今回のテーマは、中東情勢である。2023年10月7日のパレスチナのガザ地区を実効支配するハマスの戦闘員が、イスラエルへ越境攻撃に出て以降、緊迫感が増している。
ハマスを支援するイランは、かねてから敵対関係にあったイスラエルとの間で、軍事的衝突の可能性が高まっていた。レバノン南部を支配するヒズボラ、イエメンの反政府勢力フーシー派を含め、代理勢力を駆使して、イスラエルに軍事的ダメージを加える。イスラエルも、核開発するイランを時刻の脅威とみなしていた。中東各地へと戦争が飛び火するのか、詳しく検証する。
2024年4月9日 ニカラグアが、イスラエルを支援するドイツを提訴へ
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1987348036&owner_id=32437106
ヨルダン・ハシェミテ王国について 2024年2月13日付
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1986965328&owner_id=32437106
第1章 国連でのガザ情勢の協議 安保理決議で米国が始めて棄権に回る
米ニューヨークにある国連本部でも、ガザの深刻な人道危機について、議論が交わされている。
以下 REUTERS 2024年3月26日付
https://jp.reuters.com/world/us/GRUZHHQYPJJ3DOOKRMLIRMYCGY-2024-03-25/
国連安全保障理事会は3月25日、イスラエルとイスラム組織ハマスとのパレスチナ自治区ガザでの戦闘の即時停戦と人質全員の即時かつ無条件の解放を求める決議案を賛成多数で採択した。全15理事国のうち14カ国が賛成。米国は棄権している。
米国は、幾度となく、常任理事国の特権として、ただ一国のみ拒否権を発動して、決議を妨害していた。アメリカの世論も戦闘休止に傾く中、黙って成り行きを見守ったのである。
国際司法裁判所(ICJ)もイスラエルの軍事行動に対して、人道的に配慮を欠いていると判断していた。3月28日付けで、ガザ地区の住民に対して、援助物質を送るようにと命令した。既に、南アフリカが2023年末に、イスラエル軍のガザへの軍事作戦は、「ジェノサイド」に当たると提訴している。オランダのハーグにあるICJは、2024年初頭に受理し、審理手続きに入っていた。ガザ南部の2箇所の検問所以外封鎖しているイスラエルに、物資の輸送ルートを広げるように命じた行為について、「仮処分」を出したことになる。審議には時間を要し、判決までは数ヶ月、または年単位かかる見通しである。
写真 掲載元 オランダのハーグの公聴会 2024年1月11日付
https://www.yomiuri.co.jp/pluralphoto/20240111-OYT1I50151/
4月1日、イスラエル軍は、2週間に渡るハマスの幹部が潜伏していたとされるシファ病院の包囲作戦を完了したと発表した。テロ組織と関連のあるおよそ500人を拘束し200人を殺害したと明かしている。イスラエル軍の言い分では、民間人やけが人には配慮したという。一方でロイター通信は、シファ病院周囲で民間人400人が殺害されていると、事実を伝えた。ハマス幹部を標的に民間人を巻き添えにしたことを訴えるべく、病院周辺の仮説の墓場の映像を配信している。
イスラエルのネタニアフ首相は、2024年3月以降、ラファへの地上侵攻の機会をうかがいながら、ハマスとの停戦交渉団を派遣している。2月23日から行われたフランスのパリでは、双方折り合いがつかなかった。3月17日には一方的にカタールへと交渉の場を移した。対外情報機関モサドのダビッド・バルネア長官が、仲介国のカタールとエジプトの首脳と会談する。人質の解放については両者の間で合意に達している。恒久的停戦を求めるハマスの要求を、イスラエル側は安全保障の観点から拒否していた。
