ネットスラングに「ビット脳」というのがある。
御存知の通り「ビット」は二進法の1桁のことで、
デジタル・コンピュータは2つの状態を、
二進法の「0」か「1」で示すことから、
転じて良いか悪いか、イエスかノーか、白か黒かのように、
両極端の2つのパターンでしか物事を考えられない、
硬直した思考または頭の固い連中を揶揄する時に使う。
先日、某組織の親分が、ため息をついていた。
事件や事故が起きた時は、
「何がどうした」を明らかにするのが最優先のはず。
そこが明らかにならなければ、
責任の追及をしようにも「できない」からだ。
にもかかわらず、
今の人たちは他人を吊し上げることばかり考え、
マスコミもそれを助長するような報道をする。
事件・事故のメカニズムを明らかにすることには、
責任の追及以外にも、もうひとつ理由がある。
悲劇が再び起きないよう、防ぐ手立てを考えるためで、
むしろこちらの方が重要なのだが、
今の人たちは、なぜかこちらを軽視するどころか、
考えようとすらしない。
...と言うのが、ため息の理由だった。
その良い例が、最近の車の「煽り行為」に関する報道と、
それに対するネットユーザーの反応だ。
話をわかりやすくするために、簡単な例え話を先にすると、
治安の悪い国に赴く時は、
パスポートなどの貴重品は厳重に隠せとか、
手荷物から目を離さない、
夜間、人通りの少ない場所にはいかないなど、
さまざまな注意を外務省や旅行会社、
友人知人がさずけてくれる。
悪いのはもちろん強盗や暴漢などの無法者であり、
犯罪者は速やかに捕まえて投獄すべきだが、
そのような輩が街中を闊歩しているのが現実なので、
自らもリスクを減らす努力をしなければならない。
その際役立つのが、
上記のような第三者の冷静なアドバイスで、
ネットで盗賊を罵ったり被害者を哀れむだけでは、
実害を防ぐことはできない。
話を「煽り運転」に戻すと、
ニュースに付けられるレスの中には、
被害者にも過失がある、という意見を見かける。
いちばん悪いのは、もちろん危険な「煽り運転」をした者だが、
海外でのトラブル同様、事故の過程を冷静に見直し、
自衛のための手段を講ずれば被害を減らせるから、
リスク・マネージメントの観点からは、
それは間違った意見ではない。
ところが、加害者をなじるだけの人々は、
自分たちの考えが否定されたとでも思うのか、
異なる意見を述べた人たちを、
いきなり感情的に罵りはじめる。
その行為は、自分たちがいま非難している「煽り運転」と、
まったく同じだと言うことに、なぜ気付かないのだろう。
■「あおり運転」でバイクと衝突 殺人容疑で男逮捕 大阪
(朝日新聞デジタル - 07月04日 13:31)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=5184858
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