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2021年07月02日23:21

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グローバリズムの終焉という「歴史の終わり」に日本は抗えるのか

■岸田氏、総裁選再挑戦に意欲=「痛み知る政治家」強調
(時事通信社 - 06月29日 18:01)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=6573000

■イギリスで始まり、日本で終わる■

思えばグローバリズムはイギリスのサッチャー政権から始まった。保護貿易から自由貿易へ、全世界へ波及、その影響は経済に留まらない。平成元(1989)年にはベルリンの壁が崩壊、その2年後にはソ連邦が崩壊した。

アメリカの政治学者、フランシス・フクヤマは1992年の著書『歴史の終わり』で、民主主義と自由主義経済の勝利が確定したとして、その現象を「歴史の終わり」と評した。確かに天安門事件、ベルリンの壁崩壊など30年前に起きた社会主義国の政治変動は2年後のソ連崩壊に繋がり、西側陣営の「勝利」を感じさせる一幕となった。その後、改革開放路線を進めた中国を含めて、旧社会主義陣営が世界経済に組み込まれ、情報技術の発展などと相まって、世界経済のグローバル化が一気に進んだ。

しかし、「民主主義と自由主義経済が勝った」という多幸感を今や誰も持っていないだろう。最早グローバリズムは度が過ぎれば弊害ばかりが目につき、

今だけ、カネだけ、ワタシだけ

ばかりとなって来た。特に弊害の最たるものは「底辺への集中」という、大多数の人が貧しくなる一方で、一部の企業の経営者ばかりがボロ儲けする現象である。例えば東京五輪ではこれだけのイベントでありながら、大した雇用も生まず、1万人ものボランティアが辞退してしまった。

儲かるのはパソなんとかという企業ばかりなのは周知の事実だ。

日本経済は平成5(1993)年では一人当たりの国民所得は世界一だった。あのスイスやルクセンブルグよりも何と上だった。フリーターのアルバイトでも頑張って貯めればハワイに行けたぐらいなのである。

ところが2020年は25位。この下は韓国、イタリアぐらいしかない。アメリカ、カナダ、豪州、シンガポールにすらとっくに抜かれている。もし10万円の支給が無かったら、韓国にすら抜かれていたに違いない。

どれぐらい貧しくなったかピンとこないので、実例を挙げようか。

アメリカや欧州のそこそこのレストランのチェーン店の皿洗いのアルバイトですら、日本円で時給1,500円ぐらいは平気で出る。ところが日本は皿洗いの仕事とは比較にならない複雑なコンビニの仕事ですら、せいぜい時給1,200円が良いところだろう。時給1,500円と云ったら、実質新卒の初任給の方が安いぐらいなのだ。

何と主要国の皿洗いのバイトの時給の方が日本の新卒者の正社員の初任給よりも高い・・・。

「底辺への集中」でここまで日本は貧しくなったことを我々は自覚しておく必要がある。アメリカならば今や中小企業ですら大卒の初任給35万円、大企業であれば50万円ぐらいは平気で出す。日本はその半分程度だろう。

しかしながらグローバリズムが始まったイギリスはEUから脱退したことで、グローバリズムからも離脱しつつある。

この波はやがて最後の最後に確実に日本にも押し寄せて来るだろう。

■日本のマスコミの平和ボケ報道の陰で■

先月開催されたコーンウォールサミットで、日本のマスコミの報道は相変わらず、五輪支持の報道がトップで、この平和ボケ丸出しの報道ぶりには苦笑に堪えないものばかり。日経新聞で全文が公開され、それを閲覧した限りでは日本の五輪支持なんて、最後の最後の方にちょこんと出ているだけだ。それも25ページ中たった2行ぐらい。それも五輪支持という程度。

「五輪やるのか、まあせいぜいがんばれよ。」

その程度のニュアンスだ。

まあ、財務省の発表をろくにモディファイ(言い換え)もせず、今までそのまま載せていた(高橋洋一氏に言わせると、「コピペそのもの」)日経新聞すら、意外と言っては難だが、G7の景気回復の為の積極財政路線の合意内容をそっくりそのまま載せていること自体、こちらも大変興味深い。