停戦交渉がこじれるにつれて、現場ではエスカレートしている。3月27日に、イスラエル軍は、レバノン南部の親イラン組織ヒズボラの拠点をめがけて空爆した。レバノン側でヒズボラ戦闘員ら8人、イスラエル北部で1人が死亡した。イスラエルの攻撃が飛び火すると、ハマス側もより刺激される。軍事部門カッサム隊トップのムハンマド・ダエフ氏の音声とする演説を公表した。エルサレム旧市街のイスラム教の聖地アルアクサ・モスクを取り戻すため、「パレスチナへ行進せよ」と呼びかけた。信仰心が高まるラマダン(断食月)に合わせたとみられる。
詳細 イスラエル軍のヒズボラ拠点への空爆 読売オンライン 2024年3月28日付
第2章 イスラエルが、シリアのイラン大使館を爆撃する ガザではNGO職員が犠牲
4月1日、イスラエル軍は、隣接するシリアの首都ダマスカスにあるイランの大使館へ空爆を仕掛けた。イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」は同日、領事部ビルがイスラエルの攻撃を受けたことにより、現地司令官ら7人が死亡したと発表した。イランの大使は死者数がシリア人を含め計13人と明かした。軍事施設とは関係のない大使館への突然の攻撃は、「国際法」に反する。イランのライーシ大統領は、直ちに報復するとの声明を出した。10月7日の軍事衝突以来、ライーシ大統領は、イスラエルと共に米国が、親イラン組織を空爆するたびに、報復を示唆していた。国内の治安が安定していない以上、戦火の拡大は避けたい狙いがある。
以下 THE SANKEI SHINBUN 2024年4月2日16時53分付
https://www.sankei.com/article/20240402-BJRNT7DU5FIV7G4M5XEOYGT34Q/
4月5日、イランの首都テヘランにて、イスラエル軍によるシリアの首都ダマスカスでの大使館空爆による犠牲になった革命防衛隊の司令官らの葬儀が行われた。イスラム教のラマダーンの最後の月の金曜日、多くの一般市民が葬儀を行うテヘランの広場へと向った。パレスチナの国旗と共に、「イスラエルを後悔させてやる」との文言が入ったプラカードも
掲げられていた。現場で演説に立った革命防衛隊のトップ、サラミ総司令官は「われわれの体制に対する敵のいかなる攻撃も、報いを受けずには済まされない」と強くイスラエルを非難した。
写真=大使館の空爆で犠牲になった7人を称える看板 掲載元 毎日新聞 2024年4月15日 撮影:2024年4月5日、WANAロイター
ガザ領内では、現地の人々を救出する医師や看護師を含む医療関係者の犠牲も後をたたない。4月2日に、ガザ中部のデールハバラにて、食料支援団体「ワールド・セントラル・キッチン」の職員7人にはオーストラリア人、ポーランド人、英国人、米国とカナダの二重国籍者が含まれている。軍は「状況を徹底的に調査している」との声明を出した。
地中海の島国キプロスからガザに海上輸送した100トン超の人道支援の食料を中部デールバラハの倉庫に降ろした後に出発。イスラエル軍と調整し、非戦闘地域を車で移動していたが、攻撃を受けたという。
ワールド・セントラル・キッチンは攻撃を「許せない」と非難。メンバーが亡くなったことに「がくぜんとしている」とし、地域での活動中断を明らかにした。
ガザでは食料不足で飢餓が広がっている。ガザ保健当局によると、戦闘開始以降のガザ側死者は3万2845人。(共同)
<引用終り>
写真=犠牲になった職員 掲載元 BBC NEWS JAPAN 2024年4月3日付
https://www.bbc.com/japanese/articles/c4nkkzldpvro

ガザへの支援物資は、EU諸国から地中海に浮かぶ「キプロス島」を経由して、ガザへ届けられる仕組みである。3月8日にフォンデアライエン委員長が、2日後の10日に開通するとの見通しを語った。米国とアラブ首長国連邦が協力し、実現した。中継地のキプロス島から、ガザ地区までの距離は370kmになる。EU側2024年に、2億5千万ユーロ(約402億円)の人道支援を表明していた。15日に200トンの食糧がガザの港に到着し、搬送の準備に入っていた。イスラエル軍の空爆により犠牲になった食料支援団体の職員は、第一陣支援物質を、港から内陸の都市へ搬送途中だったのである。ネタニアフ首相は、職員が犠牲になった2日、攻撃したことを認めた。
