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2018年10月07日09:52

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チーズを買いに出たら、、、



麗らかな気持ちのいい午後、気に入りのチーズを買いに自然公園を抜けて4kmほど離れた地方産品直売所まで自転車で出かけて、、、それから、、、と後のことは考えずその時任せで家を出た。 2時だった。 日差しが柔らかく気温も20℃ほどに上がっているのだろう。 カッターシャツの上にセーターを着てその上にジャケットを羽織って、自転車を漕ぎ始めて公園を抜けほぼ4kmほど行ったところで暑くなりジャケットを脱ぎ自転車の後ろの振り分け袋に押し込み、それでもまだ汗ばんでくるとセーターを脱ぎ広げて羽織り首の周りを腕周りで縛って田舎道を走ると風が気持ちよく、冬が来るまでにまだこんなことが2,3回できれば今年はいい年だと独り言ちしながら小さな村を抜けて行った。 自分用と家人用のチーズをそれぞれ買って取敢えず一年に何回か通るルートを辿ろうと自転車を漕いだ。

村の教会の前まで来ると結婚式があったのか華やかな雰囲気のひとびとが扉を開けて出てきたところに行き会った。 そこを少し過ぎると一目で農夫と思しき男が橋の上でこの様子を見ていてそこに自転車を停めその男と20人ほどの結婚式から流れてきた一団が外で談笑しているのを眺めながらしゃべった。 話したことはこの村の人口を減らさないためにはこういう若いのがこの村に定着すること、子供の数を減らさず保育所・学校もやっていけるようにする、村の外れに80戸の住宅を建てたけれどこの何年かで住宅の値段が2割ほど上がってまだ全部が売れていない、ここはライデンに近くロッテルダムやアムステルダムにも車なら通えるから他所からやって来て住むにはいいのだけれど村の中や運河沿いの幹線道路が狭すぎて車が入れないから若い者には人気がない、けれど年寄りやあんたみたいな町からの観光客には風光明媚でいいんだけど村にはカネが落ちない、、、、等々。 そこで日本の田舎の過疎のことを言うと、日本は何でもロボットでやってるそうな、どこでも人が溢れて年寄りだけの村なんて聞いたことがない、地球の反対側のことになると情報も偏りがちになる、などと言う。 そこから先の田舎道のことを訊ねて気持ちがいいからそれまで知っていたルートの外側を行くことにしてその葉巻を咥えた老人と別れた。

車が通れない自転車道を走るのは気持ちがいいのだが自転車道だけでも日曜日や休日となりそれが今日のような天気が良ければ行き交う自転車で混雑することがあって殊に最近年寄りが電動自転車で風を切って走るようなときは脅威さえ感じるのだが今日はそんなこともなく快適に走ることができた。 普通なら見渡しのいい牧草地の中の径を1kmほど通ってアイスクリームを作って売っている農家で休憩、帰宅すれば15,6kmほどにもなるのだがもう少し先のベントハイゼンの村まで行ってそこを今日の楕円の頂点とする気になった。 さっきの教会の近くに村のカフェーがあり、そこに入ってジンとコーヒーを飲もうと思ったらその日は結婚式のあとのレセプションで貸し切りになっていたから途中持っていたペットボトルの水だけしか飲んでいないのでベントハイゼンに行けば村のカフェーがあるだろうとの計算だった。 自分は車でこの辺りを通過したことはあるのだが自転車では経験がないのではっきりした村の様子はわからないのだが天気もいいので何とかなるだろうと嵩を括ったのが悪かった。 道路に沿って何ともない普通の家が並ぶところを行き過ぎて古い村の中心が探せなく粉ひき風車のところに来たけれどカフェーの看板はあったけれど閉まっていた。 昔同僚で今は作家になっている蜷川泰司氏がライデンからここまで自転車で来た時のことをどこかの新聞に掲載してその記事を見せてもらったことがある。 もう20年以上前のことだ。 あのとき自転車の前に乗せて走っていた女の子がベルリンで建築家として働いていると今年の正月に夜の京都御所を満月の下散歩している時に聞いたのだから一度目にした記事のことは覚えているはずはない。 けれど氏はオランダの典型的な運河の景色を載せたエッセイで次のように記している。

http://lepetitmec.com/archives/4510/

ベントハイゼンを抜けてそのまま暫く行くと線路の下を潜り見慣れた風景が広がった。 先ほど潜った線路はアムステルダムとパリを結ぶ高速鉄道のものでそうすると家人が育ち舅姑が住んでいた村まですぐ近くである。 それにこのあいだ家人が腸の検査に行った病院も遠くない。 ここまでくれば家からは少々遠くなっているので引き返し鉄道に平行に暫く進み何もない芽キャベツ畑の縁にヒマワリが咲いているところを走った。 その後三つほど村を抜けたけれどどこも村のカフェーは閉まっていた。 そのうち強迫観念のように次の村で自分はコーヒーとジンを飲まねばならぬというような想いが固まっていた。 結局それは自分の家から散歩の距離にあるカフェーで実現された。 この日なんやかやで28km自転車を漕いだことになる。
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