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2019年01月15日05:44

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やはり手塚治虫の“リミテッド・アニメ”は、“犯罪”だと思う。「ある街角の物語」(1962)と「展覧会の絵」(1966)をブルーレイで再見。

HDレコーダーのリモコンが壊れたため大至急買おうとして、送料がかからないように別のものも買おうと考えました。そしたら長らく“あとで買う”に入れてあった「手塚治虫 作品集―実験アニメーション編― [Blu-ray]」が、かつての価格から1000円ほど安くなっている。そりゃ、ついポチッてしまいますよね。

ところが、リモコンはすぐ届いたものの、このブルーレイが待てど暮らせど届かない。最初は1週間以内と書いてあったのに、途中で“在庫切れ”だと言いだすし、“キャンセルしても無料です”だって。これって民法の“手付倍返し”に当たらないのかな? でも僕は見たいと思っているから、我慢しました。11月23日にポチッて1月14日到着ですぜ。

それはともかく、早速「ある街角の物語」と「展覧会の絵」を見たわけです。ところが、1960年代末に見たときには大感激したアニメなのに、今回は手塚独特の“リミテッド・アニメ”部分が鼻について、がっかりでした。初めて見たときには、まさに手塚治虫の絵が動いていると大感激したのに、です。

これは僕が昨今、CGアニメの動きに慣れてしまったからだと思います。だって「ラブ・ライブ」でさえ、水面の輝きや波の動きなど、圧倒的に“動く”わけです。なのに1枚の静止画を1秒も見せられたら、もうアニメじゃない!と思いますよ。←15フレかもしれないのですが、一枚の画を止めたままのカットが15フレあれば、今の僕には長すぎるのです。

そして大量の原画を節約するための苦肉の策が、今の僕には“透けて”見える。当時どれだけ手塚が苦心惨憺していたのか、そんなことはもう関係ないわけです。これが“世界一わがままな映画ファンのひとり”による正直な感想でした。つまり、ローテクそのものを非難するつもりではなく、ローテクを越えて観客(僕のこと)に訴える中身が、この程度では弱すぎるということです。

「ある街角の物語」(1962)と「展覧会の絵」(1966)がダメなら、もちろんアニメラマなんていうイカサマ(というかパチモン)アニメは、見るに堪えないでしょう。ということで僕は、まさに“実験映画”である「JUMPING」(1984)を見直しました。これはレーザーディスクで発売されたときにレビューを書いたので、そのとき感激した作品です。

MGMミュージカルで、街をとび跳ねながら歌うという男が登場する映画があり、「ザッツ・エンターテインメント」に収録されていたと思います。そのワンアイデアを短編アニメにしている。ペン書きの画像が微妙に揺れる雰囲気などがいいのですが、内容がイマイチ煮詰め切れていない。こういう実験アニメに他愛ないモラルを露骨に表に出すなと思うわけです。これも初観賞のときの感動が雲散霧消でした。

そして続けて「おんぼろフィルム」(1985)という短編を見たわけです。古いアニメであるかのようにフィルム傷を大量に付け、コマずれコマ飛びあたりまえという設定のギャグ漫画ですが、これが楽しい。このころは手塚の晩年であり、いろいろ大変だっはずですが、虫プロとしてこういう作品を作っていたのは見事だと思います。日本のアニメ史の中で大きな位置を占める短編アニメの傑作でしょう。

わずか数分のアニメですが、これだけのために4000円払っても惜しくない。僕ははっきり断言できます。小学校低学年のとき、手塚マンガの単行本を手にして、わき目も振らずに読みあさった、その興奮が甦ってきました。やはり手塚治虫は、いろいろあるけど偉大です。だから今の感覚からだけバッサリ切るのはダメだけど、同時に偉大だという世評だけを真に受けるのもダメです。自分の目で、きちんと確認してください。

「jumping」も「おんぼろフィルム」もyoutubeにアップされているみたいですから、まずはそちらをどうぞ。
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