5日付で、NGOの職員の空爆に関わったとみられる2人の高官を解任すると発表した。また同国のネタニアフ首相と米国のバイデン大統領が、電話会談したことも明らかになった。国際的に非難を受けている状況から、バイデン大統領は、「イスラエルへの支援を見直す」との考えを表明した。ネタニアフ首相は、アメリカを繋ぎとめておくため、人道的配慮をするとの考えを伝えたとみられている。その根拠として、ガザ北部のエレズ検問所の封鎖を解いた。
3月30日には、キプロス島から第2陣として、400トンの食料を運ぶ3隻の船が出港していた。コメや小麦粉、缶詰などが含まれている。米国とヨルダン空軍の投下では、危険を伴う。海上輸送は、安全性と共に積載量も多い。
飢餓状態から市民を救うには、新たな輸送ルートの確保は必須だった。最終的には停戦が実現しない限り、インフラ設備の復旧も間々ならない。軍事衝突当初、欧米諸国は軒並み、ハマスのイスラエルの越境攻撃を非難していた。その後のイスラエルの報復攻撃について、ハマスとの戦いには理解を示しながら、民間人の行方を懸念していた。年が明けて以降、国際司法裁判所も審理手続きに入り、EU諸国も軍事作戦に軒並み非難する声明を出している。イスラエル軍のハマス殲滅作戦は、自国の安全保障の粋を超えて、民間のアラブ人を巻き添えにする「ジェノサイド」との見方が強い。
イスラエルの人々は、兼ねてから壁の反対側のガザ地区を統治するハマスの戦闘員を警戒していた。10月7日に、音楽フェスティバルを襲撃したハマスの戦闘員によって、無差別攻撃を受けて、一般人の殺害と共に、人質にもとられた。当初はイスラエルの国民の間でも報復感情が強く、軍事作戦には肯定的だった。ハマスとの戦いが長引き、人質の解放が遅れ、国際世論からも批判が巻き起こると、イスラエル自体が孤立化する恐れが出てきた。周囲は敵対するアラブの国々、国際社会から見放されると、ユダヤ人としての国家の存続が難しくなる。
もう一つ国民の不満は、不平等な徴兵制度だった。イスラエルの全人口約931万人の4%が徴兵される中、超正統派ユダヤ教徒「ハレディ」は1948年のイスラエル建国以来、対象外とされた。政治家自身も特権を利用しようとしている。法的には、ネタニヤフ首相の長男ヤイル氏(32)は予備役として入隊の対象者だった。米国フロリダ州のマイアミに滞在を続けることにより、入隊を免れていたのである。ネタニアフ氏は、退陣圧力が強まる中、「軍事作戦中の選挙により、政治が停滞する恐れがある」と国民に自制を呼びかけた。
ラファヘの地上作戦を続ける意思を貫くネタニアフ氏に、支援国の米国が歯止めをかける。停戦交渉の場は、フランスの首都パリから、カタールのドーハへ、三度エジプトのカイロへと移る。いかに地上侵攻を食い止め、停戦へこぎつけるのか、米国と共に仲介国のカタールとエジプトの外交手腕にかかっている。
第3章 ガザ紛争の停戦を見据えたヨルダン川西岸地区の新内閣が発足する
一方パレスチナのもう一つのヨルダン川西岸地区では、新内閣が発足した。2024年3月14日に、アッバス議長(大統領)が、辞意を表明したシュタイエ首相の後任に、経済の専門家として内閣を支えていたムハンマド・ムスタファ氏を指名した。大統領令として、新首相のムハンマド・ムスタファ氏に組閣を命じたのである。同月31日付で、新内閣が発足した。ロイター通信によると、新たに就任した閣僚には、ガザ地区出身者が8名含まれているという。新内閣の発足の背後には、アメリカが絡んでいる。バイデン米大統領は、戦後のガザ統治を、イスラエルではなく、オスロ合意に従い、ヨルダン川西岸地区の実験を握るPLOが担うべきだとの考えを表明していた。ハマスが統治能力を失った事態に備えて、PLOはガザ出身者を内閣に入れたのである。前任者のシュタイエ首相は、ハマスを批判する立場だった。新たに就任したムスタファ首相は、中立的な立場に立つ。ムスタファ氏は、2024年1月17日に、同国の投資基金総裁の立場で、スイスで開催中のダボス(町名)会議に出席していた。ガザ地区の住宅再建に、少なくとも150億ドルが必要だとの試算結果を公表していた。
