祝うと呪うは意味は真逆だけど、形は似ていると思いませんか?
それもそのはず、語源は同じだからです。
どちらも兄からの派生語で、兄は祭壇の前で祈りを捧げる人=神主や祭主を表しています。
祝=示+兄 祭壇で幸せを祈る様子
呪=口+兄 口から発せられる祝詞を表す
の違いはありますが、どちらも物部氏や安倍晴明(安倍晋三の祖先)などの陰陽師や祭司に頼みました。
呪いというのは、折伏つまり相手を調伏することで、それが怨霊や悪魔ならお祓いになり、祝いに近いし、調伏する相手が人間であれば、呪いとなるわけです。
お呪い(おまじない)なら、よくて、まじないとなると、途端に胡散臭くなるような感じと一緒です。
わら人形も神社の御神木に打ち付けるのはそのためです。
呪いも祝うも表裏一体の関係です。
ここからは前回紹介した「脳科学からみた祈り」の本の内容です。
祈りにも裏表があり、よい祈りはベーターエンドロフィンや快楽物質を脳に分泌するが、悪い祈り(呪い)は、コルチゾールという物質を分泌し、脳の記憶を司る海馬を萎縮させるとあります。
よい祈りと悪い祈りはどう違うのか?
例えば、アスリートが、負けても勝ってもいい試合をしたい、と思えばよい祈り、勝つためにライバルの失敗などを願うと悪い祈りになり、その差は呪いと祝いと同じく、紙一重です。
ある結婚している女性が、旦那さんが浮気をしているのを知ってしまったそうです。
毎日毎日、その浮気相手の女性が憎らしくてしかたがない、死んでくれればと思うようになり、地獄のような日々を送っていました。
その事を先輩の女性に相談したところ「とにかくみんながよい方向になるやうに祈ること、もちろん旦那さんも相手の女性も、憎しみはあなたにとってもよくない」とアドバイスしたそうです。
浮気相手の女性のために祈る?とんでもないこと、そんなこと出来ない!
はじめはそれでも無理に、みんなが幸せになりますように、と祈っていましたが、上の空、憎しの嵐。
しかし、それでも毎日みんなの幸せを祈りていると、三ヶ月めあたりから次第に気持ちも落ち着き、遂に本気でみんなの幸せを祈れるようになったと言います。
心の転機が出来たのです。
すると、旦那さんも浮気相手の女性と別れて、自分の元に帰ってきた、と言うのです。
祈りが神に通じた、などと神秘的なことを言っているのでなく、浮気している旦那さんも後ろめたさ(社会脳)があるところに、それでも穏やかに接してくれれば、早く奥さんと別れてよ、なんて言う浮気相手の女性よりずっと良いと感じたのでしょう
。
ついに奥さんはよい祈りを身につけることによって、心身ともに健康になったのです。
人は一般的に、その行為が正しいか、悪いかを判断する機能が備わっており、それを社会脳と呼びます。
社会脳の機能は、どんなに自分なりの屁理屈を付けて、相手を納得させても、本人の心が、社会的に悪だと認識している脳なのだそうです。
悪い行いをすると脳は、本人の意志とは関係なく、コルチゾールというホルモンを分泌し、記憶を司る海馬を萎縮させます。
少し話はそれますが、一昔前に話題になった、チベットの死者の書があります。
死後の世界を書いた経典ですが、人は死ぬとまず、まばゆい光の行進を目の当たりにする、それと同一化てきるならば、天上へと行ける。
しかし、普通はあまりに眩しく、近寄ることすら出来ない。
次に、おどろおどろしいおばけのようなものが行進してくる、そして、これは全て幻想、自分の意識が作りだしたものだ、と理解すれば、同じく天上へ行ける。
それが恐ろしく近寄れないなら、次には自分が死んだ状態をみれる。
そこには家族などか悲しんでいる、そこで、自分は死んだのだ、と悟れば天上にいけるが、そこで肉親への執着が捨てきれないと、輪廻に戻り、六道のどこかに転生することになる。
この場合も、すべて自分の意識が作り出した幻想だと理解するのでなく、感じ、わからないとならず、そのことは、生きているときの社会脳的な機能であると言えます。
話をもどすと、
海馬が萎縮すれば、当然通常記憶力も悪くなりますが、展望的記憶もダメージをうけるそうです。
記憶とは、単なる過去のあった事を覚えている(通常記憶)というのと、「来週の水曜日に○○さんと会う」という未来にやるべきことの展望的記憶に分けられます。
認知症の人はこの展望的記憶が極端に低下しているそうです。
認知症の人は、本人の考え方、生き方が深く影響しているんです。
よく悔しさを原動力にしているひとがいますが、行き過ぎると相手の揚げ足をとったりして、嫉妬深くなったりして、認知症を進行させるので、要注意です。
明るく前向きな未来を想像することは、認知症にもかかりにくくなると言えます。
未来について考える、実は祈りもそうなのです。
たとえ亡くなった人のことを祈る時ですら、その人が未来にむけて安らかであるように祈るです。
祈りは「未来をよりよい方向に変えようとする営み」なのです。
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