宗教的エクスタシー

　9月1日木曜日。
　毎月朔日は寺の例大祭があるのだが、今月は「上人」生誕8百年を祝う行事を兼ねた行事となり、事前予約で申し込んだ檀信徒のみ参加できる。うちは檀信徒ではないのだが、なにゆえか寺の行事案内は檀信徒と同様に扱いなので、可能な限り出ている。
　今日は普段より幾倍もの厳粛さと、法悦と呼ぶにふさわしい宗教的エクスタシーが満ちた大祭で、20名以上の僧が唱える声明に包まれた堂内にいると、人間的な歓びの域に自分がいるような気がする。とにかく宗教色に圧倒されるのだ。
　1983年の8月、マニラ中心部の一つ星ホテルに投宿していて、たまたま日曜の朝、デタラメに屋根のない小型バスに乗ったら、隣町のケソンシティに着いた。バスの終着ターミナル前には大きな教会があって、入口前は教会に入りきれない信者でごった返していた。物見遊山でその輪の中に入ってみると、神父の説話が響いていて、何百人もの貧しそうに見える民衆がうなだれるように、もしくは食い入るように聞いている。日曜朝の礼拝、敬虔な信者の群れ。その中に自分がいる歓びを味わえて、フィリピンに来てよかったとしみじみしたものだ。

　明日からクルマで山中湖に行く。
　先ほど、クルマのカーステにここ数日で用意してきたUSBメモリーを挿しておいた。
　YouTubeで今の自分に合いそうな曲を探していたら、メロディアスな（日本の０ラップに興味と聴く快感を覚え、これよさげと思えた曲を片っ端からダウンロードしたのだった。
　Anarachy、totubeats、変態紳士クラブ、AK-69、BUDS MONTAGE、BAD HOP。
　ただで聴いてしまってごめん、とここで詫びたい。クルマの中でちゃんと歌詞を聴き取って聴くので許してください。