写真 ヨルダン川西岸地区ラマラにて 左側アッバス議長 右側ムスタファ新首相 ロイター通信より 掲載元 REUTERS 2024年3月29日付
アメリカの放送事業を手がけるブルームバーク社は4月2日付で、ガザ地区での紛争被害額の見積りを公表した。イスラエルの軍事攻撃により、破壊されたインフラ被害は、約185億ドル(約2兆8000億円)になる。ガザ地区とヨルダン川西岸地区の約1年分の経済生産に相当する。ハマス運営の保健省によれば、イスラエルの攻撃で約3万2000人のパレスチナ人が死亡した。
ブルームバーク社の報告書によると、ガザ地区内の失業率は約74%、同地域の総生産(GDP)は昨年10−12月(第4四半期)に86%減少した。世界銀行や欧州連合(EU)、国連が発表した同報告書によれば、「現在進行中の紛争によってガザ経済が受けた衝撃は、最近の経済史上で最大級となっている」という。
詳細 Bloom barg 2024年4月3日付
第4章 イランのイスラエルへの報復攻撃
4月14日(日)、ガザ情勢は新たな展開を迎えた。ハマスを軍事支援するイランが、14日付けで本土からイスラエル領内へミサイルを発射した。南方から親イラン勢力となるイエメンのフーシー派も同じくミサイルを発射している。厳戒態勢をとっていた中東各国に駐留する米中央軍は、無人機(ドローン)80機以上と少なくとも6発の弾道ミサイルを破壊したとX(旧ツイッター)に投稿した。
写真 詳細 REUTERS 2024年4月15日付
https://jp.reuters.com/world/security/5CPBSP47X5PPZADT3PFTWWNKJU-2024-04-15/
イランは、2023年10月7日以来、度々イスラエルに対して、報復宣言していたものの、直接的な軍事行動を避けていた。ハマス殲滅を掲げるイスラエルの軍事行動を妨害するように、北に面したレバノン南部のヒズボラが、度々ロケット弾を打ち込んでいた。ヒズボラとも対決することにより、イスラエルの軍事力が分散される。一方で、紅海を航行する船舶を、イエメンのフーシー派が取り締まった。米英軍が、過去5回に渡り軍事施設を空爆されながら、ひるむことなく、イスラエル行きの船舶に目を光らせていた。
イスラエルは、高性能の防空システムアイアン・ドームにより、領内に入ってくるミサイルや無人機を99%撃墜したと誇示する。イスラエルを支援する米軍と協力関係にあるヨルダン軍は、領内を通過した無人機を数十機撃墜したことを明かした。
イスラエル領内への被害はきわめて限定的だった。死傷者は確認されず、負傷者は未成年の女子1人だという。
イラン側も、国際法を犯して、無差別攻撃をする意図はなかった。反撃を求める国内の与論に後押しされ、撃墜されることを想定して、ミサイルや無人機をイスラエル領内へ放ったのである。イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」のホセイン・サラミ司令官と国軍のモハンマド・バゲリ参謀総長は14日、国営テレビに対し、イスラエルに対する報復攻撃が完了したことを明らかにした。両氏ともに作戦が「成功した」と評価し、イスラエルが反撃すれば、より厳しい措置で対抗すると警告を発した。
中東情勢の悪化を懸念して、米ニューヨークでは、14日に国連の緊急会合が開かれる。事務総長のグテーレス氏は、新たな軍事衝突を未然に防ぐべく、イスラエルとイランの両国に自制を求める声明を出した。イスラエルのエルダン国連大使はイランへの敵対感情をむき出しにする。「今回の攻撃は越えてはならない一線を越えた。イスラエルには報復する法的権利がある」
対して、イランのイラバニ国連大使は、ガザ地区への軍事行動を糾弾する。「安保理決議や国際法の義務を無視してより残虐な犯罪を犯しているのはイスラエルである」
双方非難の応酬を繰り広げた。
詳細 国連安保理 2024年4月15日付
