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2019年02月02日18:34

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セルフステアの嘘(中上級者向け)

バイクの世界で、近年よく聞く言葉に「セルフステア」というのがあります。
「速くスムーズに走る為には、バンクさせると自然にハンドルが切れるから、自分でハンドルに入力せずに走るのが良い」という考えです。

これは結論から言うと嘘です!
みなさん騙されてはいけません。

ただし、タンデムの場合は、セルフステアは効果があります。
セルフステアの最大の欠点は、俊敏な動きが出来ない事ですが、タンデムでは重心が高くて重いので、ステアリング主導の俊敏な動きは危険な事があり、手首に負担がかかってしまう事があります。タンデムの場合は、セルフステアをきっかけとしたワンテンポ遅い動き出しが丁度良いし、バランスも取りやすいです。
タンデムでステアリング主導の俊敏な動きをすると、その動きに後ろの人がついて来れないので、バランスを崩しやすいです。
ただしタンデムで擦り抜けする場合は、セルフステアだと避けるのが遅れたり避けられなかったりする事があるので、荷重の移動とステアリング操作を同時にやったほうが良いです。

また、コーナーでビビって無駄な力が入ってしまう人や、とにかく気合で走り無駄な力が入ってしまう人には、セルフステアは意味がある考えです。
バイクのコーナーリングは、主に荷重移動とステアリングを切る事とバンク角で曲がりますが、無駄な力が入ってしまう人はステアリングをあまり切らずにバンク角で曲がろうとするので、コーナーリング速度が遅くなってしまいます。
これであればセルフステアにして、ハンドルを自然に任せて切ったほうがマシです。
初心者・初級者にはこのような傾向があり、適切なハンドルを切る量がわからない人が多いので、最初はセルフステアの力を借りて、コーナーリング中の適切に近いハンドルを切る量を覚えていく方法としては有だと思います。(あくまで適切に近いだけで、セルフステアでハンドルを切るタイミングと量は、適切ではありません。)

それでも、コーナーリング途中でのラインの変更や、バイクを起こしたい時や、バランスを取りたい時は、ステアリングを使う必要があります。セルフステアでは、これらの動作は遅くなります。
バンクより先にステアリング主導で走る方が、速いしバランスも取りやすいです。
ステアリング主導でハンドルの切れ角とバンク角の両方を使ったほうが、コーナーリング速度は速くなります。(+荷重移動も大事)
荷重移動とステアリングをきっかけとしてバンクが追随するイメージです。
荷重移動とステアリングは同時で良いですが、荷重移動が先のほうが走りやすい事が多いです。すぐに何かを避けないといけない時など瞬時に動く必要がある場合は、荷重移動とステアリングは同時に始動すべきです。
バンクは、その後に必要な分だけ追随させます。

コーナーの進入等では、ブレーキやアクセルオフやステアリング操作や荷重移動をきっかにしないと、俊敏な動きは作れません。
バイクには、慣性の法則とジャイロ効果で、真っ直ぐ走り続けようとする力が働いていますから、それを崩すきっかけを与えてあげる必要があります。その方法で最も速攻性があって確実なのがステアリング操作です。

セルフステアが正しいならば、極端な話し他にアクセル操作をする手段があるなら、ハンドルを手放しで走ったほうが良いという事になりますが、そんなんで速くスムーズに走れる訳がないと理解してもらえると思います。
ツーリング中、峠の下り坂で試しに両手を離してみてください。一応走れますが、コーナー進入が遅い動きになる事が理解できると思います。バランスも当然とりにくいのでバンク角を深くする事が出来ません。
ステアリングはバイクのバランスをとるのと曲がる為の重要な役割を担っています。
サーキットとかで速く走るためには、コーナーの奥深くまでブレーキを使う必要がありますが、フロントブレーキをかけながらセルフステアはできません。
サーキットでもセルフステアよりも、荷重移動とステアリングをきっかけにしたほうが速いです。サーキットではフルブレーキを弱めながらコーナーに進入していきますが、この時ブレーキを緩めながら荷重移動とステアリングできっかけを与えると、スムーズにバンクできます。止まるためのブレーキから曲がる為のブレーキにスムーズに移行できます。
セルフステアだと、曲がり始めるのが一瞬遅くなりますし、深いバンク角でバランスを取るのは困難です。セルフステアでバランスが取れているように感じるのは、最近のバイクはセルフステアで乗りやすいように造られているからですが、セルフステアだけで完璧なバランスを取るのは困難な事が多いです。多少なりともハンドルに入力しないと速く走れません。直線でさえ、直進安定性の良いバイク以外ではセルフステアで走るのが難しいので、ハンドルを無意識に微妙に動かしてバランスをとっているのです。カーブでも同様で、ハンドルを離しても曲がれたりしますが、入力したほうがバランスが取れるし速く走れます。

速く走るためには、ブレーキを緩めながら荷重移動とステアリング操作をする必要がありますが、セルフステアだと、バランスを取りにくいので、ステアリングを使いこなしている人より遅いし転倒しやすくなります。
ブレーキを緩めて曲がる為のグリップを確認しながら荷重移動とステアリングを扱い、それに続いてバンクさせます。これがバンクが先だと曲がる為のグリップを確認しづらいので遅くなるし転倒しやすくなります。

