠点の北限が、ここ蓑毛町だった。

 蓑毛バス停も日中のバス便は30分に一本、つい逃してしまうと、待たされてしまう。

 Bメロの冒頭の歌詞にもバスを逃した若者の心情が描かれている。

 歌詞:「TAXI乗り場で 待っていた時の沈黙は、たった5分なのにものすごく長く感じた」

 次のバス便まで時間があり、急いで移動する際には、タクシーが必要である。それでも、乗車の列が出来ていると、わずかな時間でも、焦っている状況から、待たされたような感覚を抱いてしまう。

 続く歌詞:「無理をして 疲れて 青ざめた恋は予期せぬ出来事」

 根つめて何事にも取り組むと、時に嫌気がさしてしまう。恋人との待ち合わせ時間に遅れまいと、慌ててタクシーを使い、渋滞にはまると、気が急いて、不満をぶつけたくなる。進学や就職、恋愛にしろ、思ったとおりにはいかないもの。プレッシャーから開放され、気兼ねなく物事に取り組む環境こそが、ストレスの緩和に繋がる。

 サビの歌詞:「Don’t you see!小さなケンカで、負けず嫌いな二人だから ホッとしたの」

 写真=PVの一幕
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 坂道を下る際、青年は思い出を振り返っていた。自分も恋人も意地を張っていたのかもしれない。でもお互い、心の迷いから、くよくよする相手を見たくなかった。

 続く歌詞:「Don’t you see!色んな人を見るより ずっと同じあなたを見ていたい」

 写真=2004年のツアーの一幕
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 新生活に向けての一抹の不安からふさぎ込む自分を、彼女は受け入れられなかった。男らしく、決断力をしめすべきだったのである。坂道を下るうちに、風を切る爽快感により、疲れも吹き飛んでしまった。気付けば、蓑毛バス停から2つ手前の青年橋付近を通り過ぎていた。道路に面した水車小屋のわき道を抜けて、古民家「緑水庵」を訪れた。夜間とは一転して、華やかさはないとはいえ、質朴な平屋の家は、丹沢の緑豊かな風景に溶け込んでいる。

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青年は、自由に出入りしながら、傘の位置を調整した。コーヒーを頂ながら、持参したお弁当を食べて、休憩する。木のぬくもりを感じる室内は、夜間と比べて人が少なく、ゆったりとしたひと時を過ごせた。

 秦野駅へと戻り、観光案内所に立ち寄り、顔なじみの職員とも雑談した。駅南口から徒歩5分に位置する今泉名水公園でのこと、数日前に池の水を抜くかいぼりを行ったという。空っぽにすることにより、捨てられたごみを回収し、外来種も取り除く。湧き水の影響により、すぐに元通りになったという。地元の人は、些細な変化も見えてくる。盆地内で生息するイソヒヨドリは、鳴き声は聞こえなくても、姿をよく見かけるという。

 小田原へ向う下り列車の時間を気にして、職員とは別れ、隣の渋沢駅に移動した。坂井泉水が、高校時代からデビュー後もしばらくは利用した駅、11月23日(木・祝)には、南口の商店街前にて開催された「えびす溝祭」の一環として、ZARD駅メロライブが開催された。登山客が利用する駅構内において、「負けないで」と「揺れる想い」のオルゴールメロディーが、より耳に響く。彼女自身は、デビュー後、列車の混雑を避けて、午後から都市部の六本木のスタジオにて、レコーディングを行ったという。来年は駅メロ採用から丁度10年を迎える。時がたっても彼女の功績は残っていた。

第4章 戸川公園 渋沢丘陵・今泉町の高台からの夜景 2023年下半期の旅を振り返る

11月23日(木・祝)にも訪れた園内、当時モミジは緑の葉を残していたものの、すっかり赤く色づいていた。当時も顔を合わせた公園内の秦野ビジターセンターの職員によると、急に冷え込んだ影響により、色づきが進んだという。

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続いて、陽が傾きかけた午後4時過ぎに、関東大震災の名残となる震生湖畔を一周する。夜釣りに備えて残る人がいる一方、子連れの散歩客ともすれ違った。周囲に街灯は一切なく、真っ暗闇に包まれる。人里離れた湖は、ゆったりと時間が流れていた。

    
震生湖から尾根へと続く崖の中腹に位置する弁天道で参拝し、平和な世の中に戻るように祈った。尾根へ出て、秦野駅側へと戻ると、盆地の町並みが見えてくる。今日も今泉町の高台からトワイライト夜景を眺めた。