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240415/k10014421871000.html
イスラエル国内では、14日と15日に戦時内閣の会合で、イランへ反撃する方向で一致した。閣僚の中でも、反撃規模については、意見が割れている。協力関係にあるアメリカのバイデン大統領は、これ以上の戦線拡大は望んでいない。イスラエル軍のラファ制圧へ、待ったをかけている状態である。英国のスナク首相も、イランの報復攻撃を非難しつつ、さらなるエスカレーションを避けたい狙いがある。イスラエルに対して、軍事行動について思いとどまるように要請した。
イスラエルの公共放送カンは16日、イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザの最南部ラファで予定していた作戦を延期したと報じた。イランへの対抗措置の検討に集中するためとみられる。軍は今週、ラファ住民に避難を呼びかけるチラシを空から散布予定だったが、中止したという。
詳細 読売オンライン 4月16日23時15分付け
ガザに取り残された住民を救うべく、EUやアメリカは、人道支援を継続する方向で一致している。一国でも早く事態を打開するには、エジプトの首都カイロでの、停戦協議にかかっている。調停役となるカタールの首相と外相を兼ねるムハンマド氏は、役割の見直しに言及した。自国の首都ドーハで、トルコのフィダン外相との会談後に、記者会見の場で、ガザ情勢について次のように語った。「カタールの役割を一部の政治家が狭い政治的利害に基づき悪用している。どのように関与するか見直している」
ムハンマド首相兼外相は、ラファへの地上侵攻の姿勢を崩さないネタニアフ首相をにらんで、発言したとみられている。
詳細JlJl.com 2024年4月18日付
国際情勢において、アメリカの意向が反映されている以上、イスラエル軍のガザ侵攻に対しても、強い圧力をかけられず、人道危機を悪化させている。抵抗の一環として、イランが限定的な報復を行うと、国際社会は軒並み非難した。4月17日にイタリアのカプリ島で開催されたG7の外相会合において、イランへ経済制裁を発動する方針で合意した。イラン産の石油に輸出規制をかけ、報復攻撃に関わった高官ら個人も対象になる見込みである。G7の外相は、イランに対して厳しい態度で臨むことにより、イスラエルの報復感情を和らげたいとの思惑がある。時を同じくして17日、ベルギーの首都ブリュッセルにあるEUの首脳会合が開かれ、イランへの経済制裁の対象について発表した。イスラエル領内へ発車したミサイルやドローンを製造する企業が、EUとの取引が禁止される。イランの報復行為を非難する声明を出したうえで、イスラエルへは、自制を求めた。
EU会合 REUTERS 2024年4月18日付
https://jp.reuters.com/world/security/ELVUE5GZXZLJFLVJSKILU7R2R4-2024-04-17/
第5章 イランの外交戦略 そしてイスラエルのイランへの報復
一方EU諸国から経済制裁を下されることになったイランは、外交においては、中ロとの結びつきが強い。経済発展を遂げるインドとも経済協力を結ぶ。同国のライシ大統領は16日に、ロシアのプーチン大統領との電話会談に臨んだ。ロシア大統領府によると、ライシ大統領は「報復は限定的で、これ以上緊張を高めたくない」と胸の内を明かしたという。ウクライナへの軍事作戦に集中するプーチン大統領は、新たな対立が起きないことを望むと、答えた。
イランのホセイン・アブドラヒアン外相も限定的な報復攻撃の正当性を表明するべく、各国の外相らと電話協議に望んだ。14日と15日の2日間、業務に忙殺されていた。友好国ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相や中国の 王毅(ワンイー) 外相、アントニオ・グテレス国連事務総長らで、計20か国・機関と連絡をとった。イラン側の主張によると、イスラエルへのミサイルや無人機を使った攻撃は、国連憲章51条に基づく自衛権の行使に当たるという。中東情勢の安定のためには、各国武器を使わず、外交努力が重要だと説く。連絡をとった20カ国のうち、EUを代表するドイツのアンナレーナ・ベーアボック外相から厳しい口調で言葉を返されたという。「イスラエルが冒険主義を続けるなら、即座に大規模なカウンターパンチが出る」
