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2023年04月26日20:35

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昨日は図書館、今日は図書館本

 4月25日火曜日。
 前日の朝刊に芸術新潮の広告が出ていた。坂本龍一特集だった。図書館に行ってじっくり読もう。ということで、満を持して図書館へ。買って読むかと言うと、これが意外と購入した時点で半分方満足してしまい、極端な場合、ほぼ読まないまま本棚の最下段に置いたままになる。図書館だとメモを取りながら丹念に読む傾向にある。
 文芸誌の「新潮」で坂本龍一の8号にわたってインタビューが連載されていた。なので「新潮」で追悼号が出るかと思っていたら、「芸術新潮」。
 連載インタビューのタイトルは「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」。この表題は「シェルタリング・スカイ」の原作者ポール・ボウルズの言だったのか。
 坂本龍一がニューヨークの自宅の庭にピアノを置いて、朽ちていく様子を観察していたことを知った。
<試しに「自然に還すための実験」と称して野ざらしの状態で(ピアノを)庭に置いてみることんしました。それから数年が経ち、幾度となく風雨にさらされて塗装もすっかり剥がれ、今ではどんどん本来の木の状態に近づいていっている。このままどう朽ちていくのか、それはぼくたち人間のあるべき老い方とも繋がるように感じます>
 なんて恐ろしい実験。坂本は既にこの時点で死期を悟っていたのだろう。
 この前提には東日本大震災での被災ピアノを弾くご自身の演奏会があったに違いない。
 さらに、大震災以前から長らく危惧していた原発事故の悲劇的結末も心の奥底に横たわっていただろう。
 坂本の言葉を書き写し、浅田彰が考察する坂本龍一の音楽論を噛み締め、各界の交遊者が寄せる坂本への追悼文を全部読んだ。おかしなことに、読んでいくうちに雨雲が去って薄日が射すように気分が晴れてきた。
 ふざけた哀悼もあった。田中泯だ。
「この丗に生まれてきてず〜っと人の世の中が嫌いだった。どんな言葉を使って人の世を考えても納得のいかない物事だらけに、いつしか僕はお腹がむかむかいつもしている子供だった。人のいない方へ、いない方へと僕は引き寄せられていた……」という書き出しで、全然、坂本龍一に寄せる思いが綴られていない。自分語りしかしていないのである。
 最後の最後になってひとこと「坂本龍一さん、あなたは僕の好きなヒトです」とあった。以前にも田中泯のエッセイでこういうつむじ曲がりな内容があって感心したものだが、答辞でもやっちゃったか。このヒトは本物の自由人だ。気分がいい。
 1時間あまり芸術新潮を読んでくたくたになり、帰りに地場スーパーでいちごを買ってしまった。夜のデザートはミルクをたっぷりかけたいちごだ!

 4月26日水曜日。
 明日が返却期限の図書館本がある。黒川創の長編『彼女のことを知っている』。ようやく順番が来た本だ。なんとしてでも読まなきゃ。
 黒川さんは私の人生と結構被っている。京都と東京と鎌倉と。
 京都でのほぼ私的体験だろうと思われる箇所を読んでいると、胸がちくちくと痛んだ。私も、そして彼も若かったな。
 午後5時に読了。
 その30分くらい前にアマゾンで昨日ポチった「一酸化炭素センサー」が届いた。石油ファンヒーターを愛用していること、EXILEのボーカルさんが一酸化炭素中毒の後遺症で今なお苦しんでいることのあわせ技で衝動的に買ってしまった。
 いつ死んだって別にかまやしないが、一酸化炭素で脳細胞がやられてアルツの進行が早まるのだけは避けたい。
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