ダンジョンクリア

　毎年恒例の万座温泉、今回6回目。いつもは熱い露天風呂が今回ぬるくてがっかりし、私を含めたおっさんの総意でおばちゃん（お姉さん・お嬢さんと呼んだとのこと）に熱くしてもらったが、如何せん熱くなるには時間がかかるので自分が入っている間ついには熱くならなかった事はさておく。

　昨夜から続く吹雪が今朝も止まない。ホテル日進館のフロントで訊くとリフトは動いていないとのこと。（動けば）館内放送するとも回答を得る。
　チェックアウト後に帰りのバスを待つ間（これが5時間、リフト4時間券・スキーレンタル4時間でちょうどいい）の待合室で窓外の吹雪を見ながら諦め切れずにスマホを弄る。一部のリフトが運行中。
「なぬ？！」
　すかさずフロントに訊きに行く。たしかに動いているが、そこに行く送迎バスがスタックした車の渋滞に巻き込まれて戻って来ていないとのこと。

「ですが・・・」ここから10分ほど歩いた先の日進館インの裏手からスキー場に入れるという。そこは上級コース。まあ、なんとかなるべw
　向かう。猛吹雪だ。そのたった10分の行程すら難儀だが、5時間待合室でうだうだと無為な時間を過ごすのは我慢がならない。
　日進館インに着くが、そこからスキー場への道が判らない。と、日進館インの従業員と思われる人が教えてくれた。
「ポールが3本立っていてそのいちばん右側に道があります」
　行くと道はない。雪の壁があるだけだ。とりあえずポールの右側1本目と2本目の間の雪壁を崩して登って上に行く。少し進むとスキー場のコースに着いた。上級コースとはいえ下の方だから斜面はキツくない。
　これはネットでは辿り着き得ない（本当は可能なのか知らないが、少なくとも時間がかかる）道だ。しかも教えて貰った後で壁を突き崩して。そう、まるでロールプレインゲームのダンジョンクリアの様！

　下方に建造物が見える。これが何であるのか判るのに物凄く時間がかかる。着いてからも正しく判っていなかった。
　その建造物でリフト券を買う。目の前のリフトは動いていない。とりあえず1回券を4枚買う。1枚500円。意地でも4回は乗る。後はそのあと考えよう。
　そこから徒歩で登る。しばらくして気付く、下で横移動している人がいる事に。吹雪いているからあまりしたくない行為だが地図を見ると動いているリフトは下にある。全くもって無駄な登りをしていたのだ。この時はじめて判る。

　ブリザード・ブリザードで楽しいスキーとは言い難い。だがまあ気は済んだ。
　1回券3枚目でリフト従業員が券を見ちゃいない事に気付く。或いはわざとかも知れない。ていう訳で以降タダ乗り。4時間券が3900円だから2時間券（存在しない）を買ったということにして貰おう。たぶん7〜9回、滑走時間は2時間。

　リフトからストックを落としてしまう。探しているとリフトに乗っている人から
「あと2〜30m下です」
と教えて貰える。これはその後に東京駅で外国人を案内した事でチャラという事にして貰おう。東京砂漠だなあ、英語喋れる人なんか俺以外に大勢居るだろうに。