イングランドは準決勝のニュージーランド戦がベストゲームだったのだろう。そのニュージーランドは準々決勝のウェールズ戦がたぶんベストゲーム・・・・
いかなる強豪であってもベストゲームを続けることは難しい。しかも負けたら終わりのトーナメント戦はプール戦とは戦い方が違うのだから・・・・
南アフリカはワイドに攻めた。最初のショットは失敗したが、互いにゴールに近づけば確実に3点を狙ってくるノックアウト方式のトーナメンント戦ならではの戦いぶり。
南アフリカは22メーター前からはタッチキックを徹底。陣地を奪ってはスクラムで押して相手のファウルを誘いPGにつなげてきた。この徹底力はすごい。FWの体重はイングランドの方が重いにも関わらず、強い当たりでイングランドを押し込んだ。この南アフリカと日本は互角にスクラムを組んだことを思えばある意味感無量でもあったが・・・
イングランドは何とか食らいついたがダイレクトタッチやラインアウトミスがあって流れがつかめない。前半30分過ぎにはゴール前に進み、何とか突破を試みようとするが、南アフリカの素早いタックルにまったく前進が出来ずトライが生まれないままPGでの3点がやっとだった。
当たり前のことができるか、ミスをどれだけなくすか、それがファイナルなのだろう。
前半はお互いにPGのみで南アフリカが12−6でリードすると後半は南アフリカがグラバーキックからトライを奪い、その後はもうイングランドには反撃の力は残されていなかった。
思えば9月20日に開幕し日本がロシアを破った今回のワールドカップ。その翌日のプール戦B組のカードがニュージーランド対南アフリカだった。この試合はニュージーランドが勝ったがボクはこのカードが決勝戦となりそれを見据えて南アフリカは戦ったように見えたと感じた。日記にもそのように書いた。そのニュージーランドは決勝まで勝ち上がってこなかったが、南アフリカはイメージした通り決勝まで駒を進め、世界一に輝いた。もちろんこの場でニュージーランドとの再戦を見たかったという思いはあるが、それでも素晴らしい決勝戦だった。
人種差別の国であった南アフリカ。アパルトヘイトという言葉も小学校で聞いた記憶がある。そんな国の主将を今回は黒人が勤め、試合が終わるとみんなが抱き合った後は観客に向かってい整列し日本風にお辞儀をする。
サッカーを起源として生まれたと言われるラグビーという競技は激しいコンタクトプレーが認められている。これがサッカーなら何度も乱闘騒ぎが起こり試合にならないだろう。それだけにフェアプレーが求められる。南アフリカに長く存在した人種差別をラグビーのフェアプレーが凌駕したのではないかと思うと、日本人には到底理解できない苦悩と、そして喜びがあるのかもしれない。
アスリートファーストという言葉のもとに政治や利権が見え隠れする東京五輪のいざこざをよそに、本当のスポーツの持つ力がどれだけ偉大かを教えてくれた今回のワールドカップ。日本の大健闘はもちろんだが、ラグビーのスポーツとしての魅力を感じるとともにそれ以上の思いを巡らせた大会であったと思う。
そういう今回のラグビーワールドカップに改めて感謝したいと心より思う。
2019年11月2日 ラグビーW杯 決勝(於 横浜国際競技場)
南アフリカ32−12イングランド(3大会ぶり3回目の優勝)
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