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2021年07月05日21:34

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遠交近攻はPRCの国家戦略

遠交近攻とは中国戦国時代後期に活躍した、秦の宰相の范雎(はんしょ)が唱えた国家戦略である。彼は時の昭王に仕える際にこう述べた。

近くの魏、韓、趙と結び、遠国の斉を攻撃していたら、いつまで経っても領土が増えない、面で領地を増やすには隣接する箇所から挟み込むようにしていけば良い。

というものだった。前半は「遠交近攻」、後半は「サラミ戦略」を想起させる。

この時代は戦国時代ゆえ、血を分けた兄弟でも殺しあうのは当たり前だった。昭王は当時の宰相にして外戚だった魏冄(ぎぜん)に押さえつけられており、軍をろくに動かすことも出来なかったが、范雎を信頼し、魏冄や親類、魏冄に息の掛かった王子達までも追放、新たな宰相に范雎を据えて遠交近攻を実践していく。最もこの国家戦略を忠実に実践したのは後の秦の始皇帝、秦王嬴(えい)政だった。戦国時代に最後に残ったのは斉だったのである。

范雎については宮城谷昌光の『青雲はるかに』(集英社)に詳しい。

記事は「専門家」が「当局」から言わされているのはありありだ。「遠交近攻」を今の中国もかなりの程度継承しているのがこの文面からも窺える。実際、最初は「つげぐちオバサン」こと、収監されている朴槿恵を引き合いに出し、鋭く日本を批判したかと思いきや、後半はトーンダウンし、中日友好の為の要望になっている。

なぜこのタイミングで中日友好にトーンダウンしたのか、考えてみれば分かる。

中国は過去20年来、「核心的利益」を世界で述べて来た。核心的利益とは

「ウイグル、チベット、南シナ海、香港、台湾、尖閣は中国のものだ。他の国は口を出すな。」

という勝手気ままな理屈である。残ったのが台湾と尖閣なのだ。しかし事態は切迫している。過去20年ぐらい掛けて手練手管、調略、謀略を繰り返して手中に収めて来た。ならば台湾、尖閣も当然手を出してくるのは火を見るより明らかだ。最早来るか来ないかではなく、何時攻めて来るか、そういう段階になっているのは間違いない。

日本のマスコミの平和ボケ報道を見ていると、実にのんきなものだ。未だに「幾ら何でも攻めては来ないのでは」と述べている輩も散見される。呆れたものだ。ひょっとしたら中国に調略され、そんな平和ボケ報道を故意に展開しているのではないかと疑念を抱かせるほどだ。

遠交近攻の見地からすると、中国としては台湾を手中に収めるには背後の日本に黙っていてもらうのが良い。せめて中立(台湾を見殺しにする)が良く、中日友好であれば願ったりかなったりのはずだ。それでこのような文言が出て来たのだろう。

考えたくはないが、考えておかねばならないのは、台湾を掌握した後は最後の尖閣となるから、「遠交近攻」の理屈からすると、「近」は日本、「遠」はロシアとアメリカになる。ロシアは意外にも中国のことを余り信用していない。ソ連時代、毛沢東がフルシチョフに沿海州も我が領土だと述べたら、すかさずフルシチョフが

「歴史を紐解けば中国の最大版図は万里の長城が限界である。今後このような強弁を弄するのであれば、我が国は宣戦布告と見做すであろう。」

と言い返している。流石に尖閣諸島問題を持ち出された際に何も言い返せず、「シェイシェイ」などと述べたどこかの国の腑抜けな外相とはどえらい違いだ。

経済力に物を言わせて軍事拡張して来た中国に対し、警戒していないはずがない。

だから油断ならないロシアにはせめて中立を守って貰い、いかにアメリカを調略するかに中国は腐心することになるだろう。

せめてそうならないように、中国から見て「近」の日本は台湾と色々な手段を用いて共闘しなければならないのは間違いない。

(了)

中国の専門家、日本の外交に「韓国とだけ仲が悪いなら韓国に問題があるかもしれないが・・・」
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=97&from=diary&id=6579874

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