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2023年03月10日04:22

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やはりじっくり取材した“絶景”は、画面を眺めているだけでも意義がある。NHKスペシャル「北の海 よみがえる絶景」(初回放送2022年1月9日)。

1年前に放送したときには気がつかなかった番組です。たまたま今回の再放送に気づいて録画しました。タイトルの“絶景”という言葉に対して、数多い鉄道番組などで耳タコものですから、こういう凡庸なタイトルはもったいないですね。

内容は、北海道のニシンの“群来(くき)”という海が白くなる現象と、ホッケの大群によって海に突如現れる「巨大な渦」、そしてホタテの徹底した資源管理が育むスペクタクルが紹介されるのですが、それぞれじっくりと時間をかけて粘った末の“絶景”なのでした。これほど見ごたえある映像は、実に久しぶりのように思えます。

ニシン漁というと僕は、深作欣二監督の「ジャコ萬と鉄」を思い出します。←はい、谷口千吉監督作ではありません。日本映画についてはトウシロなもんで、すんません。←せやけど公開時に映画館で見てるんやで、と強調しておこう。

かつては一大産業だったニシン漁も、留萌本線が廃線につぐ廃線となっている現実から明らかなように、もはや今では伝説なのでした。しかし、この群来の映像を見ると、カズノコだけではなく肥料として重宝されていたニシンというものの存在感が大きく蘇りました。なにしろ銭函という港の海一面が白く濁るのです。

そしてホッケの大群が渦を作る映像にも驚きます。ごく最近、テレビで見た映像ではありますが、この番組では水産試験場などにおける再現など実験風景をまじえて、その全貌を明らかにしてくれました。さらにホタテ貝の大群が“ジェット噴射”で大移動する姿もすごい。

ということで、3つの“絶景”を堪能させてくれるこの“NHKスペシャル”は、まさにスペシャルな映像集として僕はDVD-Rに保存することを決めました。それぞれの貴重な映像は、言うなれば黒澤明の「椿三十郎」のラスト決闘シーンに匹敵すると思います。およそ“映像”の驚異に感激する映画ファンには“必見”なのではないでしょうか。

なにしろCGIによるデジタル・スペクタクルが蔓延し、多少の映像を見ても心が動かなくなっている昨今ですが、やはり事実の持つ迫力はとてつもないものです。そして、その現象が現れるまでじっくりと粘る取材精神がすばらしいし、“その時”を逃さないように複数のカメラを配置して待っていた忍耐もすごいと思いました。

こういう奇跡的な映像を目にすると、その取材のために延々と時間をかけたスタッフの皆さんの努力に頭が下がります。そして、その努力を実現させた組織力というものも大事にしたい。とにかく昨今は、手抜きが問題視されるNHK(だけとちゃうけど)ですが、さすがの“底力”を見せてもらいました。

にもかかわらず昨年の初放送時にパスしていたのは情けないですね。またサルのように反省しなくちゃ。←「北の海 よみがえる絶景」というタイトルから、相撲の名場面集なら市川紗椰が出ていない限り要らんわいと思ってしまったわけです。←いや単なる不注意でしたけどね。

こうなると“再放送ばっかりしやがって”という今までの“批判”は撤回させていただきます。こういう番組は再放送してください。“フリーポート”に関する海外ドキュメンタリーも、緊急地震速報のない映像をDVD-Rに焼かせていただきましたから、再放送はありがたいことも多い。←せやから言うて、何回も何回も繰り返さんといてや。

ということで、ローカル線鉄道の旅とか呑み鉄とか麺鉄とか、気を引かせるだけで絶景とは程遠いバラエティー番組も、やっぱり録画しています。アカンかったらHDDから消せばええねん、ということなのです。

それにつけても、NHKの底力ですわ。参考までにウェブサイトを記しておきます。
https://www.nhk.jp/p/special/ts/2NY2QQLPM3/blog/bl/pneAjJR3gn/bp/p3G1WWlkNj/
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