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2019年03月12日20:22

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【バレエ】「ルグリ・ガラ」/ 新国「ラ・バヤデール」

「これ、あげる」

とチケットを差し出すお師匠さま。

タイトルは「スターズ・イン・ブルー」、俗称「ルグリ・ガラ」。
こっちhttp://danceconcert.jp/が公式サイトだが、
演目などの概要はこちらの方が見やすい。
http://www.geigeki.jp/performance/theater197/

我が師は最初、土曜日にこれを御覧になる予定だったが、
後出しのK「カルメン」、ご贔屓の荒井さん回がもろかぶり。
そこで「ルグリ・ガラ」を金曜日に取り直し、
土曜日の回は弟子が行くことになった、というわけだ。

劇場の取り合いや常連枠の問題もあるのだろうが、
この週末は5種類ものバレエ公演がかぶっていた。
ファンの棲み分けも相応にあるようだが、
パイ(お客)を食い合いしている部分もあるのだから、
バレエ団や招聘元はダメ元で「調整」を試みても
良いように思うのだが。


「ルグリ・ガラ」、
副題に「バレエ&ミュージック」とあるように、
出演者はダンサー4名、ピアニスト2名、バイオリニスト1名で、
上演演目も競演作品が6本、演奏のみが4本。
ピアノとバイオリンの奏者は昨今話題の人ということもあり、
観客席もバレエ・ファン一色ではなかった。

そんなわけで、
クラファンはスミルノワさんのスタイルに驚愕し、(笑)
一部の空気の読めないバレエファンは、
いつもの調子で拍手をして顰蹙をかっていた。(恥)

演目がほぼコンテ、
ピアノの田村さんはテンポが速まると指がひっかかるし、
バイオリンの三浦さんも目立つところで音程をはずしていたが、
休憩込みで2時間とコンパクトな公演だったのと、
木本くんの怪我は気になるが、
贔屓のアッツォーニさんを観られたので、
観覧後はお師匠さまに感謝しつつ、池袋から初台に足を向けた。


時の経つのは早いもので、すでに1年以上前のことだが、
新国の「シンデレラ」の印象が良かったのと、
「アリス」などその後の演目についても、
我が師がそこそこ褒めていたから、
久しぶりに新国の舞台を観ることにした。
「バヤ」好きだし。

しかし土曜ソワレの小野/福岡組は希望席が取れず、
やむなく楽日の米沢/井澤(弟)組を取った。
ところが発売からだいぶ経ったある日、ふとネットを覗くと、
出戻り席に呼ばれてしまった。(笑)
と言うわけで、新国2枚看板の見比べとなった。

演奏会として考えれば、2回とも良い公演だった。
バクランさん指揮の東京交響楽団と、
そのコンマス、ニキティンさんが良い仕事をしてくれたからだ。

だが新国のダンサーには、期待していた分、ちょっとがっかりした。
直前にアッツォーニさんの美麗でドラマティックな踊りを観てしまった、
というのもあるが、やはりプティパは難しいのかもしれない。

今回の舞台で良かったと思ったのは、
やはり小野さんの自然な演技と、
体型も含めて以前より洗練された福岡くんの踊り、
および2人のパートナーシップ、
そして影の王国前半の群舞だった。
この4点は、掛け値無しに楽しめた。

・・・ぷるぷるダンサーは沢山いたし、
Kの群舞を観たときのように涙がでそうにはならなかったけど、
良く揃ってはいたからね。

だが米沢さんの演技は小野さんと比べるまでもなく、
まだまだわざとらしさが抜けないし、
盤石のはずのテクニックも、日曜日は良かったが、
土曜日のガムザはいまひとつだった。
腕使いも「都ガラ」に出演した時の方が優雅だったし。
井澤(弟)くんも前よりは成長したね、というレベル。

悲惨というか無残だったのが「黄金像」。
演奏のテンポがいきなりゆっくりになったにもかかわらず、
釣り上げてから1週間放置されたサンマのような踊りには、
彼らを選んだ芸監の眼力が心配になったほどだ。
苦行僧を担当した宇賀くんの方が良かったのではないだろうか。
その前に、井澤兄さんはどうした!?

また観客席の盛大な拍手とブラボーにはちょっと腹が立った。
どうせサクラだろうが、ものには限度というものがある。
配役されたダンサーとバレエ観覧の初心者を勘違いさせるだけだから、
場の盛り上げ方はもう少し考えよう。

今回の舞台は、良く言えば軽快だが、
悪く言えばいろいろな意味で薄っぺらかった。

華美でテンポも良いランチベリー編曲は、
その特徴を生かそうとすると、実は踊るのが難しい。

まず、彼の編曲はスピードが大事で、
特に「バヤ」や「ドンQ」のような作品では、
パリオペのようにゆっくりちんたら上品ぶって演奏していたら、
装飾音符盛り盛りのフレーズが鬱陶しいだけになる。
いささか粗野になってもいいから、
弾けるようなリズム感とスピードを優先し、
あたかも祭りの宴のように、華やかに奏でるべきなのだ。

といって筋力の劣るダンサーがスピードを追うのに必死になると、
動きが単調で直線的になり、色気がなくなってしまう。
その良い例が、ソロルがガムザを紹介された直後のジャンペの踊り。
あそこは速いだけでなく、しなやかかつ色っぽく踊るべきなのだが、
今回の踊り手にはしなやかさも色気もなかった。

ダンサーたちの演技もまた薄味だった。
たとえばラジャや大僧正に対してする、独特なポーズのお辞儀があるが、
ロシアのキャラクテールたちがやると、ちゃんと「敬い」が感じられる。
しかし新国のダンサーたちにはそれがなかった。

また日本のバレエ団でも昨今ようやくガムザが重視されるようになったが、
本来「バヤ」という作品は、そこに大僧正を加えた四角関係の物語であり、
さらにラジャがキーマンとなる、実にドラマティックな作品なのだ。

したがってこの作品をより魅力的に仕上げるには、
ダンサーの卓越した演技力が必須で、
さらに芸監が認めればキャラクターの性格は幾通りもありだから、
その組み合わせによってはいくつもの物語が生まれるという、
多様性に満ちた懐の深い作品でもある。

しかし今回の舞台は、一部の人が及第点の演技をしていただけで、
組み合わせを楽しむというレベルではなかった。

もっとも、これは公演数の多いソ連のバレエ団とダンサーたちが、
長い年月をかけて培ってきたものだから、
今の日本のバレエ団やダンサーが出来なくても仕方がない。
本来は奥の深い面白い作品だということを念頭に、
より魅力的な舞台造りに励んでもらえればと思う。

影の王国のヴァリ3人2組は、
第3ヴァリの中盤は2人ともさすがに手こずっていたが、
総じて足音を除けばまあまあの出来だった。

中でも土曜ソワレ第2ヴァリ担当者の、
つなぎが滑らかで連続性のある動きが目を引いた。
彼女と比べると同じ日の第1ヴァリは動きがぶつ切れ。
足音も6人の中では静かな方だったので、
ちょっと気になり名前を確認したところ、池田理沙子さんだという。

「彼女も元Kだよ。いた時はまったく気付かなかったけど、
移籍したとたんソリストだから驚いた。
でもたしかに周囲より上手いから、納得ではあるけどね」
と、お師匠さま。

観覧後、真っ先に頭をよぎったのは、
やはりKはレベルが高い、だった。
そして無性にマールイの「バヤ」が観たくなった。
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