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2023年08月20日00:43

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猫画家=ルイス・ウェインについての本を読みました。南條竹則著「吾輩は猫画家である」(集英社新書)。

210ページ程度の新書で、図版がかなりたくさんあるので楽しめます。←集英社新書のヴィジュアル版ということでした。ということで少し高めの1200円ですが、僕は図書館を利用したので無料(笑)。猫好きの方や、映画「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」が好きな方には一読の価値があると思います。

映画は、かなり綿密にウェインの半生を描いていますから、この本で詳細を照らし合わせると、ウェインという画家の行きた時代や世相がよりくっきりと見えてきます。なによりも、統合失調症のために晩年が不遇だったウェインの人生が、僕には実感としてより深く伝わりました。

そういえば写真3のような幾何学模様が加わった猫のイラストを昔見ていたと思い出しました。初期のウェインのイラストは、写真2のように少し“意地悪な”雰囲気が見えますが、幾何学模様猫(“万華鏡猫”と呼ぶそうです)のような“挑戦的な鋭さ”はありません。それはエミリーという奥さんがいたおかげなのかもしれません。晩年はキャロラインら妹たちを次々と亡くし、ウェイン自身の病状も悪化して、イラストの印象も大きく変わるのでした。

映画の中でも説明していましたが、20世紀初頭のイギリスでは、猫はペットとしてポピュラーではなく、せいぜい“老嬢のお供”という位置づけだったそうな。それが今では後期高齢者の男性(僕のことです)まで、愛嬌あるデブ猫にぞっこんなのでした。かわいい子猫を愛でる若い女性は、もっともっと圧倒的に多い。

100年という年月が、猫の評価をここまで変えたわけです。犬にしても、ほんの半世紀前までは家の外で犬小屋に繋いで飼うのが当たり前でした。それが今は座敷犬が当たり前。マンションでも、あちこちで“ペット可”が当然になっているようです。少子化を嘆くポーズだけを見せる政府も、もっと庶民の生活水準を上げて“子作り”を具体的に推進してほしい。多くの人々が子供ではなくペットを愛情の“はけ口”にしているのですよ。

同時に、統合失調症の患者さんたちも、100年前のような過酷な状況ではなくなったようです。それが当然の文明の進歩なのですが、まだまだ行き届かないことは多い。ルイス・ウェインの人生をおさらいするにつけ、まだまだ足りない部分を実感しました。

それとルイスという名前ですが、映画の中では妹や母親は“ルイ”と呼んでいました。母親がフランス系だそうで、そういう意味では“ルイ”でしょう。しかしイギリス読みなら当然ルイスです。まして明治時代に彼のイラストが日本に入ってきた頃なら、人名はスペルを想起させるカタカナに、という考え方が主流でしたからルイスが当然だったと考えられます。

ということで現在の我々も、猫画家はルイス・ウェインという昔表記でいいのではないでしょうか。って、僕が決める事柄ではありませんけどね。
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