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2022年08月26日17:13

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『師匠歌丸』

 2018年7月2日に歌丸師匠がお亡くなりになって、2週間が経った頃だったと記憶している。偶々、横浜散歩をしていて、有隣堂本店に立ち寄ったら、1階の目立つところに「桂歌丸さん、ありがとうございました」という大きなポップと関連書籍が並べられていた。そのなかで最も堆く積み上げられていたのが、亡くなる直前に上梓された二番弟子・桂歌助の『師匠歌丸』だった。3冊分くらいの平積だったので、有隣堂主催のご葬儀だと言える。
 書店員の手による説明文もあって、師匠はよくここに通ってくれたことが記されていた。
 歌丸さんが伊勢佐木町からほど近い真金町で生まれ育ったことは、とうの前から知っていた。かつての遊廓街で、生家は楼主だったことも。真金町からすぐそばの金刀比羅大鷲神社には歌丸さんが寄進された石柱があって、そこを訪ねたこともある。もう少し足を伸ばしたら、歌丸さんのお住まいや行きつけの喫茶店があるのだが、「笑点」も落語も聞いていない私が訪ね歩くこともなかろうと遠慮した。

 睡眠薬「デエビゴ」を半粒にしたにもかかわらずその効果は絶大で、朝の目覚め時はまだ薬効が残っていて、朝刊を読むのもひと苦労するくらい、頭が働かない。そもそも痴呆の自覚がある上に5割増のぼんやり頭になるのはつらい。1カ月分を処方してもらったが、デエビゴは常用しないほうが賢明だろう。
 珈琲を2杯飲み、メールを2通書いても、頭の中は霞が掛かっている。原付バイクで隣町の大型スーパーへ行くことにした。
 いつも通り、途中にあるブックオフに立ち寄った。入り口のガラスドアに今日から週末まで20パーセントオフの貼り紙があったので、売値に関係なく読みたい本を1冊買見つけよう。
 普段はあまり真剣に探さない一角(均一本ではない)に『師匠歌丸』があった。4年前の夏を懐かしく思いながら手に取ってみる。表紙の見返しに著者歌助のサインがあって、為書きもされている。本文のなかにスリップがあったので、このサイン本は間違いなく献本されたものだ。書店のサイン会だとスリップは書店員(か付き添いの編集者)が取るから。為書きの女性は逗子、葉山、鎌倉? なぜこんなに早く売った? いや、ひょっとしたらお亡くなりになってご遺族が蔵書を整理した?
 自分には珍しく立ち読みを始めたら存外、面白くて、落語にも歌丸師匠にも疎いのにぐいぐいと興味を惹かれる。とうとう30頁くらい立ち読みしてしまい、これは買うしかないと思って、レジに持って行った。
 歌助が意を決して師匠の自宅を訪ねた。歌丸の家は小さなしもた屋だった。偶々玄関口に奥さんと覚しき女性がいたので、「弟子にしてほしくて来ました」と告げると、「えっ、私の弟子に?」と応えたなんてくだりは、さすが落語家、作ったな(笑)。
 歌助は新潟十日町で生まれ育ち東大を目指したが東京理科大に進学、という頭の良さだ。しかし朴訥で誠実で、歌丸も絵に描いたような誠実さの人格。立ち読み段階でじんわりと心が温かくなった。
 その後、目的のスーパーに行って買い物をし、帰宅して軽いランチ後、買い物用のエコバッグを洗ってから『師匠歌丸』をまた読み始めた。一気に130頁あまり読んで、ラズリの散歩に出て、また本を手に取った。たぶん今日中に読み終わる。
 夜に日記を書くより先に書いちゃえ。
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