JKの流行語ほどではないけれど、(笑)
ネットスラングも慣れないと困惑の連続で、
「正義厨」も初めて目にした時は「?」だった。
厨は「厨房」の厨で、
「中坊」にかけたネット風ダジャレみたいなもの。
「〜厨」というように接尾語として用い、
「〜について中学生程度の幼稚な考えしかできない人」
という意味の蔑称になる。
つまり「正義厨」とは、
正義を振りかざすだけの阿呆、
というわけだ。(笑)
正義を貫くのは、本来なら良いことのはずなのに、
なぜ馬鹿にされるのかと言うと、
彼らはルールや規則の厳守を説くばかりで、
そのルールが作られた意味や、
時の経過に伴い顕在化した問題点、
事故の発生メカニズムや再発の防止策については、
何も考えていないからだ。
たとえば、信号のない横断歩道で、
子供が車にはねられたとする。
原因として最初に思い浮かぶのは、
運転者の前方不注意や操作ミスだが、
ほかにもブレーキの故障、運転者の突発的な体調不良、
飛び出した自転車や他の歩行者を避けようとした二次災害、
轢かれた子供自身の飛び出し、
年齢が低い子なら親の管理不行き届き、
さらには車の直前を走っていたママチャリが転倒、
放り出された子供の轢かれた場所が横断歩道だったなど、
さまざまな状況が考えられる。
ところが正義厨たちは、
事故がどのようにして起きたのかもわからないうちに、
車を叩きはじめる。横断歩道は歩行者の「聖地」であるから、
いかなる理由があろうとも車が悪い、というわけだ。
その彼らが聖典とするのが「道交法」で、その条文には、
「横断歩道等によりその進路の前方を横断し、
又は横断しようとする歩行者等があるときは、
当該横断歩道等の直前で一時停止し、
かつ、その通行を妨げないようにしなければならない」
とある。
もっとシンプルに記すと、
「横断歩道を渡りたい人、渡っている人がいたら、
邪魔してはだめだよ?」
そこで問題になるのが、都心部の人の多さだ。
横断歩道の近くに居る人がすべて、
横断歩道を渡りたがっているとは限らない。
と言うと正義厨たちは、待ってましたとばかりに、
「徐行しろ!」「一時停止しろ!」と主張しだす。
だが、彼ら同様、勘違いしている人もよく見かけるが、
実は横断歩道が描かれている場所には、
一時停止や徐行の義務はない。
というのも、交通違反と言うと、
どうしても派手な暴走行為が注目されるが、
必要以上に低速で走ったり、
意味のない停車や急ブレーキも、
状況によっては違反に問われる。
これは、自動車に限らず「交通」は、
「円滑」が理想とされるからだ。
横断歩道では手を上げましょう、と、
小さい頃に習った人も多いと思うが、
某自動車評論家は大人にもこれを推奨していた。
そうすれば歩行者の安全な横断と、
円滑な交通が両立できるからだ。
しかしそこで、次の問題が出てくる。
歩行者は、どのタイミングで手を上げ、
横断歩道を渡り始めるか、である。
車には、制動距離がある。
手を上げられても止まれない時もあるし、
思わず急ブレーキを踏んだために、
後続車に追突される可能性もある。
だから歩行者側も、
手を上げた行為を印籠とせず、
必ず安全を確認してから、
渡り始めなければならない。
と言うと正義厨たちは、
「車間距離を守れ!」と主張し、
私もその通りだと思うが、(笑)
思い通りに行かないのが現実だ。
理想と乖離した現実はほかにもある。
法定速度を守らない車の方が圧倒的に多く、
自分は止まっても対向車が止まらない場合もある。
横断歩道を渡りたそうにしている歩行者を見て止まったら、
後続車が追い越しをかけ、
渡り始めた歩行者を轢いてしまった事故もあったし、
止まった私の車を自転車が追い越して、
歩行者と接触しそうになる現場も目撃した。
歩行者が望むときに、
安心して横断歩道を渡れる社会が理想だし、
理想を現実にする努力も必要だが、
だからと言って理想をまくし立てるのみで、
現実から目を背けていたら、
事故に巻き込まれて痛い思いをするのも残念な事実だ。
だから現時点では、理想は理想として追いつつも、
事故のメカニズムをきちんと分析し、
再発を防ぐための自衛策も講ずるという、
柔軟な思考が必要だが、理想を声高に叫ぶ人々は、
なぜかルールの違反者を叩くことしかしない「ビット脳」が多い。
だから「正義厨」などと馬鹿にされるのだ。
以前、住宅地の道路を走っていた時のこと。
前を走っていた車は、
「誰もいない」横断歩道では必ず徐行するのに、
細い路地との交差点では、
制限速度を少し超えた速度で平然と走っていた。
しかしその道は、
路地から自転車が時々飛び出してくるので、
私はそういうところでも徐行していたから、
前走車は次第に離れて行き、
それを見た後続車はあからさまに煽ってくる。
後続車は無視して、離れていく前走車を眺めていたら、
ふと「正義厨」の単語が思い浮かび、笑ってしまった。
■路側広げて横断歩道短く 歩行者保護で試み 愛知県警
(朝日新聞デジタル - 07月17日 12:30)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=5203327
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