 冬場は、作物が育たず、表面の土を均平にしていた。空気が澄んでいる分、街中の明かりが、蝋燭の炎のようにおぼろげに浮かんだ。

 写真=16時50分 東側方面    写真=17時 秦野盆地を眺める
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 眼下の町明かりは、心機一転した青年を迎えてくれるような暖かさに包まれていた。

 ここで、2023年7月以降下半期のみ過去6回の旅を振り返る。

 2023年10回に渡った上半期の旅をまとめた日記 6月18日(日)Listen to me
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1985392921&owner_id=32437106

 7月23日(日)二人の夏 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1985655301&owner_id=32437106

 写真=上記の日記より 蓮の花
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 8月20日(日)もう少しあと少し https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1985829702&owner_id=32437106

 9月24日(日)永遠 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1986136530&owner_id=32437106

写真=上記の日記より 渋沢丘陵今泉町の高台からの夜景
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 11月5日(日)もっと近くで君の横顔みていたい
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  11月23日(木・祝)GOOD DAY
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12月2日(土)息もできない
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1986490500&owner_id=32437106

 写真=上記の日記より 12月2日 16時55分 トワイライトタイムの緑水庵
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 季節ごとに装いを変える秦野市は、植樹活動が実を結び、盆地から丘陵地まで花が育つ。フォトスポットとしても定着していた。

 最終第5章 緑水庵ライトアップ 平和への願い、また会う日まで



秦野駅へと戻ると、観光案内所の職員が、丁度閉館準備に入っていた。本来午後5時迄のはずだが、延長したようである。実のところ、震生湖に向う前の午後3時30分頃にも立ち寄った。その当時伝えた言葉をもう一度繰り返した。{昨年のこの時期(12月4日)に次の言葉を述べました。「新型コロナが収まり、ウクライナ紛争も終るように祈っています」職員もその言葉を覚えていたのか、うなづいていた。私はさらに続けた。「コロナと共存する時代は幕を開けましたが、ウクライナ紛争は続いています。新たにガザ地区で紛争が起こりました。平和な世の中に戻るように祈っています。来年もよろしくお願いします」

時刻は午後5時30分を回っていた。職員にお別れをして、バス停へと向った。正午に訪れた緑水庵へ、ライトアップを狙う。

 前日の土曜日とは一転して、静けさに包まれていた。玄関口から出てきた一人のカメラマンに声をかけられた。職員はたまたま不在だという。そのカメラマンも傘の位置を変えながら、シャッターを切っていた。やがては、昨日も居合わせた一人の職員が、他の来場者を連れて、訪れた。昨日のお礼の言葉を述べるとともに、照明スイッチを自由にON、OFFにして良いか、たずねた。私とそのカメラマンが狙うのは、秦野観光協会が発行したカレンダーに掲載された写真と同じ構図である。室内の照明を落とすことにより、庭に植えられたモミジの赤い葉っぱが強調されるという。

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 そのカメラマンは目的を果たして、午後6時35分に、秦野駅へ向うバスに乗って帰った。その後新発見があった。敷地内の池の辺に植えられたモミジの赤い葉っぱを照らすrライトの位置を変えることにより、大きな変化があるという。モミジの木の真下は池である。角度を調整したことにより、水深2cmから3cmの池に、幹から枝が大きく張り出す様子が、しっかりと映し出されていた。水面の反射光を利用した写真、リフレクションは、ライトの当て方によって、印象が大きく変わった。青年は、神秘に包まれた世界を体感し、ここ蓑毛町を故郷のように感じてしまったのである。

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 Don’t you seeのCメロの歌詞にも表れている。

「Don’t you see! I’ll worry tonight I’ll lay tonight You Know I do it for you。Don’t you See! 産まれた町の匂い 暮れかかる街路樹を二人歩けば」

 暮れ行く町並みを眺め、青年は心を入れ替えることができた。今度は恋人と一緒に街中を歩きたい、それが叶わなくても、現実を受け入れる覚悟を決めたのである。

 歌詞:「Don’t you see!世界中の誰もが どんなに急いでも私を捕まえていて」
                             <終わり>


 先のことを見据え、準備を進めても、今の大切な人を忘れてはいけない。言葉によって相手の心を掴み、共に歩むべきだった。旅先で起こった出来事をノートに書いていくうちに、整理されてきた。失敗して悔いていても、春、夏、秋、冬と季節は進んでいく。いかに現実を受け入れ、新たな日常をスタートさせるか、成功か失敗かの鍵を握る。

