信大一年生二十歳の晩秋、
下宿していたとなりの部屋の、
工学部土木・高木雅幸と
梓川村の林檎園まで、チャリで林檎を買いに行った
あれから三十八回目の林檎ちゃんである
わざわざ安曇野の西端、
北アルプスの山裾まで出かけて行かなくても、
すぐそこの林檎斜面でええやないか
灯台下暗しやった〜
(十年前まで元暮らしやとおもとった)
そう気づいて、おれの庭のようなオカダ林檎斜面へ
買いに行き出して五年。
今日まんぷく福ちゃんを観終えた昼過ぎ、
ええ天気の中、上がって行くと、
ここ二年間売ってもらってた、
最上段の農家のひとらはおらず、
林檎斜面中段のショオタおいやんの奥さんとおもわれる、
気のいい、しっかりしたばあちゃんが売ってくれた
今日でもぎ切っちゃうんだと。
ラッキーやったー
秋の初めから中ごろにかけ、暴風吹いたときもあったが、
そんなにゃ落ちんかったんやと。
この三十八年間のいつもの年のように、
実割れ、小傷ものを安く売ってもらった
オヤジの亡くなった年、いいりんごを送れる
高木や京都のおばあちゃん、
いとこのコウジ兄いとともに偲びたい。
中央右、奥の小さい台形が美ヶ原
奥が薄川の谷。背後の山の上を、霧ヶ峰に通じるビーナスラインが走る
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