セルフステアは、バンクに追随させてステアリングを自然にまかせて自動で切ると言う考えですが、そうではなく、荷重移動とステアリングに追随させてバンクさせ、ブレーキをリリースした後に、より深くバンクさせる目的の為にセルフステアにするなら、意味がある場合があります。
コーナリング中のバイクは、荷重移動とバンクとステアリングとアクセルワークで主にバランスをとっていますが、荷重移動とステアリング主導でバンクさせてブレーキリリース後アクセルONの前に、ステアリングを離すと(セルフステアにすると)、バイクはバランスを失って、より倒れる方向に動く時があり、バンク角を深くさせられる場合があります。
このタイミングでのセルフステアでも走らせ方やバンク角によっては、バンク角が変わらない、またはバンク角が浅くなる場合もあります。ハンドルをあまり切らずにバンク角で曲がる傾向がある人は、このタイミングのセルフステアでバンク角が浅くなります。

このタイミングでのセルフステアが必ず必要かというと、ステアリング主導で走れている人にとっては、使わないほうが良い場合のほうが多いです。ステアリング主導を使いこなしている人にとっては、このタイミングでも、セルフステアより速く安定して走れている可能性があり、セルフステアにより取れているバランスが崩れる事があります。(セルフステアは、ステアリングの動きを邪魔しないという意味はあるが、ステアリングでより積極的に曲がる力をプラスさせたり、行きたい方向に舵を取ったり、積極的にバランスを取る技術ではないから。)
ステアリング主導の走り方が出来ている人にとっては、セルフステアは、自分に無駄な力が入ってないかの確認するための意味でしかないです。ステアリングに無駄な力が入っていると、適切なステアリング操作は出来ません。

タイヤが滑った時、ふらついた時は、バンク角の変更と同時にハンドルと荷重移動で立て直したほうが、早く安定させられます。(転倒しにくくなります)
コーナーリング中のラインの変更もしやすくなります。
Uターンも、ステアリング主導で、バンクと両方を使うと、小さい半径で回れるし、安定感も上がります。
大型車やタンデム時のUターンは、車体の傾きを修整するのが難しいので、普通にUターンするだけなら、バンクさせずにハンドル操作と荷重移動だけでUターンしたほうが良いです。(セルフステアとは真逆の考えです)
Uターンは最も難しいコーナーリングと言えますが、セルフステアでのUターンは困難です。セルスフテアだとハンドルを切るタイミングが遅れるので大回りになるしバランスが取りにくいです。

S字コーナーやスラロームの切り返しも、ステアリング主導にすれば早くなります。(+荷重移動とステップ荷重も有効)S字コーナーやスラロームの切り返しは逆操舵的な動きになっておりセルフステアで切り返そうとすると遅くなります。

峠の奥がきつい右複合コーナーでは、バイクが曲るのを遅らせたいので、セルフステアで曲がっていかないようにハンドルを抑え、その後力を抜いてセルフステアを活用して曲がるという方法があります。
峠の左コーナーでは、一瞬の遅れでセンターラインオーバーするリスクがあるので、同様な方法でセルフステアは使わないほうが良いです。
適切なタイミングで、しっかりステアリングを切りましょう。

これらの理屈を理解していると思えるライダーは、観察していて10人に1人もいないと思います。
つまり、荷重移動とステアリング主導の走り方をすれば、ほとんどのライダーより速く安定して走れるようになります。特に低中速コーナーで効果が高いです。(4輪と同じで、高速コーナーではハンドルの切れ角は少なくて良いので、少し遅くなるがセルフステアでも良い)
コーナーの進入でのステアリングの適切な切るタイミングと量は、セルフステアより、やや早く、やや大きくです。
コーナーの途中では、バンクとステアリングと荷重移動の全部を臨機応変に使ってコントロールします。
バランスを取りながらバンクする為に、セルフステアを殺してハンドルを押さえつけたり、一瞬ハンドルをコーナーの外側に切ったりする事もあります。
左右の荷重移動は、上半身・尻荷重・ステップ荷重・バンクを臨機応変に使います。バンクも荷重移動の一つの方法です。

上手い人でもセルフステアで曲がるのが正しいと言ってたりしますが、たいていは勘違いです。セルフステアとハンドルを切るタイミングが一致する事があるので、それでセルフステアで曲がるのが正しいと誤解しています。ゆっくりツーリングペースで走るならセルフステアで問題を感じません。最近のバイクはセルフステアで曲がりやすいように設計されているので。それでも無意識にでも入力してバランスをとったり曲がる力を発生させたほうが速く走れます。

フルバンクしているのに、コーナーで負けると悩んでいる方、これで解決です。
フルバンクよりステアリング操作と荷重移動のほうが大事です。
何年か後には、バイク雑誌等で、「セルフステアはもう古い、ステアリングを積極的に使って走れ」とかいう記事が書かれる事を予言しておきます。笑


逆操舵は意味があるのか
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1973838792&owner_id=1750116



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