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2019年01月28日05:28

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ミシェル・ルグランを追悼して、画面に登場した姿を再見。アニエス・ヴァルダ監督「5時から7時までのクレオ」(1961)。

僕にとっては映画音楽家であるミシェル・ルグランが亡くなったと聞き、当然追悼で見るならこの作品しかないと「5時から7時までのクレオ」を引っ張り出しました。残念ながらDVD化された初期のDVDなので、4:3のテレビサイズ。それも古いプリントからソフト化してあるのでコマ飛びや音声飛びが数多くあります。それでも彼の姿が出てくる映画は、これしか思い出しません。

物語は、病院で検査を受けた歌手クレオ(コリンヌ・マルシャン)が、結果を聞くのを恐れて占い師に見てもらったりして、夏至の日の夕方5時から医師に会う約束の7時まで、パリの街をさまようというもの。

2時間を90分で描きますから、決して“実尺映画”ではありません。でも、雰囲気は実尺ということから公開当時から話題となりました。imdbの点数が8.0ですから、映画検定を目指す人は必見ですね。数々の批評家たちが“映画史に残る作品”と評価しています。

ミシェル・ルグランは、歌手のクレオを訪ねてくる作曲家という設定で、自らピアノを弾いて新曲をクレオに歌わせます。この“サン・トワ(Sans Toi)”という曲がとても印象的でした。高校生のころ大阪の戎橋劇場で大人も学生も小人も均一料金という部分に不満を感じながら、50円だからいいかと自分を納得させて入場、今まで見てきたアメリカ映画のように、はっきりとした物語がないのに、不思議に面白く見てしまう作品でした。

歌手の話だとはいえ、途中でまるまる1曲歌わせるというのも、今までの映画にはなかった感覚だし、美術学生たちのヌードモデルをしていた友人が、車を借りている映写技師にプリントを届けるという逸話も、僕には斬新でした。そしてそこで5分くらいの短編が挟まります。

この短編映画の主役がジャン・リュック・ゴダールで、恋人役がアンナ・カリーナ。救急車で駆けつける青年がジャン・クロード・ブリアリで、水を撒き散らすのがエディ・コンスタンティーヌ、帽子をかぶった青年がサミイ・フレエでした。これはヤフー掲示板の“こんな映画にこんな人が”トピに書きこまないと(笑)。

それと、この女友達が運転しながら、“通りの名前が死んだ人ばかりというのは変ね。生きている人の名前にして死んだらすぐ換えればいいのに。ピアフ通りとかアズナブール通り、とか”と言います。どちらも当然亡くなっているわけで、妙な気分ですね。“ルグラン通り”はできるのでしょうか?

ミシェル・ルグランといえば、ジャック・ドミイとのコラボが有名ですが、僕にとっては「大侵略」で“リリー・マルレーン”を教えてくれた人だし、映画そのものはベタで好きではないけれど主題歌を耳にするだけで泣けてしまう「おもいでの夏」が印象的でした。ゴダールの「女と男のいる舗道」では、ジューク・ボックスから流れる主題歌に合わせてアンナ・カリーナが動き回るシーンも忘れられません。

その「女と男のいる舗道」のシングル盤(セブンシーズ)を買っていたのですが、サントラではなくニセトラだったと気づいたのはずいぶんあとでした。←しかし僕が退社するかしないかのころに、きちんとLPの1曲としてサントラ盤が収録されていたあたり、担当者(河合さんだと思います)の意地を感じました。←シングルにはちゃんと“ロジェ・フランス楽団”と書いてあるのですけど、僕はサントラと思いこんでいましたね。寺島尚彦さんたちだったとか聞いた気が…。

ルグランは86歳で亡くなりましたから、この映画のときは29歳です。監督のアニエス・ヴァルダが90歳で健在なのですから、86歳でも早い気がします。とはいえ、みんなが110歳まで元気に生きていけるならともかく、80歳を超えると寿命ですかね。思い出深い映画音楽家を、また一人亡くしてしまいました。

下記にこの映画のその場面の動画を貼り付けておきます。僕が持っているDVDより格段にいい画質ですし、うまくまとめてあるから楽しめますよ。
https://artsmeme.com/2019/01/26/sans-toi-michel-legrand/
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