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2019年01月08日05:25

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ようやく日本語字幕版を見ました。すると両親に感情移入してしまった。グレタ・ガーウィグ監督・脚本「レディ・バード」(2017)。

2017年の11月にロサンゼルスで見た作品です。この映画が見たくてしかたがなかったのですが、サンタモニカの映画館ではやってませんでした。12月1日から拡大公開されましたが、11月1日からは限定公開だったわけです。それまで、というか限定公開してもなお、あちこちの映画祭で上映されていました。珍しいパターンですね。

稼いでいたころならタクシーを飛ばして見に行ったわけですが(ロバート・マリガンの「マン・イン・ザ・ムーン」など)、このときは幸いにもトラムが運行していて、映画代の半額程度の交通費で済みました。←どちらもシニア料金です。そして昨年の6月ごろにアメリカで発売したBDを取り寄せて再見しました。

ということで、今回初めて日本語字幕版を鑑賞したわけです(レンタルDVD)。そしたら以前は主人公クリスティン(シアーシャ・ローナン)に感情移入して見ていたのに、今回は母親(ローリー・メトカーフ)の方に大きく感情移入してしまいました。3度目の鑑賞ということもあるのでしょう。

つまり、東部の大学に行きたいというクリスティンの心境が、経済的に辛い両親の立場のほうがよく分かる、という意味です。英語だけで見ているときは、やはり主人公の位置に立っていました。3度目だからか、日本語字幕で感情を読み取っているからなのか、明確に判断できませんが、たぶん前者でしょう。

今回、サクラメントの町が映し出される風景映像に、タワーレコード発祥の映画館の建物が映し出されているのに気付きました。昨年の12月に、コリン・ハンクス監督「オール・シングズ・マスト・パス」(2015)を見て、詳しく知ったのでした。ロイス・スミス扮するシスターが、クリスティンに“サクラメントが好きなのね”と語る意味が倍加します。

それぞれの故郷の夕日が“世界一美しい”のに、“ワカンダの夕日が世界一美しい”という我田引水メッセージを“棒読み”(比喩です)している映画を見てしまったからかもしれません。やはり黙って夕日の映像を見せるだけでいいのです。饒舌な描写には嘔吐したくなる。

昨年の10月末にサンタモニカの映画館では、ルーカス・ヘッジスの出演映画を、「Mid90s」と予告編で2本も見たわけで、“今をときめく”俳優なのかと思ったのですが、「レディ・バード」でもゲイをカミングアウトしきれない青年を演じていい味でした。その彼をハグして慰めるクリスティンの姿が愛おしい。

さらにクリスティンは、プロムに誘ってくれる男子生徒がいない親友ジュリー(ビーニー・フェルドスタイン)をもハグして慰めるし、自分はカイルの最初の女ではなかったと知り落ち込んでいるところを母親にハグして慰められます。今回は、この慰め合いのハグが、とても印象的でした。“いい父親”を演じるトレイシー・レッツも切ない。

こうやって、いろんな人々に感情移入して楽しむのが、僕は映画の醍醐味だと思っていますが、最近は“眺める”映画が多いようで残念です。「アリー スター誕生」も「ボヘミアン・ラプソディー」も、僕には眺める映画に思える。そして「ブラックパンサー」なんか、眺めていることだけしか観客としてすることがない映画でした。

ということで僕は、心の底から没入できる映画を求めています。次にそうなれる映画には、いつめぐり会えるだろう。写真3は撮影中のスナップのようですが、グレタ・ガーウィグが名札を付けているのは、なぜだろう?なぜかしら?
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