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2019年10月06日13:55

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富士スピードウェイで世界耐久選手権(WEC)が開催されている(6日正午現在)。

数年前にトップカテゴリー3強のうちアウディとポルシェが、勝ったことだしもういいやと相次いでやめてしまったため、残ったトヨタは完走すれば優勝という状態になってしまった。そのあたりを知らないマスコミは、トヨタのルマン24時間優勝を絶賛していたが、実際はしらけのレース展開。

開催側からするとこれはとてもまずい状況なので、レースを面白くするためにやったのが「トヨタ車に足枷をはめる」こと。エンジンへの空気や燃料の流入量を制限するだけでなく、タイヤの供給量を制限したりおもしを載せたり、さらには回生エネルギーの使用制限、ピットイン時の燃料補給にかかる時間を増やしたりと、あの手この手をこれでもかと加えた結果、今年ようやく下位グループの車両との「競合い」が見られるようになった(ただし序盤のみ)。

首位いじめはモータースポーツの世界では珍しくないものの、ここまで露骨になると、その時代の最先端技術を駆使して最速の車を作る、というモータースポーツ本来の目的はどこへ? と言いたくなる。

ラリー(WRC)もいよいよハイブリッドになることだし、トヨタもアウディやポルシェを見習ってフォーミュラE(フル電動車によるレース)に転向してはと思うが、ハイブリッド時代はまだまだ続くとみて、その耐久性能や効率化などの実験場と思っているのだろうか。

かつてはモータースポーツで培われた技術は市販車にもフィードバックされると言われ、いまもそれを盲信するおめでたい連中もいるが、現在のモータースポーツ車両は尖りすぎて参考にならないというのが本当のところ。それどころかATやABSのように、市販車からレース車両にフィードバックされた技術すらある(レースで鍛えられ、再び市販車へ)。

走らせる場所が特殊なサーキットと公道なのだから、速度ばかり追求していればそうなるのも仕方がないが、ではモータースポーツはもうただの遊びでしかないのかというと、新技術の開発場としてできることはまだある。ただし現場でそれに気づいている人は少なく、さらに指摘の声にも耳を貸さないから、やはりただの遊びなんだな。(笑)

例えば、雨天のレースでは、前走車の巻き上げる水飛沫で前がまったく見えなくなる。その様子を眺めながら解説者のひとりが、水飛沫の向こうの状態がわかるシステムを開発できないものだろうかと語ると、その恐怖を押さえつけて走り続けるのがプロなのだ、とレーサー上がりのもうひとりの解説者がドヤ顔で語っていたが、その後しばらくして、減速した前走車に気付かず後続車が突っ込み、レースは中断に。

また耐久レースでは、視界が制限される薄明薄暮夜間の走行パートがある場合もあるし、参加台数が多かったり、ニュルブルクリンクのように見通しのきかないコースでは、ブラインド先での事故を避けようと急にステアリングを切ったところ背後に迫っていたライバルにぶつかるケースもある。

こうした時、周囲の車の位置情報を俯瞰できるシステムがあれば、レースドライバーにとって有益な情報ツールとなり、市販車のドライバーにとっても霧や夜間、豪雨中の運転時には心強い味方となる。自動運転車にも重要な情報支援装置となるだろう。さらにはその応用として自転車や歩行者にも対応できるようになれば、悲惨な交通事故を減らすこともできるだろう。

車両に搭載する機器だけでなく、道路周辺に設置された機材も含めた、レーダーやレーザー、GPS、カメラ、トランスポンダーの複合ネットワークシステムとなるだろうから、公道で運用するには超えなければならない山は高そうだが、走る場所や台数の限られるサーキットコースは基礎技術開発にはうってつけの実験場で、やがては一般車両にもフィードバックされることになるだろう。
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