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2023年09月01日00:05

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コサークの反転攻勢・【第二幕・その4 烏ロ戦争で広がる温度差と日本の採るべき態度】

■温度差の背景にはエネルギー問題か■

ワグネルが実質解体同然になった以上、ハンナ・マリャル烏防衛次官(防衛副大臣)は11個旅団・4万人の兵力を追加でザポリージャ州・オレポポ-メリトポリ戦線に投入したとのことだ。

オレポポ(オリヒウ)とメリトポリの中間にトクマクがあり、トクマクとオリヒウの大体中間地点にはロボティネがあり、ここはウクライナ軍に突破されている。ロシア軍はトクマクの住民、行政機関の職員を退去させたという。

今まで堪えていたのに、ここへ来て満を持して投入し出したのは航空戦力が確実に投与される見通しになったからだろう。特に対ロ強硬国スウェーデンがアメリカがF-16戦闘機を使わせないのであれば、うちの国産サーブ39グリペン戦闘機をお使いください、という態度を鮮明にし出したからだ。

米・欧でも烏ロ戦争に対し、温度差が目立って来た。

対ロ強硬国のイギリス、ポーランド、フィンランド、スウェーデンに対し、ドイツは後手後手に回っている。

勿論文句なしに最大の軍事支援をしているのはアメリカだが、アメリカの個々の政治家たちは中間選挙時に誰も烏ロ戦争を採り上げる者はいなかった。

EUの実質的な議長国・ドイツの後手ぶりは何を意味するのか。

今回の烏ロ戦争は経済安全保障の視点が欠かせない。ドイツはシュレーダー政権時、シュレーダー首相が個人的にも親しいプーチン大統領との間でロシアからのガスパイプライン、ノルドストリーム構想が出来、2005年からノルドストリームの建設がスタートした。独ロ蜜月関係はメルケル次期政権にも引き継がれ、2015年のドイツのロシア産天然ガス依存度は21%だったのが、開戦の前年、2021年には51%にも及んでいた。

ところが他のEU諸国と共に対ロ経済制裁に踏み切ったドイツに対し、当然のことながら、プーチン政権は報復としてはガス供給を停止してしまう。

後を継いだショルツ独首相はこれまでアジアで最初の訪問国は中国だったメルケル前首相とは対照的に日本を選んだ。

日独首脳会談の後、ショルツ首相は

「ドイツと日本は堅い友情で結ばれている。」

と謎めいた、しかし上機嫌で帰国していった。

岸田首相が果たしてショルツ首相に何を述べたのかは分からない。

しかしその後岸田首相は原発再稼働に踏み切った事は確かだ。世界最大の天然ガス輸入国は日本。日本にとりあえず原発を再稼働してくれれば、日本の購入枠は減り、その分ドイツが輸入出来るという読みがショルツ首相にはあったに違いなく、岸田首相に原発の再稼働を依頼し、それが成功したからだろう。

ドイツはショルツ首相の読み通りカタールから年間200万トン、スポットではなく15年の契約にし、ノルウェー、カナダからも調達、更に港湾には天然ガス備蓄基地も完成した。2022年は暖冬だったから良いが、先行きは危うい。

それでもドイツの後手ぶりはロシアへのノルドストリームに対し、未だに後悔があるのではないか。

■平和条約を結んでいないからこそ有利な日本■

尤も日本は他国の事を言えた柄ではないし、当のゼレンスキー烏大統領も憲法の縛りで軍事的支援が出来ない事は承知していて、復興支援は宜しくとテレビ演説の際言っている。

最近安全なところで随分前のめりなマスコミ、政治家が目立つが、これは極めて危険な動きだ。

直接の当事者ではない態度を断固として日本は引き続き貫き通すべきである。

事なかれが目立つきっしーだが、きっしーは吉田茂の宏池会の派閥で、基本的にハト派である。本音ではロシアと対立なんぞしたくはない。だがアメリカの「属国」としてついていかねばならない。その苦しさは理解してやるべきだ。

ドイツはロシアと蜜月関係になった事もあり、原発を廃炉にしてしまった。しかしドイツの東方政策は上記で述べたように完全に失敗した。

これに対し、日本は57基あった原発のうち、24基を福島第一原発事故を契機に廃炉、残っているのはだいぶ減ったとはいえ33基である。いずれは原発は卒業しなくてはならないが、全廃しなかったのは正解だった。

日本の貿易額のうち、ロシアの割合は戦争前も今も2%未満、直接投資残高も0.1%と低位安定している。まあなまじ日ロ両国は平和条約を結んでいないからこそ、色々チャンネルはあり、日ロ関係はこれからも続くだろう。実際米欧各国がサハリン油田から撤退したものの、日本企業だけは新会社に出資して引き続き残った。

もしこれが平和条約を結んでいたら、対ロ投資ブームが起き、今頃日本の投資家の大半が大ダメージを被った事は確かである。

戦争と経済安全保障体制は切り離せない時代になって来た事が対ロ政策で日独の明暗から云えるのは間違いない。

最後まで御覧頂きまして、ありがとうございました。

(続く)

写真:岸田・ショルツ会談
ハンナ・マリャル防衛次官
スウェーデンの戦闘機・サーブ39グリペン
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