■困窮者に現金再給付を=自民・岸田前政調会長、菅首相に提言
(時事通信社 - 03月10日 20:01)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=6441187
このニュース記事もmixiで議論が紛糾したようだが、冷静になったところで、そろそろ一石投じようと思う。
経済評論家は一様に岸田氏の事を
「消費増税以外全く興味が無い政治家」
と批判している。財務省に調略された、大増税なくして、財政再建なしという財政再建原理主義者である。
その彼があろうことか、このような提言を行うとは少々意外だった。
結果的にこれは支給が始まりそうである。該当する方にとっては朗報には違いない。
cf.mixi内のニュースはコチラ▼
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&id=6444155&from=home
このような給付金の話が出ると、アメリカはもう3回目なのに、日本は一向にやろうとしない。不十分極まりないという意見があちこちから噴出する。
但し主要国のコロナ不況への対策の金額としては、日本は確かに個人への給付は少ないものの、企業への拠出が多い。相対的な話になってしまうが、個人への給付+企業、団体などへの拠出で換算すると、アメリカに負けていない。
これには失業に対する考え方の違いが見えて来る。
日本の場合、個人への給付よりも雇用を守る事に力点が置かれている。個人事業主への給付はあるものの、需要が無い中、働き手もいなくなり、倒産してしまうよりは良いとする考え方である。
これが海外(特にアメリカ)となるとそうはいかない。
アメリカでは倒産しようが、失業しようが、先見の明や運の無い経営者の下について働いて失業するのは自己責任。しかしそれではホームレスになってしまうので、おカネを配るという考え方である。更にアメリカは基本、日本のような国民皆保険の国ではなく、医療は民間の保険である。或る意味「地獄の沙汰も金次第」みたいなところがあり、金額15万円は凄いが、このあたりは結構シビアである。医療費の補助も含まれていると思って良いかもしれない。
完全失業率の推移(2020年1月と21年1月 出所:IMF、OECDなど)
日本:2.4% ⇒ 2.9%
アメリカ:3.5% ⇒ 6.3%
ドイツ:3.4% ⇒ 4.6%
イギリス:4.0% ⇒ 5.1%
韓国:3.9% ⇒ 5.4%
となっている。日本の雇用維持のための給付は一応見込み通りといったところだ。但し、日本の失業率は休業者は入っていない。野口悠紀雄氏によれば、この人たちを入れたら、
6.2%以上になるという。完全失業率の乖離がこれほど際立っているのは日本ぐらいなものらしい。
それはさておき、日本の場合は長い事終身雇用が続いていた事も大きいかもしれない。実態としては終身雇用の恩恵にたっぷりとあずかれるのは専らバブル世代までの話だろう。
バブルの次の就職氷河期世代、ゆとり、さとり世代はそんな雇用体系からはとっくにオサラバしている(というか、蚊帳の外に置かれていると言った方が正確か)のだが。
こんな海外から見ても特異な給付状況が出て来るのは、依然としてバブル世代までの発言力が強いからだろう。また失業、企業倒産が社会問題となりやすいのも日本の特徴である。
段々変わっていくとは予想出来るが、アメリカ、ドイツのように、直ぐに就職出来るようにしてやる。だから当座は失業ぐらい我慢しろ、とりあえずホームレスになって野垂れ死しない程度のおカネはやる、というところまで今直ぐには転換出来ないだろう。大体がドイツやスイスのように、失業した勤労者に敗者復活の機会が乏しいのも日本の特徴である。
実際、日本の離職率と完全失業率は主要国の中で際立って低いのはそのためである。
次の給付金があるのかどうかという話だが、1-3月期の実質GDPでほぼ決まるだろう。連休明けにはほぼ出そろうはずだ。
なお、2020年10〜12月は名目:1.8%、実質:1.9%という結果だった。
出所:日経電子版▼
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOMG261YB026012021000000/
この水準だったら不毛だが、個人的には補正予算の話が出て来るのは確実と考えている。緊急事態宣言も行った訳だし、10〜12月期よりも悪化しているのはほぼ間違いない。補正予算の議論が出れば、そうした話も俎上にのぼるのではないだろうか。また消費増税をやりたくて仕方がない財務省がまた横やりやイチャモンをつけて来るのは火を見るより明らかだが。
但し今度も企業ベースに給付という話になるだろう。日本の今までのやり方を見ていると、個人に配るというのはこのままでは企業がバタバタと倒産必至の場合に限るからだ。
(了)
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