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2022年12月20日18:38

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今日の本棚774♪



「災厄の絵画史」

中野京子
株式会社日経BP
日本経済新聞出版
(新書、日経プレミアシリーズ)


西洋絵画に描かれてきた災厄。
パンデミック、飢餓、天変地異、戦争を、歴史的背景と共に紹介する一冊。

いつも著者の本はさくさく読めるんですけど、今回は題材が重い所為か読み進めるごとにくたびれてしまい、読了まで思いの外時間が掛かってしまいました。
それもその筈で、パンデミックも戦争も、全く過去のものではない。
今まさに起きている現実な訳で……人間の歴史はこうも変わらないのかと、げんなりするやら自省するやら……。
疫病といえばペストにコレラ、梅毒、天然痘、結核、スペイン風邪。
人類が克服できた病気も多いですが、牛痘接種を風刺する版画には本当にがっかりするというか、今も昔も全く変わってないやんけ、とげんなりしてしまう。
まあ当時の人々からすれば、恐怖を笑いで誤魔化さなければやっていけなかったのでしょうけれども。

今作で最も衝撃を受けたのがヴァシーリー・ヴァシリエヴィチ・ヴェレシチャーギンの「戦争礼賛」
本当に、古いとは思えない。現代でも通じる、一目見ただけで言いたいことが伝わる。
戦争のアレゴリー、絵画が伝える普遍性に驚きます。
画家の人生を知って、なるほど納得。こういうやり方で反戦を訴える方法もあるのかと。
ゴヤの「マドリッド、1808年5月3日」とかもそう。
こういう作品が存在しているのに、どうして人間は争いを止めることが出来ないのだろう……。



(新)
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