最早時代は変わった。

民主党の野田首相(当時)は国際会議の場で、日本は消費増税をやります、と言い、主要国から実質無視された。それはそうだろう。国際関係は所詮「渡る世間は鬼ばかり」の世界である。

「へぇぇぇ。おたくが消費増税で不景気となり、日本経済が勝手に落ちぶれるのであれば、小気味いい話じゃないですか。」

と高みの見物となった訳だ。

ところが笑っちゃいけないけど、笑っちゃうというか、愚かしくも彼はそれを「国際公約を取り付けた」と自画自賛した。

しかし今やそんなことは許されない時代となった。

今回のサミットで景気回復の為に財政出動の最終合意が首脳会談でも言及されたのである。インフレになるぐらいであれば、デフレで不景気を選ぶドイツのアンゲラ・メルケル首相、欧州のスーパーマリオこと、欧州中央銀行元総裁にして、マリオ・ドラギ伊首相も合意した。勿論、消費増税を二度も強行し、日本を不景気に突き落とし、賃金では韓国未満にまで転落させた、アベノミクスを後継すると自他ともに標榜する、菅義偉首相もである。

ということは、財政出動による景気回復は最早国際合意となったのである。現在日本が推進している(庶民から言わせれば「大暴走している」)緊縮財政、PB(プライマリーバランス黒字化)の破棄は国際合意されたと言い換えてもよい。

今後日本の政治家が

「消費増税が国際公約だ」

などと言い出したら、彼らのホームページにこの抗弁不可能な事実を叩きつけてやれば良い。その際、文言は

「嘘もいい加減にしろ。2021年のコーンウォールサミットにて、景気回復の為の財政支出拡大が合意されているはずだ。」

で良い。日本政府が血道を挙げている緊縮財政は極めて重大な国際合意違反。しかも彼らは知っていて続けているのだから悪質である。

■外圧によって、時代が変わったことを認知せざるを得ない日本政府■

今回の合意の際、欧州中央銀行(ECB)理事会のクノット蘭中銀総裁も

「各国が今後数年間は積極的な財政を支出を続けられるような『新たな財政規律』が不可欠。」

と述べた(『』は投稿者)。クノット総裁も決して、公的債務残高がどうだとか、GDPの比率がどうだとかは一言も言っていない。流石に合意内容だけでは分からない。では、何になるのだろうか。既存の基準を使うのであれば、インフレ率しかないかもしれない。

各国に任せるとしたら、日本経済の場合、経済史に省察を求めるのであれば、インフレ率はGDPデフレータベースで+2.0%が妥当ではないだろうか。実際、バブル経済期の1988年頃、日本はこの水準で完全雇用を達成していたからである。

■次期総理は国際合意に従うのか、財務省に従うのか;日本経済は既に待ったなし■

へへぇ。それと岸田氏とがどう関係があるんだい?

当然そう思われたはずだ。まず岸田氏だが、著名な、財務省のミスリードに靡かない経済評論家達の評だけは共通している。

消費増税以外、何も関心が無い人

である。その彼が昨秋、総裁選時に消費増税が必要ですかとマスコミに問われ、菅現総理だけは「○」を掲げていたものの、彼と対抗馬の石破氏は消極的に「△」をあげていたのは少々意外だった。

切り取り記事ゆえ一体何を以って「痛みを知る政治家」なのかよく分からないが、たかが半年かそこいらで、趣旨替えをしたかは大いに疑問である。

ただこれだけははっきりしている。次回のサミットの際、日本がろくに積極財政の証拠を数字で出していなければ、吊るし上げになりかねないところまで来てしまったのである。勿論現在のまま進めば、国際合意違反なのは明らか。実際2021年の国債発行額はこのまま行けば、2020年度比で68%減なのだ。

果たして次期総理は国際合意違反と知りつつ、財務省の言いなりになり、度の過ぎた緊縮財政と「底辺への集中」を加速させ、日本経済を「長いさよなら」に導くのか、それとも国際合意に従い、日本経済を回復に導くのか。

次期首相が岸田氏かどうかは定かではない。しかしながら次期総理は重大な選択を迫られることだけは間違いない。

(了)
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