夕刊を広げると、林英哲さんを大きく取り上げた記事があった。
林さんはどんなかたかと言うと、<鬼太鼓(おんでこ)座、鼓童のメンバーを経てソリストに。民族音楽、クラシック、ロック、舞踏、どんなアートも自在に行き来する>和太鼓奏者で、最初は佐渡島を活動拠点としていた。記事では今年50周年を迎えると書かれていて、ちょっと驚いた。
49年前……、ということは鬼太鼓座が結成されてわずか1年何カ月後、高校の体育館で彼らの演奏を体育座りで見たのだった。誰だぁ、ほぼ無名の鬼太鼓座を特別授業の名目で招聘した教師は?
当時、地方には出版文化とメジャー系映画以外、文化などなく、コンサートやライブ公演など見たことがなかった。「グランド・ファンク・レイルロード」が来日公演をした、というようなことを深夜放送(ラジオ)で聞いても、同時代性なんて全く感じられない。
純朴な田舎の少年は、髭面の林さんたちの迫力ある和太鼓演奏に衝撃を受け、自分が全く知らない世界に足を踏み入れる時特有の昂奮を覚えた。
……たぶん、あいつかなぁ、こういう前衛的な集団をわざわざ高松まで引っぱってきて、生徒を驚かせてやろう、なんて企んだのは。彼はバンドを組んで音楽活動をやっていた教師で、私が高校3年の時、市内唯一の女子高校の女の子を孕ませた(女の子の卒業を待って結婚した)イカす教師で、「おとなって自由でいいなぁ」と清い身体の少年(当時)は思ったものだった。今なら新聞ダネになる事件か(苦笑)。
昼の2時過ぎ、詩人のノートに書かれた内容がくだらねえ、と思ったところで、海へ行くことにした。そろそろワカメが波打ち際あたりに漂う季節。午後2時は干潮時なので、どんぴしゃのタイミングだった。
自転車で由比ヶ浜へ。
ちょっと遅かった。既に暇な市民が拾ったらしく、ワカメのメカブだけが5つか6つ、浜にあっただけで、ワカメはまったくなかった。
それでも20分ほど浜を彷徨ってから、自転車に戻った。手がべたついて気持ち悪いので、図書館へ行って手を洗うことにする。こういう利用はどうかと思うけど。
手洗い後、「本の雑誌」を20分ほど読んで退館。
帰りにお菓子のまちおかに寄って、おやつを買う。
平々凡々な一日だった。
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