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2023年11月20日22:15

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神宮スズメの独り言2023秋〜75〜応援の力

平日だ。しかしこれほどの観客が集まった。慶應側3塁側応援団席はほぼ満席。早慶戦ほどのぎっしりとは言わないが第2内野近くまで入っている。対する青山は神宮球場にもっとも近い大学だ。その青山も多くの人で観客席が埋まった。

春の王者青山。勝てば4冠である。しかし結局この試合を分けたのはその応援団の質の違いだったように思う。逆にそうでなければ圧倒的に青山の戦力が勝ったはずだった。

青山の先発は大方の予想が下村君であったがそれを裏切って児玉君だった。そしてその児玉君は初回の表にいきなり3連打で無死満塁のピンチを招く。ここで慶應が1点でも奪っていれば今日の試合は全然違ったものになっただろう。しかし慶應は三振と併殺で無得点。その後慶應は2回も3回も安打を放ったが得点できず4回5回は三者凡退で6回から青山はドラフト1位指名の下村君がマウンドに上がった。そして6回7回と三者凡退。

0−0ながら試合は完全に青山に傾いていた。慶應の先発外丸君は4回まで無安打投球ながら5回からは毎回安打を打たれていた。慶應のエースはつかまりかけ、青山のエースは満を持して出てきた。そんな感じだった。

しかしそこからあとが六大学の強さだったのかもしれない。8回の表、慶應は1死から佐藤駿君が2塁ゴロエラーで出塁。これもハーフバウンドで青山の2塁手の藤原君の眼に西日が入ったのか。そして投手の外丸君は当然送りバントだったが小フライ気味の打球がワンバウンドすると投手の下村君と捕手の渡部君が交錯、エラーとなって1死1・2塁。

ここからだ。当然慶應の応援団の大合唱は始まる。慶應義塾高校の甲子園での決勝戦ではやりすぎだと叩かれたが今日の相手はドラフト1位の下村君。応援のやりすぎなどを言い訳にはできない。

ボクが知る限り東都の試合で最も応援が多いのは中央、次が駒澤だ。青山の応援席にいるのは応援団と控え部員を覗けば一般応援は20人いればいい方だ。

今日はかなりの応援が動員されていて慶應に負けないくらいの人が入っていたが声が違う。普段は数十人しか来ない応援団。今日になっていくら数千人が集まったとしても普段応援したことがない人ばかりでほとんどの人が校歌すら歌っていない。ましてや応援歌などは知らないのだろう。レッツゴー青山という掛け声を出すことすら躊躇する青山に対して慶應は、というより六大学のチームは応援慣れしている。慶應でなくとも六大学ならたとえ東大であってもこれくらいの応援はやるはずだ。

それに圧倒されたのか、なんとドラ1の下村君はダブルエラーでの1死1・2塁からストライクがはいらず8球連続ボールで押し出し。さらに次の打者廣瀬君に対してボールを投げたところで安藤監督はマウンドに常廣君を送った。しかし廣瀬君はその常廣君の初球を叩いた大きな外野フライが犠飛となって2−0とリードした。

外丸君は冷静な投手だ。まだ2年生ということもあるが味方のエラーや不運な安打も気にしない。いつも淡々と投げる姿勢と絶妙のコントロールが今シーズンの好成績につながっている。2−0とリードした8回裏が勝負の分かれ目だったが、青山は先頭の1番で主将の中島君が内野ゴロに倒れると佐々木君が安打で出るがその後二者が凡退した。9回の青山は3人とも代打を送ったが、もう安藤監督は勝負をあきらめていたのだろうと思う。

外丸君の独特のボールに合わせるには初打席では難しいことは序盤の青山の強力打線が手も足も出なかったことから分かっているはずだ。それでも3人の代打を送ったのは来季を見据えてのことか。その3人はすべて三振に倒れて試合は終わった。

互いに放った安打は5本。慶應の2点は相手の自滅によるもので無安打で挙げた2点だ。しかし外丸君はいつものように制球がよくデッドボールがあったものの四球は0だった。そしてドラフト1位の下村君は堂々たる投球を見せながらもピンチになると一気に崩れた。慶應の大応援に対してなのか、急にストライクが入らなくなり2者連続のストレートの四球で押し出し。

慶應は応援団の力で勝ったとも言える。甲子園の塾高もそうだったのかもしれない。

しかし野球は応援団も含めて野球だ。サッカーもそうだろう。今日の慶應の応援がすごいのではない。六大学ならどこが出てもみんな同じレベルでの応援を繰り広げる。

いくら動員しても校歌も歌ったことがない、ましてや応援歌なんて聞いたことがないという人たちが集まった青山。「慶應倒せ、青山」という掛け声もあれだけ応援席を埋める人がいながらチアたちの声しか聞こえてこなかった。

対する慶應の若き血をはじめとする応援は誰もが知っていて球場を埋め尽くした人たちが一斉にメガホンを振りながらの大合唱となった。しかし地方の代表は応援団すらいない中で戦うのがこの神宮大会だ。少なくとも神宮を主戦場とするチーム同士での戦いに応援の差で負けたなどとは言い訳にすらできないだろう。だからこそ下村君にはこの悔しい思いをプロで見返してほしいと思う。

一方の慶應の主将廣瀬君は幼稚舎から慶應で塾高2年生時には春夏連続で甲子園出場。そして今季は主将として秋のリーグ戦と明治神宮大会優勝を決めすでにドラフト3位でソフトバンク入りが決まっている。六大学での通算本塁打数は歴代4位。これほどの素晴らしいアマチュア野球の実績を引っ提げてくる選手も珍しいだろう。

しかしプロに入れば話は別だ。泣きながらプロ入りするエースと笑ってプロ入りするスラッガー。どちらもいい人生を歩んでほしいと思う。



2023年11月20日 第54回明治神宮野球大会 大学の部 決勝(於 明治神宮野球場)
慶應義塾
000 000 020 = 2
000 000 000 = 0
青山学院
   (慶應義塾は4年ぶり5回目の優勝)

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