■同年同日に大阪で発生していた失踪事件の共有■
今回個人的に大変気になったのが、その1で予告したように同じ大阪府で同じ日に別の失踪事件が発生していたことだ。
勿論大阪と云っても友梨ちゃんが住んでいた熊取町ではなく、大阪市生野区である。
この街で独り暮らしをしていた男性、鈴木龍也さん(すずき りゅうやさん 当時29歳)が行方不明になっている。
鈴木さんは静岡県島田市出身で、高校卒業後、埼玉県草加市の倉庫業に勤務。その後職を転々としつつも、平成7(1995)年、21歳で大阪府に引っ越した。家族との関係は良好で、毎年両親に年賀状は送っていた。母の日にもプレゼントを贈っていたという。時々母親を旅行に連れて行くことあり、また彼の兄も大阪に住んでおり、兄と飲みに行ったり、カラオケに行くこともあったという。
それが8年経ったこの日、自宅に置手紙を残し、忽然と姿を消したのである。その内容があまりにも不可解のため、事件に巻き込まれた可能性が指摘されている。彼の失踪は当時辛くもネット番組で採り上げられはしたものの、それ以外の情報は殆ど公表されていない。
気になるその内容だが、ノートを破り取り、殴り書きで書かれていた。
「済まない。マジで済まない。悪いことをやって警察にパクられた。兄貴と職場の上司にそう伝えてくれ。」
という趣旨だった。この一報を受けた彼の両親は大阪の警察に事実確認を依頼するが、龍也さんが逮捕されたという事実は確認出来なかった。また兄によれば、失踪前に悩み、トラブルについては全く聞いていないという。
実はこの手紙だが、母親に送った手紙とは筆跡が異なると指摘する意見も当時はあった。つまり別人が書いたのではないかという事である。この点も事件性を想起させる。
今や削除されてしまった嘗てのネット番組・ABEBA TVを視聴した限りの話にはなるが、最後の居住地・生野区から送られて来た彼の手紙によれば、キックボクシングに毎週行き始めたと書かれている。しかし、レポーターが生野区内のキックボクシングのジムをかたっぱしから訪れたが、鈴木龍也という名前はなかった・・・。
偶々見つけられなかったのか、既に廃業したところなのか、それとも龍也さんが偽っているのか、一体どれだろうか。
■ふたつの事件の関連性はあるのか■
実際龍也さん失踪事件は嘗てのネット番組を検索しても削除されてしまった。しかも失踪時の所持品の情報もなく、現在判明している情報だけでは真相に辿り着くことは困難かもしれない。
矢張り唯一の手掛かりは先述した不可解な置手紙だろう。
筆跡も写真で見たが、似ていなくもない。
となると、「書いた」のか、「書かされた」のか。
「警察にパクられた」という文がヒントになるかもしれない。
というのも書かされたのであれば、警察に確認取れば誰でも分かる嘘をわざわざ書かせるはずがないからだ。自発的に書いたのだろう。ではどのような状況下であれば、あのような文面になるのか。
ひとつ考えられるのはノートを破り、その切れ端に殴り書きしている事から、余程追い詰められているか、切羽詰まっている。或いはそれに加えて関係が良好な兄に電話一本すれば良いことをわざわざ書いている以上、精神的に相当参っている事も想像出来る。
しかしながら、警察沙汰になっても致し方ない事を仕出かした可能性はあるかもしれない。
だから切羽詰まった状況下にも拘わらず、「済まない」という言の葉を繰り返したではないだろうか。
生野区から熊取町は地図を確認しただけでも、ざっと50km近い。
何をこじつけているんだ、ミスリードだろうという批判が出て来そうなのは承知している。自分も同じ年、同じ月日に発生した失踪事件、ただの偶然だろうと思った。
しかし限られた情報からでは龍也さんには犯罪の匂いがしない、善良な青年の印象しか出て来ないものの、50kmも離れた熊取町に、生野区に住んでいたという彼がわざわざ行くことがあったのか、というのが鍵になる。
どちらの事件も年数は経ってしまったが、真相解明を期待したい。
次回はなぜ一向に犯人が捕まらないのか、それについて蓋然性から考察を試みたい。
最後まで御覧頂きまして、ありがとうございました。
(続)
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