  生前唯一参加した2004年のツアーにおいて、ラストナンバーとして披露した同曲を歌い終えると、坂井泉水は、次のようなメッセージを発した。「今日来てくれてありがとうございました。またあいましょう」と、後奏中に両手を重ね合わせ、深くお辞儀をして、後ろへと下がった。

 写真=メッセージを発する瞬間
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主役を務めた彼女が先にステージを去り、10数人になるバックのバンドメンバーを引き立たせた。彼女の伸びやかで朗らかな声と清楚な佇まいには、現地の参加者と共に後にDVD化された映像の視聴者の心を打った。「またあいましょう」の言葉は、本心だった。彼女は2007年4月に、闘病生活を送るに当たって、同年秋からのツアー計画を練った矢先に、事故によって帰らぬ人となった。彼女の意思を次ぎ、当時のバンドメンバーを中心に、フィルムコンサートの形で実行に移したのである。


 秦野市内で育った坂井泉水は、青春を謳歌する若者をモチーフにした歌詞を数多く発表した。人生は思い通りにいかない。躓くこともしばしばある。困難を乗り越えるには、人との出会いを通して、新たな価値観を得ることである。坂井泉水も、OL生活やモデル生活を経て、デビュー後も見識を深めていた。2019年にデビューした「SARD UNDER GROUND」を初め、その他坂井泉水に共感を抱いたアーティストによって、令和時代も歌い継がれている。

 2023年、世界はコロナによる制限はなくなり、自由に人々が行き来する。日本では平和な時間がながれる一方、世界各地では紛争が続く。ロシア軍によるウクライナ侵攻は2年目を迎えた。ロシア軍が占領地で防御体制を築いたことにより、6月から始まったウクライナの反転攻勢は難航した。西欧諸国の間でも、エネルギー価格の高騰により、自国民の暮らしが厳しくなるに連れて、ウクライナへの支援疲れが見え始めている。中東では、事態がより不安定である。その一つ、国際的にアゼルバイジャン領でありながら、アルメニア人が実効支配していたナゴルノ・カラバブ地区では動きがあった。9月19日にアゼルバイジャン軍が、アルメニアの支配地域に対して、対テロ作戦を決行し、わずか1日で屈服させた。アルメニア人から成る「アルツァフ共和国」の政府に対して、2024年1月に国家機関を解散する法令に署名させたのである。イスラム教シーア派が中心のアゼルバイジャン人が、キリスト教の一派アルメニア使徒教会を信仰するアルメニア人から領土を簒奪し、同地域を掌握した。12月7日に、アルメニア首相府とアゼルバイジャン大統領府は、共にソ連から独立して以来、初めて和平に向けた共同声明を発表した。信頼醸成措置として捕虜交換を行う。両国政府によると、アルメニア兵32名、アゼルバイジャン兵2名が、解放されたことを明らかにした。なお、アルメニアは7日、2024年の国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)について、アゼルバイジャンの開催国立候補を阻止しないことに同意した。

写真=2023年11月 ナゴルノ・カラバフ地区でのアゼルバイジャン軍のパレード
掲載元 日経新聞 2023年11月8日付 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB080ZB0Y3A201C2000000/
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 最大の国際問題は、パレスチナのガザ地区の人道危機である。イスラエル軍が、ハマス殲滅を掲げ、同地域の北部から南部まで地上侵攻した。ハマス一人に対して、民間人二人が犠牲になっているとの見方もある。イスラエル軍の一般人を省みない軍事作戦に、アラブ諸国に問わず、世界から非難の声が高まった。アラブ人とユダヤ人の間では、亀裂が深まり、関係改善はさらに困難を極めた。争い事の解決には、民族の違いを超えて、お互い尊重し合うことに限る。坂井泉水は、バブル崩壊後、苦しむ人々に寄り添い、未来の展望を歌詞に織り込んだ。平成史に残る名曲を残した彼女は、丹沢の雄大な自然の下で、スポーツや詩の作成、絵画などに打ち込み、いずれも高い能力を発揮した。最終的に夢に描いたのは、歌手になることだった。市内を旅することにより、彼女の世界観を感じることができる。秦野市はまさに故郷だった。透明感のある歌声から発せられるメッセージは、時がたってもなお、多くの人々の心の中で生き続けている。

掲載元 Twitter はずはず 2022年2月15日付 https://mobile.twitter.com/ha2_mo_10
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