mixiユーザー(id:6327611)

2023年08月19日01:07

116 view

チェコの“ピンク映画”も、なかなかやるじゃないか。ヤン・プルシノフスキー監督「エマ 晒された裸体」(2021)。

最近旧東欧諸国から、ちらほらと“エロチックな”映画が輸入されています。買い付ける日本の会社がどこまで吟味しているのかが問題で、中には箸にも棒にもかからない作品もあると思われます。しかしチェコとかハンガリーという、しっかりと映画作りを徹底してきた国々の作品については、ちゃんと吟味して見る方がいいでしょう。

ではどう吟味するか?ということですが、いちばん手っ取り早いのはimdbの点数です。これは投票者総数がかなり少ないので、意図的にサクラ投票ということも可能です。しかし、投票者数が少ない場合は、10点の投票数を無視して7〜8点に中心があるかどうかを見ればいい。それでもカスを掴むことはありますから、その場合は女優さんが好みかどうかで決めます。

ということでキーアートを見ると、なかなかいい感じの女優さんでした。←日本のキーアートではなく、オリジナルのポスターを検索すると一層効果的です。今回はそれが功を奏しました。←写真1参照。

物語は、30歳になっても独身のトマシュ(ヤナ・ヤンコフスキー)が主人公。母親は恋人のいないトマシュを気にしています。自分に恋人がいて再婚を考えているから。一方、食料品店の売り子をしているエマ(パヴラ・ガイドシコヴァー)は、ちょいと昔にポルノ女優のオーディションを受けて、ネット配信をしていました。

そんなふたりが出会い恋に落ちるのですが、エマの裸体がネットで見られることが周囲に知れ渡ります。エマはその事実をトマシュに打ち明けようとするのですが、トマシュは自身の性体験が少ないこともあり、“過去は過去だ。お互い色々ある”と話を聞きません。でも、エマの映像をネットで発見すると愕然とする、という展開でした。

僕は、まずトマシュという名前に引かれました。はい「存在の耐えられない軽さ」のダニエル・デイ・ルイスと同じですね。とりあえずトーマスだから、よくある名前なんでしょう。ただこの7月にミラン・クンデラが亡くなったニュースを聞いたばかりですから、より親近感を覚えました。←ゲーム「マザー」の主人公をトマシュにしたし。

そのトマシュくんの、冴えない純朴な感覚がまた身につまされます。おまけにエマが、なかなかいい感じに思えるから、僕にはこのピンク映画、十分に楽しめました。例えて言うなら竹洞哲也監督のいくつかのピンク作品のように、生活感覚がうまくすくい上げられていると言ったら分かりやすいかも。

ネットに裸体を晒した女性とおつきあいする“栄誉”は僕にはありませんけど、昔いた会社で“誰とでも寝る女だ”と噂された女性がいました。その女性と後楽園球場に野球を見に行ったのですが、とても親しみやすくていい感じでした。おまけにチケット代を払ってくれたのです。←それ以上の関係にならなかったのは僕が彼女が“誰とでも寝る女”だと知らなかったから。

つまり僕がプロ野球観戦を奢ってもらったと話すと、同期の男が“あいつは誰とでも寝る女だ”と言ったわけです。しかしよく考えると、その男は誘われなかったわけで、その言葉をそのまま信じる訳には行きません。後に旅先で、知人の奥さんにとても親切にしてもらい感激したのですが、その奥さんにも似た噂がありました。

要するに“誰とでも寝る女”という噂を流す奴らは、基本的に寝てもらえない野郎のやっかみという部分が多いと僕は考えています。だってエマだって、じつに他人に親切なんだもの。なのにネットのポルノ映像によって、母親が風評被害を受けエマを嫌っているのでした。その事実をトマシュは知らないし、親友と思っている男に事実を打ち明けて自ら噂を広めてしまいます。どこまでもウブなバカ男や。

こういう配慮の足りない男って、いますよね。←この映画のトマシュがマッチョで見かけが僕と大違いだから安心して語っています。でも気が利かない部分では、僕も引けを取らない。←自慢してどうする?

というぐあいに二人が気まずくなるあたりから、せっかくの好ムードがどっかへ行ってしまうのですが、僕には結構ジーンとくる映画でした。ふたりが堂々とその町で暮らしていくというラストもすがすがしい。←でも壁の落書きは消したいけどね(笑)。なお原題の「Chyby」は“間違い”という意味だそうです。写真3はトマシュの帰りを待ちわびるエマです。
2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2023年08月>
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031