今日の本棚762♪

「モップの精は旅に出る」

近藤史恵
実業之日本社（実業之日本社文庫）


〈清掃人探偵・キリコ〉シリーズの５作目。
４話の連作短編集。

相変わらず、女性なら肌で分かるであろう、ぞっとする出来事の表現が上手い。
「ラストケース」は、それこそ第１作目のラストを彷彿とさせるストーリー。
ただただ、ぼくの想いに感謝……プレゼントしたい、の一節には涙が出そうになりました。
本当に……本当に、それが出来たらいいのに……。

著者によるあとがきで、これでシリーズは最後という言葉に衝撃を受けたのですが。
その後の優しい言葉に、ほっとするやら納得するやら。
成程、だからタイトルが『最後』ではなく『旅に出る』なのだなぁ。
気付けばシリーズ５作、全て読み終えていました。
寂しいけれど、また何処かで会えることを祈って。

解説は藤田香織氏。
「重なり合う輪」の解説は、気付かせてもらってありがたいやら怖いやら。




（古）