写真=真ん中アブドラヒアン外相 詳細 写真掲載元 読売オンライン 2024年4月14日付
https://www.yomiuri.co.jp/world/20240417-OYT1T50021/
イスラエルは、1948年の建国以来、周囲を敵に囲まれた状況から、神経質になる。2023年10月7日に、ハマスの戦闘員の越境攻撃に際しても、即座に対応し、民間人の犠牲も厭わず、徹底してガザの町を破壊し尽くす。民間人には予め空からビラを巻いて、退避勧告は出しているとはいえ、道路が寸断されている以上、逃げる猶予はない。民間人の逃げ場がない状況で、軍事行動に出れば、犠牲が出ることは明らかである。2023年末に南アフリカから、国際裁判所に提訴され、年明けに審理が始まった。暫定措置として、ガザを封鎖している検問所を開放するように命令を出された。2024年4月には、中米のニカラグアが、イスラエルに武器を供与したドイツも、同罪だと、国際司法裁判所に提訴した。
停戦交渉の場では、ハマスとイスラエルの隔たりが大きい。埒が明かず、仲裁国のカタールも負担になっている。ハマス側は、戦闘員を失い、武器も枯渇する中、窮地に陥っているとみられている。
以下 ハニヤ氏の不幸について 詳細 写真 掲載元 BBC NEWS JAPAN 2024年4月11日付
https://www.bbc.com/japanese/articles/cj5l4q4815no
最高指導者のハニヤ氏は、恒久的な停戦を求めている。指導者自身も回りが不幸に陥ったことを明かした。4月10日に、息子3人と孫4人が、パレスチナ自治区ガザ地区で空爆によって殺害されたのである。ハマスとつながりのあるメディアによると、ハニヤ氏の息子らが乗った車が、ガザ市近郊のアル・シャティ難民キャンプで攻撃された。
ハマスは声明で、「破廉恥で卑劣な」攻撃により、ハニヤ氏の孫4人も併せて殺害されたとした。
イスラエル軍も、「ガザ地区中部でハマス軍事組織の3人を殺害した」と発表。3人はハニヤ氏の息子だったことも認めた。幼い孫については触れなかった。ハニヤ氏は、息子3人が戦争中もガザに残っていたと、中東の衛星テレビ局アル・ジャジーラに話した。
息子らはイスラム教の祝祭「イード」の初日を祝う家族の集まりに向かっていたという。
ハニヤ氏は、身内の死について、停戦協議におけるハマスの要求が変わることはないと、国際社会に向けてもアピールする。
「(停戦)交渉のクライマックスで(ハマスが)回答を送る前に、私の息子を標的にすればハマスが立場を変えると考えるなら、敵は妄想を抱くことになる」と述べた。
ハマスのテレグラム・チャンネルが報じたところでは、ハニヤ氏は今回の殺害を「子供と孫の殉教」と呼び、自分に与えられた「名誉」を神に感謝すると話した。
実のところ、2023年10月には、兄弟と甥が、11月には孫が、2024年2月には、別の息子が、イスラエルの軍事作戦により、犠牲になっていた。
身内に不幸が降りかかりながら、信念を貫きとおした。聖地エルサレムからユダヤ教を排除し、イスラム教による安定した国家の樹立を掲げている。2023年10月7日の越境攻撃後、過去に例を見ない規模で、イスラエルが反撃に出ることにより、ガザに住む多数の民間人が犠牲になった。ハニヤ氏も今苦境に立たされている。
米ABCテレビは4月18日に、イスラエルがイランに対してミサイル攻撃を行ったと報じた。イランのメディアによると、中部イスファハン空港近くで、爆発音がしたという。イラン国内では、イスラエルの報復に備え、核関連施設の運用を一時停止していた。俄然中東地域は緊迫感を増している。
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