「九つの殺人メルヘン」
鯨統一郎
光文社(KAPPA NOVELS)
桜川東子シリーズの1冊目。
メルヘンを題材にした9話の連作短編集。
バーに集まる4人で事件の推理に華を咲かせる、安楽椅子探偵物。
全ての事件にグリム童話などのメルヘンを絡ませ、その話の新解釈を語るとともに事件も解決する。
更に全てアリバイ・トリック物で、9つのパターンに分類されたアリバイを鮮やかに解き明かすという……職人芸が光る一品。
いやもう盛り込みすぎてて眩しい。結構変態の域に達してると思うんですが。
毎回酔っ払いの雑談もかなりのスペースを割いて語られるので、ここら辺の合う合わないはあるかも。
テレビの話とか、世代はそこそこ上の人になるので。
気付く人には気付く小ネタもちょこちょこ登場。
「天使の〜」には吹き出しました。そりゃ危ないよ。
「ヘンゼルとグレーテル」や「狼と七匹の子ヤギ」の解釈は面白かったですね。
マスター常に酔っぱらってるけど、お酒も出す料理もこだわりがあるし、めちゃくちゃ美味しそうで羨ましいんだよなぁ。
ラストの展開は、あのミステリのオマージュっぽいかもと勝手に思ったり。
帯と裏表紙は有栖川有栖氏。
ここまで言われると「マジックミラー」再読したくなるんですが、私あの本大好きだけど辛くてなかなか読み返せないんですよねぇ……(涙)
(古)
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