2023年7月16日に亡くなったジェーン・バーキンの近況を、娘であるシャルロット・ゲンズブールが綴ったドキュメンタリーです。原題が「Jane par Charlotte(英語だとJane by Charlotte)」なので、「シャルロットによるジェーン」ですね。娘で俳優のシャルロット・ゲンズブールが、日本公演に同行したときのプライベート映像などからスタートするので驚きました。
もしかしたら2017年の8月19日にあった公演の映像なのかな? だとするとちょうど6年前の出来事だったわけです。プライベート・フィルムですから、そしてボレックスの16ミリカメラをシャルロットが回したりしているわけですから、手ブレが甚だしかったり、フィルムをギリギリまで使っているから端っこが感光したりしています。しかし、それも愛嬌。
ジェーン・バーキンという女優さんは、ミケランジェロ・アントニオーニの「欲望」に出てきて、デビッツド・ヘミングス扮するカメラマンに体当たりしてくる2人組の片割れとして意識しました。生まれが1946年12月14日ですから、僕より4か月早く生まれただけ。そういう意味で、なんか親しみを感じました。写真2は「ナック」の一場面。
とはいえ基本的にファッション・アイコンだったバーキンを、熱心に追いかけたわけではありません。彼女を知ったとき、すでに作曲家ジョン・バリーと結婚していて、程なく離婚しました。その後もかなりの数の出演映画を見ていますが、とりわけ追いかけたという意識はありません。そこそこ売れていたということ。
しかし「なまいきシャルロット」という映画で娘のシャルロット・ゲンズブールを知り、その母親という位置づけで今日まで意識していました。←バーキンのバッグなど縁がないもので。←まだケリー・バッグの方に注目します(笑)。しかし、そんな同世代の訃報を耳にして1か月後に娘の作ったドキュメンタリーを見ることになるとは。
僕には、“ジョン・バリーは遊び人だった”とかいう情報は余計ですが、シャルロットが“今までと違う視点でママを見てみたい”という気持ちでプライベート・フィルムの撮影を続けていたというあたりは、なかなか親身に感じます。とりわけジェーンが、娘たちの体に触りたいと思いつつ逡巡したりしていたという気持ちが、なんか納得でした。
そんな、親子ならではの親密な空間が、その親密さを隅々まで湛えた画像とともに展開する92分は、特別な印象でした。晩年のジェーンのベッドに同じように潜り込んで並ぶシャルロットの姿もいい。当然のようにセリフの洪水ですから、字幕付けは大変な作業だったでしょう。でも、みごとな人間像がしっかりと感じ取れました。
窓口で切符を買うとき、“12時半からの「シャルロットとジュール」を1枚”なんて言ってしまった僕は、やはり60年代の映画から切り離すことができない映画ファンなのです。テケツのお姉さん、笑っていたけど題名を知っているんだろうか?
ということで、同世代がまた逝ってしまいました。同世代だけじゃなくて、ずっと若い人々もどんどん先に逝ってしまってます。それでも僕はメゲずに103歳まで生きてカーク・ダグラス越えを果たしたいと思いますので、よろしくお願いします。
アルバムに、バーキン初期のスチール写真を集めてみました。今回のドキュメンタリーのスチールも。シャルロットがボレックスの16ミリカメラを持っていますが、スピ公の「フェイブルマンズ」でセス・ローゲンがプレゼントしていたカメラとは形が違うかも。でもスチール写真を並べたらボレックスもありましたね。いちおう使っていたっけ。写真3にまとめてあります。
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