先日、東京バレエ団の季節ネタ 「ザ・カブキ」が上演された。
https://www.nbs.or.jp/stages/2018/kabuki/index.html
ベジャール作品を敬愛し、
東京バレエ団にも愛着のある我が師は、
当然のように通われたが、
弟子が興味を示さないため届く感想も短かかった。
それから数日後。
長くはないが不肖の弟子にはもったいない、
熱いメッセージが怒濤のごとく着信した。（笑）
「秋元くんは本当に身体のコントロール力が高く、音感も良い。
見慣れた振付が見違えるように綺麗に流れる。
前回の初役の時は、その美しさが際立つ踊りは衝撃的で、
今まで見たことのない由良之助だった。
良くも悪くも最後まで異質な存在で、現代からタイムスリップした若者は、
他の侍たちとは討入りの際も一体化することがなかった。
温度差があるような感じで、
それはそれで本来の由良之助ではないのだからという解釈ができた。
今回は淀みなく流麗な踊りはそのままに、
力強さが加わりメリハリのついた踊りに進化。
もともと表現力はある人だけれど、今回の方がより感情が伝わる。
塩冶判官の遺言を受けた時、今回は驚くというよりも、
しっかりと受け止めていたのは意外だった。
１幕ラストのソロも、前半は困惑と逡巡が見えるのだけど、
後半は美しいけれど力強く熱さも感じられる圧巻のパフォーマンス。
表情作りは大きくないので、
遊郭で酔っ払って遊んでいるフリは今ひとつかな。
その辺りは弾くんの方がわかりやすい。
顔のパーツの大きさもあるのだろうけど、
秋元くんはカーテンコールも満面の笑みとかではなく微笑みなので。
今回は本当に美しさと力強さが融合し、
陣太鼓の打ち鳴らしは良い意味で荒々しさもあった。
他の志士たちとの一体感があり、
１人だけ別世界から来た異質な存在という感じは無かった。
タイムスリップしてきた特異な存在という解釈もありだけど、
やっぱり討ち入りは一体感があった方が響くように思う。
（公演は２日間で２回しかないので）
初日と比べてというのはキャスト違いによる比較になるので、
力量というよりは好みの問題になるかも。
なのでどちらがファースト・キャストかと問われても、
自分にとってはファースト・キャストが混在する。
弾くんは初日由良之助で２日目は高師直（敵役）。
楽しみにしていた師直、良かった！
彼は様々な主演を重ねることで、
ダイナミックな踊りから綺麗な踊りに変化してきたけれど、
悪役になるとダイナミックで力強い踊りが健在。
ちょっと荒々しいくらいでも師直はキャラクターに合うので、
由良之助のスマートさと踊りを変えているのが良かった。
シェミウノフくん的な分かりやすい役作りで、表情も豊かで大きい。
師直のいやらしさがパッとわかる。←褒めてる。
（当り役だった木村さんは滲み出るいやらしさ、という感じ）
隈取りをしているとはいえ、いつもはあんなに爽やかな笑顔なのに…。
体格も良いので、
塩冶判官が刀に手をかけた時の怖がり方がわざとらしいのも良い。（←褒めてる）
コイツ、絶対こわがってないよな、わざとらしい〜、という憎らしさ。
（木村さんも鬱陶しいほどわざとらしかった）
そこで刀をおさめると、豹変して体全体で嘲り笑うという根性の悪さが秀逸。
木村さんの時より体が大きいだけに、ビジュアル的にいじめてる感が満載。
そして美しく伸ばしたつま先で嘲りおちょくるのが、今回、おおっ！ と思ったポイント。
美しく伸ばしたつま先で「嘲り」が見える。木村さん以外で観られるとは。
持ち味が違うので、木村さんとは違う役作りをしているのだけど、
細かいところで共通点が。
斬られてから顔面を押さえて回転する流れが綺麗だったり。
これは主演の綺麗な踊りの流れで、
ダイナミックな荒々しさと滑らかな踊りを自在に使い分けているのが見事。
直義は初日の永田さんの踊りが型が綺麗で好み。
後藤さんの直義を思い出した。←好きだった直義役。
勘平は２日目の池本くんが好み。踊りはもちろんだけど、
おかるとの逢瀬で騒動に間に合わず、判官に土下座する場面。
申し訳ございませんでした！ とガバッと頭を下げたあと、
肩や背中から滲み出る深い後悔の念。←個人的勘平のポイント��
暗闇で仕留めた猪を手で探り、
誤って人間（定九郎）を殺してしまったことに気づいた時の、
腰の抜かし方もいい。←ポイント��
サムライなんだから人は殺めているのだろうけど、
猟師として獣を仕止めるつもりが人間だったら、
やっぱり驚くだろうね。
ポイント��のおかるとの別れは、
ほんの少しのタイミングだと思うのだけど、
せっかく柔らかい背中を持っているのだから、
もっと反らせて手を伸ばし、溜めて欲しかったなぁ」
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